候補者選定委員会の呼びかけ人だった市民連合の菱山南帆子さんは、自民党が全敗した4月の衆院補選で「潮目が変わった」と指摘。「それも、市民と野党の共同での根強いたたかいがあったから迎えることができた」と語りました。

 


 

 東京都知事選の告示(20日、投開票は7月7日)を間近に控えた18日夜、「市民と野党の共闘 都政を変えようオール東京大集会」が中野区内で開かれました。蓮舫参院議員は、約1300席を埋めてロビーにもあふれた参加者に「これだけの皆様の心を受け止め、前に進む思いを強くしている」とあいさつ。各地の市民運動関係者もステージに上り、「地元で培ってきた市民のエネルギーで蓮舫さんを勝利させる」などと語りました。

 

 蓮舫氏は冒頭に登壇し、この日発表した政策の柱を説明。「若者を徹底支援する。奨学金という借金や不安定雇用による不安を取り除き、若い人の可能性を開く東京をつくる」「政官財の癒着でつくられたおかしな契約を見直し、果実が生まれればちゅうちょなく若者支援に回す」と語り、会場に響き渡る拍手と歓声を受けました。

 候補者選定委員会の呼びかけ人だった市民連合の菱山南帆子さんは、自民党が全敗した4月の衆院補選で「潮目が変わった」と指摘。「それも、市民と野党の共同での根強いたたかいがあったから迎えることができた」と語りました。

 やはり呼びかけ人だった宇都宮健児弁護士、前川喜平・元文部科学事務次官もあいさつしました。

 女性区長が誕生した杉並区で「1人街頭宣伝」に取り組む芹沢悦子さんは「区長選では区内の全駅に市民がプラカードを持って立った。都知事選でも、都内のあちこちで市民が立ち上がる光景を見たい」と話しました。

 この後、野党各党・会派が決意表明。日本共産党の田村智子委員長は「蓮舫さんはトップダウンではなくボトムアップで政策をつくり実行しようと表明した。知事選もボトムアップで、市民の力が生かされる選挙にしよう」。立憲民主党の長妻昭都連会長は「東京から日本を変えるたたかいにしよう」と呼びかけました。

 社民党、新社会党、緑の党グリーンズジャパン、東京・生活者ネットワークからも発言がありました。

 

 

現役世代の手取り増 外苑再開発見直し

蓮舫氏「七つの約束」発表

 
 東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)で立候補を表明している蓮舫参院議員は18日、選挙政策「あなたと次の東京へ 七つの約束」を発表しました。

 蓮舫氏は港区で行った記者会見で「日本が『失われた30年』と言われる要因は、若者に重要なチャレンジの機会を与えてこなかったこと、物事が密室で決められたことだ」として、「徹底した若者支援、都財政をガラス張りにする行政改革を行う」と述べました。

 「七つの約束」では(1)現役世代の手取りを増やす本物の少子化対策(2)頼れる保育・教育・介護・医療(3)もっと多様で生きやすく(4)ガラス張りの都政にする行財政改革(5)古い政治から新しい政治への改革(6)東京全体をもっとよくする(7)よい政策は発展させる―を掲げました。

 具体的な施策では▽新しい条例で、都と契約する企業に働く人の待遇改善を要請▽学校カウンセラーなど非正規で働く都の専門職を正規化▽保育・教育・介護・医療現場で働く人の奨学金返済支援など働く環境を改善▽シルバーパス(70歳以上のバス・都営交通乗車証)の多摩都市モノレール、ゆりかもめ、都県境バス路線への拡大を検討▽パートナーシップ宣誓制度を利用しやすく▽神宮外苑再開発を見直し、緑を守る▽多摩・島しょの学校給食無償化―などを盛り込みました。また政治資金パーティーを開かないと表明しました。

 小池百合子都知事が関東大震災の朝鮮人虐殺犠牲者への追悼文を送っていないことについて「これは改めたい」と明言しました。

 

カイロ大元幹部が声高に訴えた小池知事擁護論 「学歴詐称」刑事告発会見に“援軍”で乱入

追試のトップだから「首席」と勘違い?
 
