=第161回= 『ファミリー・プロット』 感想 | 3110 - 映画研究会

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会長の3110です。

近日劇場版が公開される『シティーハンター』に興味を持ち、テレビシリーズ第1作から観始めました。

いやー、面白いね。ぜひとも劇場版も観ないと。

 

     ―=ΞΣ((( / ・ω・)/

 

 

   『ファミリー・プロット』

  

1976年 121分 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 

  ※画像をお借りしています

 

  〔3行でわかるあらすじ

インチキ霊媒師のブランチは、1人の依頼人からある人物を探してほしいと頼まれる

・ブランチは恋人でタクシー運転手のジョージにその人物を探させる

・その人物はなんと、警察が追っている誘拐犯だった

 

     ―=ΞΣ((( ∩ ´ ∀`)∩ コ コ マ デ!

 

 

本作は、ヒッチコックが監督を務めた最後の作品です。

50年代から60年代前半のいわゆる黄金期、60年代後半の低迷期の作品に比べて話題に上がることが少なく、なんとも微妙な評価の作品です。

 

独特な雰囲気を持つ作品で、私は結構楽しめました。

感情移入できる人物が全然登場しないのが面白いですね。

 

 

話の流れを一言で表すと、詐欺師VS誘拐犯

大金のために行動する2組の男女が、ひょんなことをきっかけに交差し、頭脳を駆使して戦いを繰り広げるのです。

 

 

一応主人公の立ち位置にいるのは、インチキ霊媒で金を稼ぐブランチと、彼女の手助けをする恋人、ジョージ。

  

金や性への執着がものすごいブランチに振り回されるジョージは、本作で唯一感情移入できる人物かもしれません。

ジョージは、ヒッチコック作品によく登場する有能な素人で、弁護士を演じて1人の人物を追います。

 

ただのタクシー運転手にもかかわらず、彼の名探偵ぶりは見ていてなかなか楽しいですね。

書かれた年が同じなのに古さが異なる墓石に気づくとか。

  

はったりも適度にかますのですが、ただのタクシー運転手と知っている私たちからするとなんだか笑えます。

また、内心びくびくしていたり、(探偵のために)仕事さぼろうとして上司に怒られたりと、ちゃんと素人っぽさも見せてくれるのにも好感が持てます。

 

 

そんな2人と対決するのは、宝石収集家にして連続誘拐犯のアダムソン夫妻。

ジョージたちが追うエドワードなる人物は死んだことになっているけど実は生きていて、名前を変えて犯罪に手を染めていた。それが夫のアーサーです。

  

こっちの方も、ヒッチコック作品によく登場する無能なプロです(まあプロというのも語弊があるか)。

しつこく行方を追ってくるジョージを見て、

恋人はインチキじゃなくて本当に超能力者なのかも

じゃあ始末しないといけないな

的な会話を真面目な顔でしているのは、なんともまぬけな絵面でしたね。こいつら何言ってんのと。

 

 

諸々の笑い所は、いわゆるシリアスな笑いシュールな笑いではなく、ちゃんとコメディとして成り立っているものだといます。

ジョン・ウィリアムズの音楽も明るいものが多いです。

その辺もヒッチコックはちゃんと意識したらしいですね。暗くならずに楽しめるサスペンス映画を撮りたいと。

 

緊迫したシーンも多く、決して緩い作品というわけではありません。

それでいて有能な素人探偵VSポンコツが見え隠れする連続誘拐犯という愉快な構図が成り立つので、やはりヒッチコックが作品に持たせるメリハリは素晴らしいなぁと思います。

 

 

     ―=ΞΣ((( / ・ω・)/

 

ただね、あの適当すぎるラストシーンはどうにかならなかったのかな。

そこ以外はよかったんですが。

 

 

続く……あとは『マーニー』と『引き裂かれたカーテン』