DeNA中国 副総裁に訊く中国ゲーム市場 | 中国でソーシャルゲームを配信してる日本人のブログ

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中国スマートフォン向けソーシャルゲーム市場情報は日本最大級蓄積しています。記事はネットにある既存の記事の要点をほぼ抜粋しております。たまに自分の見解も書いています。中国スマホゲーム市場についての質問を受け付けております。

2013年5月28日
東京大学卒業後、日本の大手コンサルティング会社を経てDeNA中国事業に参画した任宜氏に、中国のオンラインゲーム市場について聞くとともに、DeNAの中国事業戦略について解説してもらった。

――中国ゲーム市場の概況について教えていただけますか?

中国のゲーム市場(約5000億円)は、日本(6000~7000億円程度)とほぼ同じ規模
中国には20~30代を中心に有料ゲームユーザーが2億人
決してゲームオタクだけの市場ではない

携帯ゲームのシェアが多い日本に対して、PCゲームがほとんどを占めているのが、中国の特徴
日本のように5分、10分の隙間時間にスマホゲームで遊ぶというよりは、PCの前にまとまった時間座ってRPG(ロールプレイングゲーム)などで遊ぶユーザーが多いのが現状
国営企業の社員の中には、勤務時間中もPCゲームをする人もいると聞いています(笑)

購入したゲームを楽しんでもらう買取型モデルが多い日本に対して、ゲームが簡単にコピーされ無料で配られてしまう中国では、ゲーム利用中の課金で収益を上げるモデルが主流
DeNA中国もアイテム課金モデルでスマホゲーム事業を進めている
現在DeNA中国では、約70タイトルのゲームを展開している

――中国と日本では、ネットインフラも違うようですね。

中国のネットにおけるデータ通信の速度は日本と比べるとかなり遅い
有線ネットは、光の導入も始まりスピードが改善されている
モバイルは遅い状況が続いている

モバイルの3Gのシェアが半分もない状況なので、トラフィック量の多いゲームは成立しない
モバイルの通信速度だけでなく、データ通信費用も日本とは違う
中国では日本のようにパケ放題(定額制データ通信契約)がないので、下手をすると“パケ死”(携帯電話のデータ通信料金が高額となり、支払い不能となること)する

日本やアメリカでは、サーバーとの頻繁な通信を必要とするゲームが主流で、クラウドゲーミング(サーバー上でゲームを動かし、ユーザーはクラウドを通じて、音と映像を端末で受け取ることでゲームがプレイできる仕組み)の議論も盛んですが、中国ではネットインフラが整っていないので、できるだけデータ通信量を減らす設計でゲームを制作しないと成り立たないのです。

ゲームビジネスをグローバルで展開する場合、ネットインフラ先進国(日本、韓国、アメリカ、欧州など)と、ネットインフラ発展途上国(中国、インド、ロシア、アフリカなど)は分けて考えるべきだと思います。DeNAは、それぞれの市場にあったモデルを構築して勝負しようとしていますが、競合の中にはグローバル統一モデルにこだわる会社もあります。ネットインフラ先進国だけ狙う(発展途上国は、インフラが先進国レベルになってから狙う)と割り切るのであれば、グローバル統一モデル戦略もありだと思います。

協力し合う日本人ユーザー
競争を好む中国人ユーザー

――中国ゲーム市場も、一部のヘビーユーザーからの売上が大半を占めるのですか?

 一般論で言えば、中国のゲーム市場でも「8対2の法則」が成り立ちます。市場全体を見ると、たくさんゲームにお金を使う2割の層が、売上の8割を占めています。その2割のヘビーユーザーは、お金や時間を使うことで、現実世界では得られない満足感をゲームの世界で得ているのです。

 ヘビーユーザーが、ゲームに参加するメンバーで構成されるチームのリーダーとなって、ライトユーザーを従える構造となっています。

ヘビーユーザーはライトユーザーがいるからこそ優越感を感じることができ、ライトユーザーはヘビーユーザーがお金を消費するからこそ安価でゲームを楽しむことができるという相互にメリットがある関係になっています。

――中国と日本で人気があるゲームの傾向に違いはありますか?

 流行るゲームの本質に差は無いのですが、日本では、どちらかというとユーザー同士で協力しあう向きがあります。現実の世界と同じように、周りからの信用を裏切るような行為をするとゲーム上でも村八分になるからでしょう。ゲーム上のコミュニケーションで使われる言葉ランキングでも「ありがとう」が上位に来るのも日本のゲームの特徴です。

逆に中国では、力を誇示したり対決したりすることが好まれます。日本の「協力」に対して「競争」という概念が強いのが中国の特徴です。

――御社のようにスマホゲームのプラットフォームを中国で運営する競合会社はどのくらいありますか?

