君のいない迷路 137 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

事の顛末を話し終えるまで

ただ聞くことに徹していた池田

後で何を言われるか

正直それが一番怖い 

 

「それで俺が財布落としたことになったんだな」

 

「母がお前に電話するとは

 一ミリも思わなかったから

 声を聴いて驚いたよ ・・・」

 

「ふふ ・・・ あの慌て方はそれか(笑)

 真に迫った演技だったから許す」

 

滅多に褒めない池田から

思いがけずお褒めの言葉を頂いた

明日雨でも降るんじゃないか?

思わず窓の外を見たくらいだ

 

「あの時はどう切り抜けるかだけを考えてて

 財布を落とし設定にしようと決めてた

 でも、母だったら ・・・

 あそこまで演技できなかったかもな

 お前の辛辣な合いの手で 

 追い詰められてたから」

 

冷たい声での突っ込みには

冷や汗が出た ・・・

 

「え?追い詰めてたか?」

 

『そんなつもりは無かったけど』

とでも言いたげな声

 

「携帯あれば事足りるとか

 言われたら

 相手もそう思うだろうなぁと

 設定の甘さに気が付いて大慌てだよ」

 

「あはは ・・・ でも、事実だし(笑) 

 お前の慌てぶりが見たかったよ」

 

なんかムカつくな

絶対に楽しんでるな 

 

「他人事だと思うから笑えるんだよ」

 

思わず切れると

笑いながら「悪い」と言った

 

「前にも言ったけど

 親戚となると厄介だよ

 仲良しだった『またいとこ』なら

 猶のこと ・・・

 食事に行ったり

 連絡先を交換するのは普通のことで

 頑なに断られたら首を傾げるだろし ・・・」

 

その通りなんだ ・・・

嫁候補にもなっていない相手(現在)

相手の心情も分かっていない

 

「そこなんだよ

 全くそのつもりがない

 可能性だってあるだろ

 親戚の兄ちゃんなら頼りになると

 思ってるのかも知れないし」

 

俺の言葉にしばし沈黙した後

 

「何とも言えない ・・・」と呟いた

 

「半々だと思う?」

 

どう思ってるのか聞かせてくれよ ・・・

 

「いや ・・・ もっとだろ ・・・

 あの感じでは ・・・」

 

此奴は俺より勘が鋭いから

多分そうなんだろうな ・・・

 

でも ・・・ 逃げてばかりもいられない

 

「どうしたらいいと思う?

 連絡先 ・・・」

 

「おばさんが確認してくれるんだろ?」

 

「うん、そう言ってた」

 

「それを聞いてから考えたら

 嫁候補に名乗りを上げるなら

 距離を置くべきだし

 そう思ってても

 言わないか ・・・」

 

『う~ん』と言って考え込んでる ・・・

 

「言わないだろうな

 まだ大学生だし ・・・」

 

「それはそうだ ・・・

 祖父さんの思惑はどうなの?

 そっちの方を調べないと

 ダメなんじゃない」

 

「確かに

 祖父さんからそれとなく言われてたら

 母には言わないな ・・・

 そして俺は断れない」

 

『連絡先くらい教えてあげなさい』と言われたら

反論できないもんな ・・・

 

「そん時は仕方ないだろう

 教えたからって

 どうなる訳でもないんだし

 お前がきちんと線を引けば良いんじゃない?」

 

「うん、そうだな ・・・

 俺が線引きを

 間違えなければいいんだ」

 

「ただし ・・・ 忠告な」

 

池田の声が真面目モードになる

 

「うん」

 

此処は心して聞かないと

 

「勘違いさせるような言葉は使わない

 さっきの「いつでも相談にのる」もアウトだぞ」

 

「やっぱりそう思う?」

 

「そう言う言葉を使うなら

 妹のように思ってるからとか付け加えないと

 相手に期待を持たせたらダメだ

 後、休日は暇とかもNGな」

 

「うん ・・・それは母にも言われた ・・・

 俺は甘いって ・・・」

 

「自分で思っている以上に

 お前は優しいし甘い

 そうだな ・・・ 会社に突撃されるよりは

 連絡先を教えた方が逃げやすいかもな」

 

「それは俺もそう思った」

 

「おばさんと話をして

 最終的に決めたら

 俺は何も言えないぞ」

 

「そう言いながら

 相談に乗ってくれる

 お前は最高の親友だよ」

 

「ありがとう

 サンフランシスコで奢って貰うよ

 まあ、来週だから

 暫くは保留だな」

 

「そうだな ・・・

 長い時間付き合ってくれて

 ありがとう」

 

「どういたしまして

 んじゃ、またな」

 

「おやすみ」

 

持つべきものは友

池田が居なきゃ

俺はもっと迷子になってただろうな ・・・

 

 

 

 

 

 

<続きます>