本来、どのような条件で働くかは、個々の社員と会社の合意によって、自由に決定できるのが原則です。しかしながら、個別的な合意のみによる決定方式ではいろいろと不都合が生じるので、労働条件は、個別の合意を基本としながらも、複合的な枠組みのなかで決定される形式となっています。
(労働慣行)明文化されていなくても会社内で当然のこととなり規範化していること
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(労働契約)労働者と会社との間で個別に交わされるもの
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(就業規則)労働条件や服務規律などについて会社が定める規則
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(労働協約)労働組合が会社との団体交渉によって合意した内容を書面化
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(法令)労働基準法を中心とする一連の労働法規
労働契約で取り決める内容は、労働基準法の基準に達していないときには無効となり、その部分は労働基準法の基準が適用されます。
(1日10時間労働で1万円の給料 → 1日8時間労働で1万円の給料 となる。)
就業規則の内容が、法令に違反したり労働協約に抵触したりするときは、その部分が無効となります。就業規則や労働協約を下回る労働契約を交わすことはできません。
通常は、労働契約を交わすときに一つ一つ細かいことまで労働条件の交渉をしません。せいぜい給料や労働時間などの待遇くらいでしょう。その場合に、具体的に決めなかった部分については、就業規則に定める労働条件で契約したことになります。
仮に社員が就業規則の内容を読んでいないかったり、就業規則の存在を知らなかったりしても、就業規則に従って労働契約を結んだことになります。なお、就業規則等に盛り込まれていなくてもずっと慣習的に行われてきて、社員みんなが当然行われると認識していることは”労働慣行”となり、制度化されているのと同じ効果が生じます。
就業規則
常時10人以上の社員(パート等を含む)を雇っている場合、会社は就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。その際に、社員代表の意見書を添付する必要があります。就業規則を改定したときも同様に、社員代表の意見書を添付の上、労働基準監督署に届け出なければなりません。
また、就業規則を社員全員に渡す必要はありませんが、見やすい場所への備え付けなど、見たいと思ったときにすぐ見ることができる状態にし、社員への周知徹底を図らなければなりません。
就業規則は、言ってみれば会社の憲法のようなもので、会社が社員を雇って就業させるには不可欠の管理基準です。会社側にとっては、社員に共通の基準を定めることによって職場の秩序を確立し、事業の効率的な運営が可能となります。社員側にとっては、職場において守るべきルールが明確になって、恣意的な処分を受ける恐れがなくなる等、安心して働くことができるようになります。
就業規則に記載する事項は、次の3つに分かれます。
(1)絶対的記載事項 (必ず記載しなければならない事項)
・始業および終業の時刻、休日、休暇、休憩時間、社員を2組以上に分けて交替に就業させる場合には就業時転換に関する事項
・給与の決定、計算及び支払い方法、給与の締切りおよび支払いの時期、昇給に関する事項
・退職に関する事項
(2)相対的記載事項(すべての社員に適用する定めがある場合に記載しなければならない事項)
・退職金や賞与の計算、支給に関する事項
・表彰や制裁などの人事に関する事項
・職場の安全衛生や労災保険、私傷病扶助などの安全に関する事項
・職業訓練などの教育に関する事項
・福利厚生に関する事項
(3)任意的記載事項(任意に記載すればいい事項)
・採用の手続や試用に関する事項
・出張等の旅費に関する事項
・業務上の遵守事項
・配置、異動、昇進、休職、解雇など社員の人事に関する事項など
就業規則の作成は、法令を押さえた上で、いかに会社の実態に合わせてアレンジするかが重要になってくると思います。