投資のいろは(25日線について) | ぶらっくまーさん

投資のいろは(25日線について)

日経平均は25日線を支持線として・・・

 

という記事や多くの投資家ブロガーや投資家YouTuberさんの出すものをご覧になられたと思います。昨日のエントリーで書いたように、テクニカルをこういう時に使っていると本当に破滅します。

 

本日は私がそういう根拠をふたつほど挙げていこうと思います。

 

ひとつはNASDAQが全く下げ止まったような様相を見せていないことです。テクニカル的なものは現状NASDAQに関しても意味を成しませんが、テクニカル的にも最悪の形をしてきているという意味で参考にしておくのは良いでしょう。

 

 

こちらはNASDAQの日足3ヶ月チャートに移動平均線とMACDを重ねたものです。これを見るだけでもどれだけ事態が悪いのかということが分かると思います。しかも機関投資家のような大口の参加者は1日とか2日でポートフォリオを組み替えるわけでは無く、今週のアメリカの貿易政策の大転換を見て、仮に本日金曜日に緊急の会議をしたとしても、そこで組成を大きく変更する決断まではいかないと思います。

 

情報をそれなりに集めて事態が次第に明らかになってきたときに、既に利の乗っている半導体セクターの銘柄に対してポジション調整を図るわけです。日本のGPIFであればGPIF自体が売買するわけでは無く投信や何かをどういう編成にするかを少しずつ検討していくわけですが、そうなるとこのアメリカの貿易政策の変更を受けての売は世界的に相当長く続くというとは容易に予想されます。

 

もうひとつ。これも2ヶ月ほど前から繰り返し言及していますが需給の悪さです。信用買い残が積み上がっているのがまず良くありません。そしてこの急落局面でその信用買い残はそこそこ含み損を抱えています。本日のエントリーの最後の方では、昨日のエントリーで書いたSNSへの投稿で、かなり頓珍漢な、しかし投資の初心者が(こうして切羽詰まってくるとある意味我田引水的に)安心を得るために情勢を自分に都合よく解釈しようとするコメントが散見されたので、それについてここで一問一答形式で答えていきたいと思っています。認知の歪みを本人に伝えたとしても、大体キレられて終わるか更に荒唐無稽な理論で反論されるので自分の土俵でやっていきたいと思います。話を戻しますが、テクニカルが意味を持たない局面ではありますが、私はこういう局面に限らず、テクニカル的な売り、または買いのシグナルが出る前にまずは需給が動くということを経験から学んでいます。

 

ここは地味で出来高が増えるか減るかというシンプルなものなので、しばしば経験を積むと等閑にしがちな部分ですが、私は需給が良ければテクニカル分析でも買いシグナルを割と確率が高いと感じるし、逆も然りです。こういうところはもっと多くの人が指摘すべき点だと思います。

 

さて、NASDAQが下落の途中にあるということがまず分かります。そして日経平均について言えば、本日も出来高は減少しています。信用買い残が積み上がっていて、これが需給の悪さを惹起させます。なお悪いことに、今下落局面でこの信用買いの膨大な玉の持ち主たちは、あわよくば売ってしまいたいという心理状態になっています。これがチャート的にはどう反映させるかと言えば、最初の戻りなどでは売りが殺到するために、すぐに頭を抑えられる展開になるということです。

 

もしかすると本日の出来高の少なさの中で前場から後場への流れはそれの表れだったのではないかという気がします。

 

その上大口の参加者は週明けから売りをぶつけてきます。そうした主体は損失覚悟でというよりも、かなり以前から半導体セクターを持っていたはずで(少なくとも今のように株価の説明がつかない状況でポートフォリオ内の割合の大きな部分となるほどには買っていません)、どの水準でも利益確定できる形だと思います。

 

それが来週以降半導体セクターに売りが次から次へと出てくると私が予想する理由です。この兆候は既に現れており世界的な流れとなっているのでしばらく止まることは無いでしょう。日経平均について言えば銘柄入れ替え後、日本版SOX指数と言っても良い構成となっているので、ここからかなり下落するように思います。39000円台前半は割とすぐに見ることができると思います。ひょっとすると日柄調整を挟まずに39000円を割る展開もあるのではないかという気もします。そこらへんは出来高が細ってきたときに今回の下落で損失を被った大口の投機筋が仕掛けてくるような展開になればという但し書きがつきますが。

 

さて、それではいくつかの質問(反論?)についての私の見方です。

 

Q1

円安だから日本のアセットが買われている。円高になれば売られる。

 

A1

これについては私は次のように考えています。今年冒頭に日経平均が暴騰した時には、覚えておられる方も多いとお思いますが、FRBがそう言っていないにも関わらず市場は今年の利下げを25BP×5回とか、ちょっと考えられない数字で考えていたわけです。1月から2月にかけてこのブログでも何度となくこうした認識の差は危険だと伝えていたわけです。

 

