鬱蒼とした森の中に佇むその異形は、まさに不可思議。

圧倒的な存在感で我々に迫ってくるように感じます。

 

大岩神社。

 

ここは常世と現世の境界線。

門の向こうは我々の知り得ない世界が広がっているのかもしれません…

 

 

まあ、そんなことはないんですけど。

 

大岩神社は京都の伏見にある神社ですが、江戸時代の山火事のせいで古文書が焼失してしまい、いつ頃に、どのような由来で作られたのか不明という、なかなかミステリアスな存在です。

ロマンですね。

徳川家康が上洛する際に馬の飼草を賄ったという伝承も残っているそうです。

 

大岩神社参道の入口。

 

参道はハイキングコースの一部として整備されており、竹林の中を進みます。

ただ、こんな広い道はすぐ終わってしまいます…

 

入口からまだ5分程度ですが、さっそく非日常空間に突入しました。

一面緑なので朱色の鳥居は目立ち、まるで浮かび上がっているように見えます。

良いですね。

 

草に覆われかけた参道を進みます。

 

鳥居から少し進むと、なんとも神秘的な沼が現れます。

 

沼の近くには白姫龍神大神の石碑。

やはりヌシがいるようですね。

 

沼を抜けて、この石造りの鳥居を越えていくとついに…

 


現れました。異形の門。

マヤ・アステカ文明の古代遺跡と言われても信じてしまいそうな造形です。

 

左側の柱には僧侶が彫られています。

解説文では地蔵と書かれていました。

私の中では地蔵ってもっと童顔なイメージがありましたが、どうなんでしょうか。

 

右側の柱には…何でしょうかこれ?

王冠みたいなものをかぶっているし、あまり日本っぽくないように感じます。

解説文には武人とか書かれていましたが…う~ん…

 

不思議な紋様が刻まれた謎の門。

奥には狛犬・崩壊した鳥居・朱色の鳥居・傾いた祠…

これでもかと無常感を突き付けてくる異様な空間の中、道はまだまだ奥へと続いていきます…

 

 

さて、この不思議門の正体は、堂本印象という日本画家が1970年頃に寄進したものです。

神社の鳥居っぽさはほとんどありませんが、この場の神秘性を高める効果は凄まじく高いと思います。

ここからさらに上の方にもう1つ堂本印象寄進の鳥居があるので楽しみです。

彼の作品を取り扱った美術館が立命館大学付近にあるそうなので、興味のある方はそちらも訪れてみると楽しいかもしれませんね。

 

反対側から撮影。

こちらも抽象的な意匠が施されています。

 

ここから階段・坂道が続きます。

とはいえ、そこまでしんどい勾配ではないので、のんびり上っていけばばてることは無いでしょう。

 

道の途中には鳥居や祠が点在します。

 

中には既に崩壊してしまい、大きめの石がゴロゴロしているだけにしか見えないところも…

 

右上の方に本殿が見えてきました。

 

本殿前。

参道はしっかりとしているようですが、その脇には崩壊した朱色の鳥居の残骸が…

 

小さいながらもしっかりとした本殿の一帯全景。

 

2本目の堂本印象鳥居

1本目と比べると何だかライトで優しい感じがしました。小さいからかな?

 

本殿近くには舗装路があり、ここまでなら車で来ることもできます。

 

もう少し上っていくと展望台があり、伏見の街並みを眺めることができます。

 

伏見桃山城もしっかり見えます。

このお城、1964年に伏見桃山城キャッスルランドの施設として建築されましたが、2003年に閉園。

城自体は残されることになりましたが、耐震強度の関係で内部見学はできません。

 

 

入口から展望台まで、長く見積もっても1時間はかかりません。

ちょっとした異世界散歩を楽しんでみませんか?

 

 

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京都府 京都市 大岩神社

京阪藤森駅から府道35号線に出て東進。徒歩10~15分程度で大岩神社入口に到着します。

 

ハイキングコースとはいえ、ゴツゴツした足場や倒木、倒竹、湿地などもあるので、動きやすい装備を用意しましょう。

 

鬱蒼とした雰囲気を楽しみたいのであれば夏がオススメです。

我々がかつて憧れた、アマゾンの神秘を愚直に追い求める仮〇ライダー隊長の探検隊気分が味わえます。

しかし、藪蚊・蜘蛛・謎の巨大昆虫の出現確率が非常に高いので、苦手な方はそれなりの覚悟が必要です。

堂本印象鳥居だけ見たいという方は冬の方が良いと思います。