エイリアン９

おいらには隠れた自慢がある。

エイリアン９を雑誌掲載時リアルタイムで第1回から読んだ。
だからなんだと言われれば返す言葉もないし、

そもそもエイリアン９がそれほど知られていない。
隠れた名作には違いない。それも心を気持ち悪く揺さぶられるほどの。

しかし、これをどう評して言葉にしていいのかは困る。非常に困る。
ロリっぽい絵柄で手に取ると間違いなく肩透かしを食らう。

エイリアンが普通に存在し、それを小学６年生の「対策係」が捕まえている世界。
だが、詳細な設定は明確には明かされていない。

いつからエイリアンは存在するのか、
なぜ小学６年生が捕まえているのか、

警察や軍などの公的機関は動いていないのか。

さらには、この作者の作風がこの作品から非常に実験的となり、

いわゆるマンガの表現法のお約束を非常に無視したコマ割りや

擬音が多用されている。躍動感やスピード感が
一見しては感じられず、淡々と描かれている。
そういった表現法も含めて、落ち着いて考えると非常に怖い。

主役の少女３人の行動と思考についても、彼女らがそうしているのか

共生しているエイリアンによってさせられているのか、

あるいは他の見えない何かに
よってそう動かされているのか、

理性と生物的本能とがだんだんごっちゃになって解らなくなってくる。

その最たる行動がクライマックス３巻のくみとかすみの行動としてあらわれる。

１巻表紙を開けた瞬間に出てくる絵は思わず苦笑。作者のロリ趣味が出ているので・・・。

最初に刊行されたコミックスは全３巻。ちょうど１冊で１学期分。
のちに、続編も含めたコンプリート版が出ている。
（もっとも、続編のエイリアン９エミュレーターズは蛇足のような気がするんだよなぁ。）

エイリアン9 (1) (ヤングチャンピオンコミックス)/富沢 ひとし

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