GW明けの週末。

K君と付き合い始めてから、初めてのデートをした。お互いの住む街からちょうど中間の、お城のある街で。

昨年秋に約30年ぶりに再会した時から半年ぶり。

LINEと電話で毎日のように語り合ってはきたけれど、この30年間で実際に会ったのは、再会した日の半日だけ。しかも大学の仲間5人で会ったきり。付き合いだしてから二人で会ったことがなかった。


「お互いに思い出に酔いしれているだけだったらどうしよう?」とか、

「気が合うつもりでいたけど、実際に会ったら、違うと思ったりして…」とか、

何より冷静になったら、54歳になったお互いの容姿にガッカリしたらどうしようとか…、内心たくさんの不安を抱えて臨んだデートだった。

それでも、ずっとスマホだけで繋がる関係が現実ではないように思えていたから、とにかく会ってこれが現実に起きていることなのかを確かめたいと思った。それでたとえ関係が終わることになろうとも…。


結果、神様は意地悪はしなかった。

2月に寒波で会えなかった時、K君が言ってくれた言葉がある。

「神様は二人に出会いを与えてくれたんだから、この先も良いことしか与えないよ。」

それでも、ずっとこの恋に後ろめたさはあったし、LINEや電話と違って会えば後戻りできなくなるだろう怖さがあって、直前は気持ちが揺れた。


相当ドキドキして待ち合わせたけれど、会ってみたらK君はやっぱりK君だった!

約束の前々日にK君から「実は同じホテルを取ったから遅くなるけど、前日から行く」とイキナリ言われて心底ビックリした…。

私はデートの前後2泊する予定で伝えていたけど、K君は家族の手前、仕事ということにしてあるから、当日日帰りすると聞いていて、私がどこに泊まるかは伝えていなかったのに…。

「ヒントがいくつかあったからダメ元で予約した。でも、どうなるかわからなかったから今まで言わなかったけど」と言いつつ、ホテルはビンゴ!

なので、夜9時半頃にK君が着いてから、二人で近くの居酒屋で遅い夕食をとった。

内心、想定と違ったから困ったなと少女のように戸惑いながら、初めて二人きりでお酒を飲んだ。

初めの頃こそ、緊張もしたけどお酒の力も借りて、慣れてしまえば二人でいることに何の違和感もなくなり、ただ楽しくて、真っ直ぐに惹かれ合った。やっぱりお互いが特別な相手だと観念した。

途中、K君に手を握られて、50代なのに「大人の思い合う男女が二人になったら、やっぱりこういうことは避けられないか…」と思ったり。

そう言いながら、温もりを感じて、ようやく現実であることを実感して…。

離れ難い気持ちと、もう言い訳は出来なくなったと観念する気持ち。ずっと、自分のなかで20代の大学生だった私と、54歳で家庭がある自分が交互に語り合うような不思議な時間だった。

翌日も、天気予報は雨で蒸し暑くなるはずだったのに、雨も降らず過ごしやすい気候で、二人を邪魔するような事は何も起こらなかった。

なんとなく、その事に救われた気がする。

もしも、天気が悪かったりアクシデントでも起これば、「やはり許されない関係なんだ」と自分を責めたのではないかと思う。


K君とデートをして、お互いの気持ちが深まって、もう言い訳は何もできなくなった。

ただ、曇りのない自分の気持ちを見つめた時に、改めて決めたことがある。

自分の心も身体も、私が決める。

それは結婚していようがいまいが、全ての人に与えられた権利だから。

自分の心と身体が何を望むのか?

私は私の声にしっかりと耳を澄まそう。


神様は良き事しか与えない。

ならば、今、神様に願うことはただひとつだけ。

私たちの恋をそっと見逃してほしい。

誰も傷つけないように、私たちはずっと隠しとおすから、家族をちゃんと守るから。