湘南に到着し、鵠沼海岸経由で藤沢にやってきた。

 

少し早めにチェックインし、メール返信を終わらせて、フロア4(4階)の製氷機で氷をカップに入れて戻り、そこに並々と芋焼酎を注ぎ、ブラインドを開けて窓の外を見ると夕陽色になっていた。

 

iPhoneに入れてある詳細天候アプリ”Weather Live”で日没時刻を見ると、「18時25分」と表示されていて、そしてかなり正確な時間に燦爛たる夏の陽が沈んでいった。

 

暖色に浮き出ている町は茅ヶ崎であろうか。

 

それから原稿書き。ずっと文字を書いていた。ある程度書き、編集者に送ってOKをもらってから夕食にしようと決めていた。熱が入ったようで終わると時刻は深夜近くになっていた。行きたかった全ての店が閉店していたが、あそこ———『大新』なら開いているだろう。

そして担々麺を注文する自分が予見できた瞬間、目の前が幸せ色、つまり暖色で明るくなるのがわかった。

 

 

 


『大新』は、8ホテルを左に出て、駅に向かってきっかり50m歩き、ファミリーマートを曲がった次のビルの二階にある。徒歩2分、または1分と言ってもいいかもしれない。

 

 

 


じつはなんとなく、原稿仕事の合間にも大新の担々麺となるような気がしていた。

 

『大新』は大衆でありながらも名店で、他に鎌倉店と茅ヶ崎店があるが、麺類の絶妙かつ斬新な風味はそれぞれ周波が違うような気がしている。

で、この藤沢店のシェフのいつも笑みを浮かべたまろやかな顔、道路から見える混雑状況、たいていは夜遅くに行くことになるが、担々麺を食べて放心してしまう自分がいる。

 

 

 

 

今日は食べながら詩が浮かんだ。珍しいのと、忘れないようにとiPhoneメールで書いて自分に送ってみた。

こういうのは、一人で食べるボーナスでもある。


担々麺の詩
 
ああ、心に残る胡麻の風味よ
四川、いや水滸伝の英傑たちよ
その熱いネギと挽肉と辛味と円み
極細麺が私に微笑みかけてくる
絶妙なる風味をそらに漂わせてくれ
私の愛にこたえてくれ
私がお酢を入れるのを許してくれ


ここまで愛することのできる麺類は世の中にあまりない。

担々麺ばかりではいけないと思いつつ、いつも常に必ず担々麺。


突然だが、“大新の担々麺”と、体のどこかにタトゥーを入れたくなった。

でもいつか大新の担々麺が心変わり、いや味代わりだったり、休止したときに大きなショックを受けないようにと、次点を考えるようになった。

 

冷やし中華だろうか?夏季限定ということが気になるが、大好きなメニューなので、担々麺———冷やし中華という2トップ作戦で行こうと決定しつつ、ふわりと眠りについた。

 

 

 

翌日は再び鵠沼海岸に行き、友人たちに会い、ささやかな波だったが波乗りをして、ホテルの部屋に戻ってきた。

エアコンのスイッチを入れて思うのは、渋滞と駐車場に苦しめられたお盆休み最終日だった。それでも海水浴に人気のかげりがあるという。こんなにも暑いのにみんな海に行かないのだろうか?


少しあってから私のブログでおなじみの瀧朗とセイントという友人たちがホテルに遊びに来て、”大新に行こう”ということになった。

昨夜大新に行ったことは黙っておいて、勝手にナンバーツー認定した冷やし中華を試してみた。

 

瀧朗はサンラータンメン、セイントはさっぱり顔を保持するためにか、醤油ラーメン。

普段は「大新ラーメン」なんですけど、と言い訳する瀧朗。

 

 

 

瓶ビールをたのむと、アサヒ・スーパードライと共にメンマがやってきて、なぜだか「昭和」というキーワードを得た。

そうか、ここはクラシック(伝統的)な中華屋なのだということを感じ、昭和の頃の藤沢駅前を思い出す。

 

 

 

冷やし中華がやってきた。

麺をまんなかから持ち上げるようにして、上に載せられた具材と混ぜるように紅ショウガも一緒に頬張ると、「うお!」と驚くほどの絶品。

 

大新独特の極細麺にからまる胡麻だれの酸味と旨味が織りなす美しさにさらなる詩が浮かぶ。このスープにアクセントとなる辛子を詩の中に入れるべきか真剣に迷いながら、甘く煮た椎茸をつまみビールを半分グビ。

 

詩集は数多くあるが、ラーメン屋の詩集はそうはないだろう。どうかしたものかと思われるが、本当にそういう気持ちになるので仕方がない。でも一人ではないので詩を書くことはあきらめて、餃子をつまむ。


あっというまに食べ干すと、湘南の底力と磁力が花火のように発光し、夢が再び持ち上がり、意識が覚醒する。
 

ビールを飲み干すと、さらなる魔力を求め、全員で『8ラウンジ』を目指した。酔いと共に滞っていた意識がのびのびと揮発するように気化していく。やはり夜はこうでなくてはならない。
We love Taishin!

 

 

 

I always love coming to this place “Fujisawa Taishin”. Been coming here for years and have to say the Tantan Mein (Szechuan Style Sesame Spicy Noodles, 830yen) and Hiyashi Chuka 880yen are just simply delicious and hard to beat. I always get the Tantan Mein, perfectly spice and thin noodles are semi firm, just as it should be.




中華大新----------------------------------------------------------------

 

神奈川県藤沢市南藤沢23-10 六光会館 2F
0466-23-8833
11:00~翌日4:00
無休
夜10時以降入店可、日曜営業