 現在中国のスマホゲーム業界には、我々も含めて10~20社のゲームプラットフォーム事業者がいます。今後は、数社のタイプ別プラットフォーム事業者に収斂していくはずです。DeNAもそこに入るのが目標です。

 PCオンラインゲームでは中国、韓国が先行していますが、スマホゲームは日本が先行していますし、中国人ゲームユーザーに対する理解度では中国企業が有利ですが、数分の隙間時間にゲームをするスマホゲームのノウハウは、DeNAに優位性があります。スマホゲームビジネスであれば、我々にも十分勝機があると思います。

 また我々は、中国のネットトラフィックの一定割合を押さえている百度、新浪、360(奇虎)、人人網、91.comなど中国有数のポータルサイトとも提携し、それらから集客できる流れを作っています。これだけ幅広く提携関係を作ることで、中国のポータルサイトの競争で、誰が勝っても我々への影響はあまり出ないような体制を作っています。ポータルサイトの中には、自身でゲームビジネスをやっている会社もありますが、ゲームは彼らのビジネスのコアではないので我々と提携できるのです。

 このような大手ポータルサイト事業者と単に提携するだけでなく、結果を出していくためには、相手のニーズを満たしながら、こちらのやりたいことを実現することが重要です。そのためには相手企業の戦略目標だけでなく、その企業で働くキーパーソン個人の業績目標まで知ることが重要です。自社の都合ではなく相手の都合を優先することで、より有利な条件で協力してもらえるからです。そのためには、普段から業界内のキーパーソンとコミュニケーションを頻繁に取り、相手の状況や業績目標の変化を把握する活動が欠かせません。

ノウハウを移植し市場拡大を促し
ジャパニーズドリーム具現化へ

――中国ローカルのゲームメーカーから見て、ゲームプラットフォーム事業者としてのDeNAの魅力は何でしょうか?

 まず一番大きいのは、前出のアライアンスによる集客ですね。我々が各ポータルサイトへのつなぎこみを行っているので、ゲームメーカーさんはMobageにだけ対応すれば大丈夫で、かなり作業工数を減らすことが可能です。

 他にも、スマホゲームでは、ゲーム自体のデキもさることながら、リリースした後の運用、カスタマーサポートなどが実は重要なのです。同じゲームでも、どのイベントを多めに運用するかでユーザーの利用状況が変わるからです。オンラインゲームは、「チューニングが勝負」といってもいいでしょう。オンラインゲームのエンジニアは、ゲームリリース前より後の方が大変なのです。昨今中国でもカードバトルゲームが人気を博していますが、DeNAは日本の経験を活かして、その運用のアドバイスができるというのも強みですね。

 また中国のプラットフォーム企業と組むと、ゲームをコピーされるのではないかと心配する声もありますが、DeNAではもちろんそういう心配がありません。実はかなり大変な端末対応もサポートしていることもゲームメーカーがDeNAのプラットフォームを使うメリットだと思います。

 今は、中国でスマホゲームを普及させるフェーズなので、我々が積極的に中国のゲームプレイヤーにノウハウも教えながら市場を広げているところです。

――外部から見ていると、御社はこれまで中国事業で苦労をされていたように見えます。

 DeNAの中国事業は、独資で進出した2006年にスタートしました。その後、中国のソーシャルネットワークサービス運営会社を買収するなどもしてきましたが、これまでは、当初の思惑通りには進んでこなかったということはあるかもしれません。

 ただし、数年前にスマホゲームに特化してからは順調に進んでいます。現在は、中国事業の主要なポジションに、中国ゲーム業界で経験を積んだ人材を配置し、海外との連携が必要な部分では日本での経験が長い人を配置する適材適所なチームを組んでいます。

 私のように日本での生活経験が長い人材も経営チームにはいますが、経営会議メンバーの中で日本人は1人だけです。社内の技術者も半分以上が中国有名大学卒です。特にオペレーションの担当者には、中国のオンラインゲームユーザーのことを理解している経験者は、学歴は問わず実力者を雇っています。

 我々は、ゲームビジネスで勝つのはもちろんのこと、日本人が夢を見ることができるようなジャパニーズドリームを具現化する会社になりたいと思っています。アメリカには、アップルのスティーブ・ジョブズのようなアメリカンドリームがあり、中国では百度のロビン・リーのようなチャイニーズドリームがあります。

 しかし日本の売上トップ100の中に、ここ20年でのし上がってきたベンチャー企業はYahoo!とソフトバンクくらいしかいないのが現状です。100個のロジックよりも1つの成功例だと思いますので、我々はその成功例になれるよう頑張っていきたいと思います。


【上記はほぼ転記 出典は以下】
2億人の有料ゲームユーザーを取り込めるか
中国でジャパニーズドリームを具現化する
――任宜・DeNA China副総裁
http://diamond.jp/articles/-/36531