初めてのこしらの集い | 噺新聞(874shimbun)

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学生時代の落研の後輩からメールが届いた。

落語に関する本の紹介、お勧めだが、今回は立川こしらを知っているかという。

確か立川志らくの弟子で、名前だけは知っているが噺は聴いたことがない。

この立川こしらの本「その落語家、住所不定。タンスはアマゾン、家のない生き方」のお勧めだった。

 

この本、まだ数ページしか読んでいないが、なかなか強烈。

 

「衣」捨てる、手放すは悪いことではない。ネットショッピングで必要なものを手に入れ、使ったら捨てる、洗濯はしない。定住していないので荷物は最小限にするためという。

「食」外食ばかりじゃ身体に悪いから、というのは一昔前の常識だ、という。身体にいい外食はいくらでも存在する。外食で不足するのは栄養ではない。愛情だ、という。

「住」落語家だから仕事先は毎日のように違う。定期的に通う場所はあるが、多くて月1回。日本国内にとどまらず、世界中が私の仕事場。都内にいるのは毎月10日くらい。だから家は不要という。

 

本を読み終わった後輩の情報によると、立川こしらはIT企業の社長で、IT企業を始めたきっかけはネット通販とのこと。

 

ジジイの私からすると宇宙人のような人という印象を受けた。

ジジイの大好きな落語国の住人なので、まぁ、信頼というか信用はおけるのでは、と勝手な思いこみだが、まず、この立川こしらの噺を聴いてみなければと直近の落語会、こしらの集い 立川こしらトークライブ+落語を予約してみた。

予約を入れ決済はコンビニ支払いを選択、コンビニ支払いを済ませるとすぐYahooメールでチケット情報が送付され、QRコードが付いてきた。これを当日会場受付で示せばいいわけだ。

場所は、新橋駅の近く、内幸町ホール、初めて行くホールだが定員183名の落語を聴くにはちょうど良い大きさのホールだ。会場に入って今日のお客の数を数えてみたら40数人。

最前列の10数人は常連とみえ、座席に座るたび周りの人たちと挨拶、何かしらの会話をしている。

 

初めて聴く、見る立川こしら、この噺ぶりもそうだが、まず驚いたのが、19時に緞帳が上がりこしらトークライブ、これが1時間、仲入り10分といいながらこしらは高座は降りず、トークが続く、この間にスマホ、カメラで写真を撮ることを許し、今日の演題は「死神3部作」だと言う。

 

「死神」はいろいろな本、CD、DVDで観て聴いたが、オチ、サゲがイマイチどの噺も定まっていない気がしたが、師匠立川志らくのオチが一番腑に落ちたという。志らくのは誕生日の蝋燭をフッと消すという。

この志らくの「死神」を踏襲している、これがこしらの「死神1」。そして「死神2」「死神3」と語り終えたのが終演21時を大幅に過ぎた21時40分。

この間、2時間40分正座し続け、足の痺れもない様子で高座を降りて行った。これは立派というか、ビックリである。

 

立川こしらが登場の際の出囃子は噺家定番の太鼓、三味線、笛、鐘ではなく、機械的な音の出囃子、これは小室哲哉に作ってもらったらしい。

 

「死神1、2、3」の噺の冒頭はすべて「江戸っ子は皐月(さつき)の鯉の吹き流し、口先ばかりで腸(はらわた)はなし、なんて申しまして」から噺に入っていった。これが落語を語る際の決め事になっているようだ。

 

高座スタイルは明るく、噺家のエネルギーをドンドン聴き手にぶつけてくるような勢いを感じた。

 

後輩からお勧めの本、「その落語家、住所不定。タンスはアマゾン、家のない生き方」、「落語家のようなもの立川こしら論この二冊、まだ読みかけであり、目を通していない本でもある。

ジジイにとっては宇宙人であると感じている立川こしら、本から、より多くこの噺家のこと、知ってみましょう。