マイナカードの取得は任意です。にもかかわらず、強制のように扱われ、強引に取得を迫られることに、納得がいかないのは当然です。
政府は現行保険証を12月に廃止する方針ですが、その前に衆院解散・総選挙の可能性も取り沙汰されます。

 

 

 

 政府が、マイナンバーカードを健康保険証として使うマイナ保険証の利用率向上に向け、利用者が増えた医療機関に支給する支援金の上限を倍増する、と発表しました。カード普及のため、なりふり構わぬ攻勢に出た形です。
 

 東京新聞は25日社説「マイナカード 普及ごり押し目に余る」=写真=で「取得は法的には強制ではなく任意。税金を原資とした支援金で利用を促すのは筋違い」「今年12月に現行健康保険証を廃止する政府方針を撤回し、選択制に移行するよう求める」と訴え、読者から社説に賛同する意見をたくさんいただきました。一部を紹介します。
 

 マイナカードを持っているが、保険証として利用したくない。保険証の廃止を撤回して選択制にする意見に賛成。高齢者に利用しやすい制度にしてほしい▽マイナカードを持っていないと何もできなくなるのはおかしい▽誰の利益にも便利にもならない事業に多額の税金を投入して推進するのは無駄▽秘すべき個人情報は極力持ち歩きたくない。常に携帯したい健康保険証をマイナカードに付けるとは情報管理を理解していない。
 

 こうした意見から感じるのは、マイナカードやマイナ保険証に対する不信感が依然、根強いことです。
 

 社説で再三指摘した通り、マイナカードの取得は任意です。にもかかわらず、強制のように扱われ、強引に取得を迫られることに、納得がいかないのは当然です。
 

 政府は現行保険証を12月に廃止する方針ですが、その前に衆院解散・総選挙の可能性も取り沙汰されます。国民にマイナ保険証への一本化の是非を問う良い機会です。
 

 立憲民主党は「一定の条件が整うまで現在の保険証を存続させること」を求めていますし、共産党は現行保険証の存続と、マイナンバー制度の廃止を含む白紙からの見直しを主張しています。
 

 マイナカードやマイナ保険証をどうするのか。各党が公約に掲げ、有権者の判断を仰いだらどうでしょうか。政府が決めたから、と諦めず、国民の前で堂々と議論されることを期待します。 (と)