 
 小池都知事にエジプトからの援軍だ。来月7日投開票の東京都知事選に向け、20日の告示を前に元側近の小島敏郎氏が18日、学歴詐称の疑いがあるとして小池知事を公選法違反(虚偽事項の公表)罪での告発状を東京地検に提出。その会見の場に小池知事の卒業を認めるカイロ大の元幹部が“乱入”したのだ。
 
 小島氏は今年4月発売の「文藝春秋」で、小池知事の「学歴詐称工作に加担してしまった」と懺悔の告白。選挙公報に「カイロ大卒」と記すのを待たず告発したのは「選挙期間中だけ黙っていればいいのか」(小島氏)と、今回の選挙公報から「カイロ大卒」の学歴を消す事態も想定したためだ。

 会見では、小池知事のカイロ大卒の肩書は50年近く世間に流布され、本人は都議会で質問されても答弁を拒否するなど意図的に放置し訂正もしなかったことが、公選法の虚偽事項の公表に当たると説明。現時点でも公選法違反に問えると判断し、小池知事の出馬表明を待って告発状の提出に踏み切った。

 18日、小池知事は選挙公報への学歴記載について「これまで通りだ」とし、カイロ大卒と表記する意向を表明。小島氏の懸念は杞憂に終わりそうだが、当然、立件は「カイロ大卒の否定」が大前提となる。小島氏は捜査をうながすため、かつて小池知事が公表した「卒業証書」と「卒業証明書」における疑問点を訴えた。

▼「1976年10月、カイロ大文学部社会学科卒業」と説明してきたが、卒業証書は〈1976年10月の文学部における試験結果の確認後、1976年12月29日、大学評議会は決定した〉と記載▼学生登録番号が空欄──などと指摘。また、4段階評価の上から3番目の「良」で社会学科の文学士号が授与されたとの記載から「小池さんが主張した『首席卒業』はまず不可能」と断じた。

 質疑応答に入ると、真っ先に挙手し猛反論する人物が現れた。カイロ大文学部の副学部長だったハムザ・イサム氏(67)。その経歴から「どういう過程で(卒業証書などが)発行されたかが分かる」と語り、流暢な日本語で一方的にこうまくし立てた。

「当時の卒業生は1年に少なくとも2万人。2万枚の卒業証書に学長がサインするのには何週間もかかる(ので12月29日の確認は矛盾しない)。小池さんはスイスイとは卒業しなかった。5~6月の試験でアラビア語ともうひとつの科目を落とし、9月に追試を受け、結果発表は10月。彼女は確かに10月に卒業した」

 会見後、臨時の囲み取材に応じたハムザ氏によると、彼はカイロ大日本語日本文学科の第1期生。2学年上の小池知事とはキャンパス内で3回ほど顔を合わせた。日本人留学生は珍しかったが、まだ日本語を話せず、会釈する程度だったという。

「当時は学生登録番号もデータ化されておらず、卒業証書への不記載も珍しくなかった。私の卒業証書も空欄です」
 
追試のトップだから「首席」と勘違い?
 カイロ大卒後は大阪大に留学。その後も幕末・維新期の思想史が専門の「日本通」として何度も日本を訪れ、小池知事とは旧知の仲だ。

 22年11月、小池知事がエジプト出張の際、学長を務めていた「エジプト日本科学技術大」で会談したという。今年3月下旬に来日し、8月には帰国する予定である。

「彼女の大臣就任以降、日本メディアから何度もカイロ大に卒業の問い合わせがあった。副学部長時代に私は『OB係』の古い資料を調べ、修得科目も細かくみた。学業実態のある卒業だと確信している。追試を受けた学生に限れば彼女の成績はトップ。だから『首席』と勘違いしたのだろう」

 ハムザ氏の説明を伝えると、小島氏は「後づけにも聞こえるし、彼は彼女の卒業した場に居合わせたわけでもない。やはり小池さん自らが説明すべきです」と答えた。

「誰に頼まれたわけでもなく、自分の意思で来た」とはハムザ氏の弁だ。小池知事が学歴詐称問題で窮地に立つたび、エジプトから救いの手が伸びるのは偶然なのか。