年末年始が9連休だったおかげで、K君とは随分とLINEでおしゃべりをした。
お互いの気持ちがわかるまでは、随分と遠慮したし、仕事のある日は余裕もないから、ゆっくり会話を楽しむことは難しかった。
それに、互いの家庭の状況がわからないから、スマホ画面に表示されたLINEを奥様に見られたらよくないなとはずっと思っていた。
なので、ようやくLINEの登録を実名からアルファベットに変えました。女性からのLINEだとすぐにわからないように。墓場まで秘密にと言うわりには、守りが甘すぎたから。
万が一、互いの家族に気づかれたら、そこで終わりにすると決めているけれど、職場での立場もあるのでそこに迷惑をかけるのは避けたかった(過去に職員の不倫について通報があるなんてこともあったらしい)。まぁ、LINEの中味を読まれたら終わりですけどね。
休暇中、一回だけ電話で話した。
K君が、お正月なのに2日から4日の昼間なら大丈夫というから、私もなんとか時間を見つけて声を聞くことができた。
お互い、なんとなく家族の話はしないようにしているところと、そこを聞かなくては色々とやりずらいところもあって加減が難しい。
今回はお正月の昼間なのになぜ大丈夫なのか?と聞いたことで少しだけ、K君の家庭の事情がわかった気がする。
奥様がカレンダー通りではない仕事をしていることや、ずっとK君の実家で同居していたものの、ご両親と奥様の折り合いが悪く、息子さんの予備校が遠いという理由で家を出たこと。K君的には受験がおわったら、家に戻ろうとは思っていること。実家には88才のお父さんと75歳のお母さんがいることなどがわかった。
なんとなく、「彼にも色々あって〜」という占い師さんの言葉を思い出した。
彼が話したこと以上を私は聞きはしなかったけど、それなりの苦労がK君にもあることが伺えた。
アパート暮らしじゃ、自宅で電話は確かに無理だ。
翌日、私は家族で夫の実家にお正月の挨拶に行くことになっていた。
昨日のK君との電話や、駅伝予選会デートのことを思い、私の家族の事情もK君に伝えることにした。
「今日は夫の実家に家族で挨拶に行きます。
車で1時間半のところに二人で住んでいて、もう84歳と80歳だけど今のところはなんとか元気。だけど、義両親には実の娘のようによくしてもらったから、二人で暮らせなくなったら私が恩返ししなくちゃならない。」と。「二人が元気のうちにK君がデートに誘ってくれたから、なんとしても実現したい。」と付け加えて。
相変わらずK君は優しく「家族団欒楽しんできて」と返信をくれたけど、すぐに自分のやったことがすごく嫌らしい気がして、反省した。
まるでK君のご両親と折り合いが悪くなった奥様と違って、自分は夫の両親と仲が良いとアピールしたみたいだ…。そうではなくて、いつ何があるかわからないから、ちゃんとデートを実現しようと言いたかったのだけれど、私の心の何処かにそうした嫌らしさが確かにあったに違いない。
夫の両親は相変わらず温かく迎えてくれたけど、つい一ヶ月前にも会っているのに、義母がまた年老いた気がした。この人たちに何かあれば、きっと夫は何もできない。私がやるしかない。それもきっとそんなに先の話ではないのかも…とも感じた。
そうしたらK君とのデートなんて出来なくなるかもしれないな。
義両親のためにも私のためにも、できるだけ長く元気でいてほしいと切に願った。
帰ってきても、K君に伝えたことが良かったのかどうか、心にずっとひっかかったままだった。
そもそも相手の家族のことなど聞きたくないのではないだろうか。
悶々と考えて、夜遅くK君にLINEし謝った。
相変わらずK君は優しく、いつものように
「ちび子さんの家族のことを知れるのはちび子さんのことを知ることだから、嬉しい。自分も父親がだいぶ弱ってきたから、その気持ちもわかる」
と返してくれた。
50代はお互いに家族を支える責任が重くのしかかる年代。相手の事情がわからなければ配慮してあげることも難しく、かと言って相手の家族との関係を赤裸々に知りたいとも思えない。
私には俗っぽい感情があるから、あまりK君の奥様の話を聞きたいとは思えない。できれば避けて、あたかもいないかのように思い込みたいくらいの弱さがある。仕方ない、それが恋だとも思う。
いつものようにK君が明るく
「人生はいつ何がおこるかわからないから、この出会いを大事にしたい。一緒に楽しく過ごそうね。」と言ってくれたので、救われた。
50代の恋なんて、明日どうなるかわからない。
どちらかが倒れたり、突然亡くなったり、家族の介護が始まったり…。
先を考えても仕方ないなら、自分の心に正直になり、相手の気持ちを尊重して、それに従って進むしかない。不倫だとか、許されない恋とか、そんなドラマみたいな決めつけに縛られている時間はないのだと改めて思った。
とりあえず、K君は正しい。
ここまでが2025年、お正月に起きたお話。
この先、私たちの恋がどう進むのか、それは神様にしかわからない。いや、神様もわからないか。
明日は仕事始めです。
K君に好きな色を聞かれて、思わずブーゲンビリアのピンクと答えたら、花言葉を送り返されました。嬉しかったので、新年のネイルはピンク

