取り敢えず打ち破ろうか 149 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

翔兄の覚悟を聞いて

父も覚悟を決めたようだ

橘の流れを汲む櫻井一族として

第2の人生がスタートするつもりなのだろう

 

「翔はどうするつもりなの?」

 

耀の一族の柵から抜けた今

東京にいる必要はないと思ってる

 

「あの人の所に行くよ」

 

母の質問に答えたら

3人が俺の方を向いて

 

「行って何をするの?」

 

3人とも同じ言葉を発した

 

「ちゃんと考えてるよ

 この春に美術館がオープンするんだ

 そこの職員として働きたいと思ってる」

 

「春にオープンなら

 職員募集は終わってるんじゃないのか?

 それに ・・・」

 

父の言いたいことは分かる

あの街は一族の結束が固く排他的 

美術館職員も里の者たちで占められるだろう

お世話係としては

職員を選ぶのも慎重なはず

(なんせ長が働くんだから)

 

「まだ数名の空きがあったんだ 

 募集要項をみて

 俺にも資格があったから

 申し込みをした」

 

「何時したんだ?」

 

「昨日、翔兄と掃除した後だよ

 俺にとって一番重要な事は

 あの人と共に歩くことなんだ

 それは ・・・ あの方の願いでもある」

 

「あの方?」

 

母が怪訝な顔をして

父と顔を見合わせた

 

「おじさん、おばさん

 俺が説明するよ

 サクから聞いても

 信じられないだろうから」

 

翔兄は翔様と皇子の事を

事細かに話してくれた

 

貴方と皇子がいれば

彼らが姿を現すことが出来るけど

俺にはそんな力はない

 

「翔兄の話を信じてもらうしか方法もない ・・・

 

「私たちはその話を信じるよ

 翔の思う通りに生きなさい

 彼を支えられる人にならないといけないよ」

 

「あの人が言ってくれたんだ

 支え合いながら生きて行こうって ・・・

 だから、俺も支えてもらうよ」

 

「それが一番よ(笑)

 美術館落ちたらどうするの?」

 

母のきつい一言に

苦笑いの翔兄と父

 

「その可能性はあるな

 それで面接とか決まってるのか?」

 

「来週にならないと連絡が来ないよ

 まだ正月休み中だよ」

 

「彼は知っているのか?」

 

「連絡していないから知らない

 もし落ちても、何度も挑戦するよ」

 

「連絡しない方が良いな

 彼に迷惑を掛けてはいけないだろう

 即位の儀の前で忙しいだろうから」

 

「うん、分かってるよ

 知らせるつもりはないんだ

 あらぬ詮索はされたくないから」

 

「それが賢明だな」

 

「サク、落ちたら

 別の方法を考えたら?」

 

翔兄の顔が仕事モードになった

 

「別の方法って ・・・

 まさか起業しろとかいうんじゃないの?」

 

「そのまさかだよ

 あの街は文化財が多数ある

 それに関わる仕事を考えたらどうだ?」

 

「受ける前から逃げ道は作りたくない

 それに、俺に社長は無理」

 

「そう決めつけなくても ・・・」

 

「いや、この子は経営者には向かない

 優しすぎるんだ ・・・

 社員は怖くてついて行けない」

 

「個人経営者なら出来るかもしれないわね」

 

母がフォローのつもりか

貴方でも出来る仕事があるわよって顔をした

 

 

お坊ちゃま育ちの俺に経営者は無理

父の判断は間違っていない

 

当主になる、ならないで

ぶれてた俺だ

当たり前の事だと思う

 

「それで良いじゃないですか?

 大きな会社を興せとは言ってないですよ

 それこそ、雑貨屋さんのような

 自分のやりたい仕事をすればいいと思って」

 

「ねえ、どうして落ちる前提なの!

 そこは受かるよって

 嘘でも言ってよ」

 

「言いたいのは山々だけど

 そこは ・・・」

 

3人とも引き攣った笑みを浮かべて

首を傾げた ・・・

 

難しいのは分かってる

いくら俺が一族と絶縁しても

耀の一族であることは変わりはない

 

でも、絶対にあきらめないから ・・・

 

 

 

 

 

<続きます>