ここのところ、結構衝撃的な、いろんなことが起きている。想定したこと、しないこと…

先週、社長室で春からの異動先を告げられました。二年間のチャレンジとしか言いようのない秘書室の仕事が終わり、春には部長に。

また、新たな挑戦に挑むことになる。

昇進を告げられるたび、かなりの葛藤を抱えるけど、ここで組織の本質を見て、社長に直接、告げられてしまえば受けとめるしかないこともよくわかった。ある意味、世の中を知った2年。

心の整理もつかぬ間に、地元新聞に名前が載って、知人からどんどん連絡がくる。社長はあたかも新商品発売みたいに私を紹介し始めるし、意図せぬままに、ジェットコースターに乗せられているような、そんな気持ち。

そんな頃、いつも励ましあってきた同期の友人が入院。年末からずっと忙しく働いて、体調が芳しくないのも疲れのせいと思っていたようだけど、発熱と足の痛みで受診したところ、思わぬ大きな病が見つかった。ショックだった。彼女以上にと思うほど。

同期の出世頭として、女性初の大役を任されて、愚痴を言いながらも完璧にこなしてきた友人。

社長も感嘆するほどの仕事ぶりの裏に、表に出さない相当なプレッシャーと無理を重ねてきたことを知っているから、その結果がこれだなんて。

あれだけの彼女の努力と無理が、命を奪いかねない結果なら、頑張る意味とはなんなのか?

努力は報われると信じて来たのに、頑張り者がバカを見るのか?と切なくなる。

でも、治療はここから。きっと希望はある。治療に専念して、何がなんでも命を守ってほしいと祈るばかり。


自分の昇進と親友の病…

これまでだったら、昇進の不安はいつも彼女と分かち合って戦ってきたのに。

心のバランスが大きく揺らいで、たまらずにK君に電話をかけた。

いつもならLINEだけど、どうしても声を聞いて話がしたかった。家族には「本屋に立ち読みに行くから」と嘘をつき、本屋の駐車場に車を停めて出張中のK君に電話した。

K君は相変わらず温かい。柔らかい物腰、優しい気遣い、かと言って、私の感情に引きずられずフラットに受けとめてくれる。

学生時代は気づかなかったけど、彼には物事を冷静に見て、感情に流されず解決策だけに注力する強さがあって、感心する。でもユーモアや明るさ、前向きさは忘れない。第六感で恋に落ちたようなものだったけど私の求める精神性を備える人だった。


話をするうちに私も落ち着いて、明るい気持ちになって救われた。

「俺がちび子さんを支えるからね。だから、ちび子さんはしっかりお友達に寄り添ってあげて。ちび子さんは甘えるの苦手でしょ?でも、ちゃんと感情を出さないとダメだからね。他の人には出さなくてもいいから、俺の前では全部出してね。楽になるから、全部受けとめるから。」と言ってくれる。

なぜ50代の今、K君と私がこうなったのか、またひとつ答えが見つかった気がしてる。


K君は何度も繰り返し、30年以上前の大学時代から、私への気持ちは全く変わらないと言ってくれる。特別な相手だと。

お互い家庭があるのだから好きだという気持ちを表に出してはいけないと思っていたけれど、そんな風に言われたら観念するしかなくなる。

たぶん私の人生でもう二度と、こんな人には出会えないだろう。私にとっても特別な人だった。

大学時代にK君が私に気づいて、30数年たってようやく私がK君への気持ちに気づいた。

互いの存在の特別な意味に気づいてしまったら、磁石みたいに惹きあって、社会の規範なんてどうでもよくなってしまうくらい、我を忘れている。

50代にして、誰かに夢中になることを知った。


2024年のおみくじに「嘘も方便」とあったけど、年末にK君と付き合う覚悟を決めた時、こういうことだったのかと腑に落ちて笑った。

11月の再会から一度も会っていないのに、毎日のLINEとたまの電話で心はどんどん近づいて、このままだとどうなっちゃうんだろうなと思っている。

遠距離だから隠せているけど、こうして思いがつのるたび、嘘をついてはK君との時間をつくる自分がいる。

それも良いかもしれない。きっと私がこれまで封印してきた素直な気持ちを取り戻すこと。


「あの頃と何も変わらない。俺のちび子さんへの気持ちはね。ただ、ちび子さんの彼氏が旦那さんになっただけ。」

確かに30年以上経ったけど、私とK君と夫とで繰り広げられる物語の、登場人物は今も変わらない。

そして昔も今も夫はこの物語を知らないし、

そこにK君の奥さんが加わっているのだけど。


これはK君と私だけの物語。