外交・安保、独自色競う アジア版NATO、非核三原則見直し―自民総裁選

 
石破氏「アジア版NATOが必要」
高市氏「非核三原則の『持ち込ませず』は見直してもいい」
河野氏「『核の運用』の日米議論を」
9人全員が9条への自衛隊明記改憲を主張。

ウクライナ、ガザで進行中の戦争をどう止めるかも、東アジアで戦争をどう防ぐかも、具体策は語られない。
 
 
 自民党総裁選(27日投開票)で、9候補は外交・安全保障分野の独自色発揮に力を入れている。アジア地域での集団安保体制の構築や、非核三原則の見直しなど、現行の政府方針からの大幅転換を伴う内容も目立つが、実現性は不透明。総裁選に限った「アピール合戦」の思惑が透ける。
 
 「今のウクライナはあすのアジアかもしれない。アジアで仲間の国がやられたら、義務として助ける集団安保が必要だ」。石破茂元幹事長(67)は19日、東京都内の街頭演説で持論の「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」の必要性を訴えた。

 NATOは加盟国への攻撃を全体への攻撃とみなす集団防衛を条約に明記。石破氏の念頭には、東・南シナ海で軍事的活動を活発化させる中国があるとみられる。ただ、アジア各国の対中姿勢には温度差が大きく、憲法などとの整合性も不明確。石破氏は日米地位協定の見直しも掲げるが、党内からは「全くイメージがわかない」「公約に責任が持てるのか」などと疑問の声が上がる。

 高市早苗経済安全保障担当相(63)は非核三原則のうち「『持ち込ませず』の部分は見直してもいい」と提起。「核兵器を搭載した米軍機が飛んでくるのをノーと言っていたら抑止力にならない」と語る。河野太郎デジタル相(61)も「核の運用」に関する日米間の議論を主張。自衛隊への原子力潜水艦配備にも言及する。

 いずれの政策も「被爆国」としての日本の立ち位置に関わる難しいテーマ。実現のハードルは極めて高そうだ。

 小泉進次郎元環境相(43)は北朝鮮による拉致問題解決に向け、金正恩朝鮮労働党総書記と「同世代のトップ同士、胸襟を開く」と直接会談に意欲を示す。加藤勝信元官房長官(68)も同様の主張を展開するが、双方とも具体的な道筋には踏み込まなかった。

 茂木敏充幹事長(68)は対米外交の重視を掲げ、次期大統領が決まれば「すぐに会談を行い、2国間の問題をしっかり話し合っていく」と強調する。林芳正官房長官(63)は「知中派」を自称。「中国とは主張すべきは主張し、対話を欠かさず、グローバルな課題で協力できることは協力する」との姿勢を示す。

 小林鷹之前経済安保担当相(49)は「能動的サイバー防御」の法整備を訴え、上川陽子外相(71)は平和構築や紛争予防に女性の視点を採用する「女性・平和・安全保障(WPS)」の推進を打ち出す。
 
 

浜田敬子氏「印象操作している感じ」自民総裁選新コピー「裏金や旧統一教会なかったことのよう」

 
 
 元AERA編集長のジャーナリスト浜田敬子氏は22日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜午前8時)に出演し、朝日新聞が報じた旧統一教会と自民党との接点に関する報道をめぐる党総裁選(27日投開票)の候補者の反応に、怒りをまじえながらコメントした。
 
 朝日新聞は17日、2013年の参院選直前に当時の安倍晋三首相が、旧統一教会幹部らと党本部の総裁応接室で面会したとみられることを、写真付きで報道。こうした流れを踏まえ、同日夜に放送された同局系「news23」で候補者討論会が行われた際、キャスターの小川彩佳が「新しい報道が出ているという中で、ご自身が総裁になった場合に教団との関係について何らかの再調査を行う、という方がいらしたら挙手をお願いします」と求めたが、1人も手をあげず、SNSで波紋を広げる事態になった。

 この日、番組MCのフリーアナウンサー膳場貴子が「(自民党は)旧統一教会との接点をあらためて突きつけられた」とした上で、「news23」での各候補者のゼロ回答反応に「どうなんでしょうか」と指摘。膳場に見解を問われた浜田氏は、自民党が新たに公開した総裁選プロモーション動画で「日本を、新しい未来へ」というキャッチコピーがつけられていることに触れ「ものすごく過去のことというか、裏金問題や旧統一教会もなかったことのようにして『新しい未来』とぬり固めて、印象操作をしているなという感じがします」と口にした。「どの候補も刷新とか、改革という言葉を使っていますが、非常に空疎に聞こえる」とも述べた。



 その上で「旧統一教会問題も(候補者は)再調査はしないと言っているが、写真という証拠が出てきたことで、ここまで自民党が言ってきた『組織的関与はない』『安倍総理は亡くなっているので調査に限界がある』という前提が崩れた」とした上で「(写真では)同席している(現職の)議員もいるので、調査しようと思えばできるのに、しようとしない」と、総裁選候補や党側の対応を疑問視。また、「裏金問題についても、最初は結構厳しいことを言っていた候補が、どんどんトーンダウンしている。議員票を意識してなのか」と、総裁選の候補者が再調査に消極的な対応をみせる背景を分析しながら、強い疑問を示した。