京阪中之島線の実態 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが、当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

京阪の将来を考える上で、避けて通れないのが中之島線の問題です。中之島線は京阪本線の天満橋から分岐して中之島に至る3.0kmの路線であり、なにわ橋・大江橋・渡辺橋の各駅を途中に設けています。

中之島線は総工費1,307億円をかけ、2008(平成20)年10月19日に開業しました。当初、1日あたりの平均乗降人員は8万人を見込んでいましたが、実際には約3万人に留まりました。そのうち約1万人は京阪本線からシフトしたとみられるため、「純増」は約2万人に過ぎません(読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・産経新聞各2008年11月18日号)。

拙著「偽りの公共交通」では、駅勢圏内従業人口数と大阪市内就業者の鉄道利用率から考えて、中之島線の乗降人員(純増分)はどんなに多くても1日あたり5万人を超えることはないと試算しました。実際には、その半分にも満たない状況です。

平成23年度版『都市交通年報』に掲載されている2009(平成21)年11月10日火曜日の交通量調査による各駅の乗降人員は、なにわ橋3,129人、大江橋7,584人、渡辺橋8,669人、中之島9,148人、合計28,530人です。並行する京阪本線の北浜一駅分(37,528人)にも満たず、ましてや淀屋橋(104,946人)とは桁違いです。

京阪本線の天満橋―北浜間の通過人員は210,883人、中之島線の天満橋―なにわ橋間は24,280人なので、分担率はおよそ9:1です。予測では6:4とされていたので、想定を大幅に下回っていることになります。

中之島線発着の優等列車が、ダイヤ改正のたびに淀屋橋発着に戻されているのも無理からぬことです。なにわ橋と北浜、大江橋と淀屋橋で定期券の相互利用が認められているにもかかわらずこういう結果を招いているのですが、そのこと自体は驚くには当たりません。

中之島線開業前の北浜・淀屋橋は、乗降人員の約6割を地下鉄堺筋線・御堂筋線との乗り換え客が占めていました。これらの乗り換え客は、中之島線開業後も当然京阪本線に残ります。つまり、乗り換え客を除いた残りの利用客のほぼ全員が中之島線にシフトしない限り、6:4という分担率は達成できないのです。当初の予測値がいかに過大なものであったかは、この一事からでも分かります。

京阪は中之島線の所有権を持たず、天満橋―中之島間で第二種鉄道事業者として運営のみを行っています。線路を所有しているのは、第三種鉄道事業者の中之島高速鉄道です。中之島高速鉄道は第三セクターで、資本金は261億3,570万円、出資比率は京阪33.5%・大阪市33.3%・大阪府16.67%などとなっています。

平成22年度『鉄道統計年報』によれば、京阪は営業権の対価として中之島高速鉄道に年間24億円の線路使用料を支払っています。同様に、阪神もなんば線の営業権のみを有しており、線路を所有する西大阪高速鉄道に年間15億200万円の線路使用料を支払っています。

朝日新聞2009年11月12日号によれば、阪神なんば線の2009年度上半期の増収効果は約17億円なので、1年あたりに換算すれば約19億円の黒字です。一方、京阪中之島線の同時期の増収効果は約4億円です。1年あたりでは約16億円(1日あたり約438万円)の赤字です。両者の明暗は、数字にもはっきりと表れています。

京阪大津線の2009年度の赤字額は約13億円(1日あたり約359万円)なので、大津線よりも中之島線のほうが損失は大きいのです。これが日々京阪本線の利用客に転嫁され、内部補助で穴埋めされていることになります。中之島線を今後どう扱うかは、いまや大津線の活性化以上に急を要する課題だと言えるでしょう。


(参考資料)
「京阪間ライバル特急はいま」『鉄道ジャーナル』2012年3月号収録
増田一生「偽りの公共交通」近代文芸社
 

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