全てが人生 (2023 No.13) | 噺新聞(874shimbun)

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 年度末から新年度へ。卒業、そして入学。自分の新しい生活が始まります。始まりがあれば、終わりが。実が成るには、種蒔きが。今どこ行きの切符、何の種のスタートですか。

 終わりよければすべてよし ものごとは、結果がすべてで、終わりが大事だといいます。最初の一歩がゴールに、又、最初の選択、あるいは縁によって結果が決まるとも言えます。始め終わり、原因結果、みていきましょう。

 今年のはじめ、知人から「こんな本があるよ」と紹介されました。「人間臨終図巻」山田風太郎著。日本、世界で名が知られている人物の臨終(晩年、死にぎわ)を記したものです。一人二、三ページで九二三名の人達。各分野での偉大な業績は、知っています。しかし、私生活、又、晩年について、初めて知ることが多くありました。

 読み終えての私の感想は、いい思いで臨終を迎えた人は、数人しかいないのでは。各分野において、偉大な業績を残したことと、人間として、充実した人生を歩んだか、この二つは、別々なものだとの思いを強くしました。

 落語仲間から、CDを借り聴きました。落語のオチだけを、一席二、三分にまとめた三十席の噺です。感想は、最後(オチ)に至るまでの、まくら、途中の無駄と思えるような遊びの部分も、いっしょに全部聴きたい!

 WBCで、侍ジャパンが優勝しました。最後、勝った、優勝したという結果だけでは、あれだけの感動はなかったと思います。一か月に及ぶ共同生活の中での人間関係。そして最後の二試合の劇的な勝利です。終わりは、大事です。しかし、最後の結果だけで、評価は決まるものではありません。山は、頂上だけではなく、落語は、オチだけではありません。

 コロナは終息を願いつつ、人間は息の終わり(臨終)まで、元気を目指し、長い息(長生き)を実践し続けましょう。 ’23  4/3  悪志