君のいない迷路 155 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

内田の無茶振りで歌う羽目になった俺達

出来れば歌は誰かに任せたい

はっきり言って

人に聞かせる代物ではない

(その歌が動揺だとしても)

 

「そもそもどうして謳う羽目になったの?」

 

真ん中の列に座る君の聞くと

ムスッとした表情のまま振り向いて

 

「日本だとこの時間は夕焼けだって

 話をしてたら ・・・

 同様の話になって ・・・

 そしたら内田が歌えって」

 

君の隣の席をちゃっかりゲットした内田が

にやりと笑って

 

「智、めっちゃ歌上手いんだよ

 櫻井知ってる?」

 

鼻歌は聞いたことが有る

確かに上手だった

 

「上手くないって」

 

「高校の頃、文化祭で謳ったじゃん」

 

それは初耳

君の事で知らないことがまだあるとは ・・・

 

「僕の高校時代の汚点が ・・・」

 

何で言うんだよって顔をして

内田の顔をジロリと睨んだ

 

「文化祭の出し物?」

 

俺の隣の池田が興味津々の顔で

二人のシートの背もたれに手を置いて

話の輪を広めていく

 

「うん、好きなバンドのコピーバンドで

 文化祭に出ようって事になって

 仲間と申し込んだの

 何故か一番最後の発表になって

 焦ったんだよ

 正直、下手くそなバンドで

 特に歌は目も当てられないほどだったの

 そこで智に頼み込んだの」

 

「それって、すんごい迷惑じゃん」

 

池田が君の肩を叩いて

お気の毒にって顔をした

 

確かにすごい迷惑だけれど

多分、相当歌が上手いんじゃないだろうか ・・・

その頃に出会ってたら

絶対に観に行ってた

 

「それで引き受けたの?」

 

俺の質問に君は大きく頭を振った

 

「最初は断ったよ

 内田達のバンド愛についていけなかったし」

 

コピーバンドを作る程の推しバンド

そりゃ相当な思い入れがあるはず

そこについていけるかと言われると

難しいだろうな

 

「どうやって口説き落としたの?」

 

今度は内田の肩を叩いて

興味深そうな顔をする池田

 

「4人で毎日教室に頼みに行った」

 

「昼休みに毎日来るから

 周りから引き受けてやれよって諭されて

 ほんで、文化祭だけって約束で引き受けた」

 

そこ迄頼まれたら

断れないだろうな

君の性格だと

 

「それで?」

 

「大成功だったよ!

 大トリに相応しいって」

 

「もしかして 撮影とかしてる?」

 

「うん あるよ」

 

「それは見せて貰わないと」

 

「内田、もし見せたら絶交な!」

 

絶対に嫌だという顔で

何度も頭を振った

 

こそっと見せて貰いたい ・・・

多分、池田もそう思ってるはず

 

「盛り上がってるね

 で、誰が歌ってくれるの?」

 

俺達の会話を黙って聞いてた前の二人

君が少し怒った顔をしたのが見えたのか

すかさず会話に入ってきたノア

 

「それは勿論 智!」

 

今日の内田は一味違ってるというか

かなり強引だ

異国の地に来て

テンションがおかしくなってるのかも

 

「4人で歌うって話だろ」

 

なんか可哀想になってきたから

手を挙げて一緒に歌うことを宣言

隣の池田にも歌えと

目で圧を掛けた

 

「OK、童謡なら歌えるよ

 内田も歌うんだよ」

 

池田もギター片手に歌ってたから

俺よりは上手だ

カウントもとってくれて

4人で「夕焼け小焼け」(この題名であってる?)を謳った

 

 

俺の内田は極力ボリュームを抑えて

 

だって、君の歌が聞きたい ・・・

 

 

内田が言った通り

透き通るような声で謳う君

プロの様な歌唱力

 

そりゃスカウトするよな ・・・

 

 

しまった、録音しておくんだった ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>