取り敢えず打ち破ろうか 265 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

ほんの短い休息で

貴方と画伯は着替えに向かった

暁殿の儀を終えたら

即位の儀は全て終了する

 

本来であれば晩餐会が締めくくりになるが

帝(長)が誰かを公表していない為

暁殿の儀の後、祝宴が開かれ

それが最後となる

 

本家側は祝宴には参加せず

その代わり、帝(長)を囲んだ食事会を行う

(主役が居るんだからこっちがメインだよな)

 

「は~ 漸く息が出来る!」

 

深呼吸をして

嬉しそうに叫ぶ翔兄

俺達も窮屈な衣装から解放され

洋装(燕尾服)に着替えた

(まだ上着は脱いだままだけど)

 

当時の衣装は華やかで威厳もあるが

本音を言えば、あまり着たいとは思わない

 

「同感!ワイシャツの窮屈さなんて

 可愛いと思えるよ」

 

まだ上着もタイも着ていないけど

動きやすさは雲泥の差

 

翔様はあれが日常だったんだよな

そう考えると頭が下がる

 

「燕尾服も窮屈だけど

 比じゃないな(笑)」

 

二人で顔を見合わせて笑った

 

「でも、貴重な経験をさせてもらった

 心から感謝してるよ」

 

「それは俺も同じだな

 同行者のつもりで来ていたら

 がっつり当事者で

 正直、驚いた」

 

画伯を迎えに来るつもりで

里に来たんだから

ひっくり返るほど驚いたと思う

 

「関係のない人たちは

 呼ばれないんだよ ・・・

 きっと遠い昔に

 先視されてたんだと思う」

 

貴方に出会い恋に落ち

一度は別れを選択したけれど

どんな困難な道でも

二人で乗り越えると決めた

そんな中で支えてくれた人たち

そして翔兄と再会し画伯と出会い

全ての謎が解き明かされていった

 

俺達をずっと導いてくれてたのは

皇子であり翔様だった

この二人に力を与えてたのは

蒼穹殿に住まう歴代の帝だろう

 

遠い昔、一筋の希望の光を見た彼らが

この日を迎えるために

尽力したんだと思う

 

 

「そうかも知れないな

 俺は義父(ちち)が出来た(笑)」

 

翔兄がすっきりした顔で笑みを浮かべる

 

両親に対する思いを切り捨て

絶縁を選んだ翔兄

 

俺としては ・・・ いつか ・・・ 

全てをぶつける機会が有れば良いのにと思う

 

それをしないと ・・・

本当の意味での絶縁は出来ない気がする

まあ、画伯がついてるから

そこは心配しなくても良いのかな

 

「失礼します

 支度が済みましたら

 お席に案内いたします」

 

ダークスーツに身を包んだ小瀧君が

にこやかな顔で中に入ってくる

 

「小瀧君は衣装を身に着けないの?」

 

「俺は帝の傍に着くので

 動きやすい格好でないと

 いけないんです」

 

「ああ、そうか

 綾野君は画伯と一緒だ」

 

高御座に上がる貴方の介添えをするのが小瀧君だ

かなり重要な役目だ

 

「俺達を案内したら

 智君の所に行くの?」

 

「はい、その予定です」

 

お世話係の忙しさは

俺達の想像を遥かに超えてる

 

「これが終わったら 

 休暇は取れるの?」

 

「どうかなぁ ・・・

 美術館の開館準備が有るので

 長くは無理です

 落ち着いたら綾野さんと交代で

 休暇を頂くつもりです」

 

そこはちゃんと申請した方が良い

その辺りの事は長は寛大だから

長い休暇をくれるよ

 

「それが良いな」

 

翔兄が彼の肩を叩いて

少しだけ窮屈な上着を着た

 

俺もそれに習って身支度を整えると

小瀧君が「では案内します」

そう言ってドアを開けてくれた

 

「小瀧君、家の親はもう来てる?」

 

「はい、既に貴賓室にお入りになられました」

 

陽の一族として参列するのだから

当然、最上級のもてなしになるのか

今頃、面食らってるかな?

 

「二人とも緊張してた?」

 

「どうでしょう?

 お会いしていないので

 分からないです」

 

当然と言えば当然だな

彼はお世話係だった

 

「小瀧君はお世話係だ

 報告だけ聞いたって事だね」

 

「ええ、帝の質問に答えられるよう

 情報はすべて頭の中に入ってます」

 

翔兄の言葉に

頷きながら答える

 

カンテラで会った頃

彼がここまで頼りになる

お世話係になるとは

思いもよらなかったな

 

 

何だか彼まで眩しく見えてきた

 

 

 

 

<続きます>