そしてそうした場合、円安トレンドが転換する可能性があります。すると円が安いうちに日本のアセットを買っておいて円高に転じた際にそれを売れば、株価自体の上昇に為替の差益が乗って利益が拡大するという見込みがあったと思います。

 

ところが現状、FRBの利下げに対する期待が現実のものとなってきて円安のトレンドはしばらくは変わらないかもしれない、少なくとも今年の冒頭ほどには大きく円高に動くことは無い、こう考える人が増えているように思えてきます。すると円安が続くと仮定した場合に、海外の投資家は今買うよりも円が安くなり切った時に買ったほうが有利です。例えば日銀が実際に今月末に利上げをして、FRBも同時に利下げを行うとか。それはそれで特に日本では企業業績自体に大打撃となるので、今度はファンダから売られる可能性もあると思っていますが。

 

いずれにせよ、単純に円安になるから日本のアセットが買われるという局面はそろそろ終焉に向かっているように思えます。もちろん逆の動きになるということでは無いですが。ここは少し不透明なのだ、と私なら答えます。

 

 

Q2

これはただの調整である。

 

A2

調整の定義に依ります。もちろん実体経済はホワイトハウスの貿易政策の変更前と後で少なくとも短期的な影響はなく、その意味ではテクニカル的な調整と呼べるでしょう。ちなみに相場が20%程度下落することは調整と呼ぶ範囲内です。

 

 

Q3

この下げは急騰した反動だ。

 

A3

これもQ2と似た質問ですが、こちらは『急騰』の反動、という認知に歪みを認めるものです。今回の下落はここまで何度もお伝えしている通り、アメリカが対中貿易規制を厳格に適用し、しかもいくつかの半導体セクターの企業を名指しして警告したということに起因していると思います。市場を取り巻く環境に変化が、それも一夜で起こったということです。だから全世界で半導体セクターの企業の株が1日で10%も下落しているわけです。これは市場が急騰していたことと完全に無関係です。もっと言えば、仮にそうした銘柄がこの発表の前まで日柄調整だったり、やや緩やかな下落をし続けていたとしても、このニュースで暴落していたはずです。

 

今回の下落はそれほど深刻だということです。なので先日からお伝えしているように少なくとも当面はテクニカルは意味をなしません。本日日経平均の引け値は辛うじて25日線を上回っていましたが、それは偶然です。

 

 

Q4

株価の上げ下げに一喜一憂しない。

 

A4

これは結構多くの方々が書かれていました。含み益が減少していてもまだ微益が残っている人が良く書く言葉です。個人がどういう投資スタイルを持つのか、これは完全に個人の領分なので、何も言うことはありません。

 

私は外国通貨建てで株式と債券を持ち、オプションも先物もやり、日本株もやっています。選択できる手段が多いため、将来の下落を感知した時には必ず行動します。もちろん一喜一憂はしません。もしこの一喜一憂しない、が売買しない、を意味する(同値ということ)なら、そうされる方に物申す気はありません。しかし私は必ず行動して下落時に利益が出るポジションを構成します。

 

実際、今持っているコール側のクレジットスプレッドは理論上の最大利益が26000円のところ本日既に21000円の含み益が出ています。これを8月のSQまで持ったとしてもあと5000円しか利益を積み増せないとなれば、頭と尻尾はくれてやれで、来週のどこかで決済しても良いと思っています。

 

そして狙いは来週どこかで訪れる一度目の戻りです。ここで思い切ってプットバックスプレッドを組成して積極的に下落局面で利益を狙っていこうかと思います。

 

最後にこうしたSNSを見ていた私の印象です。罵詈雑言はそうしたところのSNSの華なのでそもそも気にしていません。面白いのはサムズダウンが昨日から本日へと減るにつれて減少してサムズアップが僅かに増えてきている点です。

 

また、昨日に比べるとややコメントが弱気になってきており、やはり口座の中がかなり赤くなってきていることが推察されます。これはこのエントリーの冒頭でも書いたように信用買いをされている方々に共通の事象と思えますので、戻りに対して売りを入れていくことのリスクを計算する上での参考になります。

 

さてそれでは本日までの成績です。

 

現物株

 

クイック(4318)

600株×2178円

+34800円

 

パーク24(4666)

400株×1607円

-11800円

 

小計

+23000円

 

オプション

 

7月限月のプットバックスプレッド

-14000円(確定)

 

7月限月のP39000円売り

+9300円(確定)

 

7月限月のコールクレジットスプレッド

+6600円×3(確定)

 

8月限月コールのクレジットスプレッド

C42500円買@290円×1

C43000円売@170円×1

+10000円

 

C43000円買@170円×2

C43500円売@100円×2

+13200円

 

小計

+38700円

 

6月までの成績

 

現物

+669900円

オプション

+37000円

合計

+706900円

 

急落局面でコツコツと利益を上げていくのが投資の醍醐味だと思います。