同じ夢を見ていたい 3(妖精さとち大人編) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

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大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

都会の片隅にある古い洋館

壁の色も扉の形もすりガラスも

外灯も ・・・ あの日のまま

何も ・・・ 何も変わらない ・・・

僕たちを守る家

お店の扉の前で立ち止まり

視線を上下左右に忙しなく動かす

その様子を見て蒼ちゃんがクスッと笑う

 

「チビがいた頃と何も変わらないだろ」

 

「うん ・・・ あの頃に戻ったみたい ・・・」

 

とっても不思議な感覚

扉がゆっくり開いて

「あおちゃん、おかえりなしゃ~い」

 

そう言いながら

幼い僕が飛び出してきそうな

そんな錯覚に囚われる

 

「エルフの国とまではいかないけど ・・・

 ちょっとばかり時間軸がズレてるかも(笑)」

 

「そうなの?」

 

人の世界の建物

時間軸がズレるのはあり得ない

 

「ほんの少しゆっくりかな ・・・

 まあ、影響はない」

 

気にする必要はないよって顔で

扉を開けてくれる

 

「どうぞ、店中のアンティークが

 首を長くして待ってたよ」

 

蒼ちゃんみたいに彼らの声は聴こえないけど

店の中に足を踏み入れると

そこら中から音が聴こえる

 

「謳ってる(笑)」

 

蒼ちゃんには歌に聴こえるらしい

心地い音が『おかえり』って言ってくれてるのは分るかな

 

「ただいま」

 

大きな声で伝えると

一斉に返事をする

その音が聴こえたのか

奥から和さんとマサキさん

お父さんが出て来た

 

「おかえり~、待ってたよ」

 

テンション高めの雅紀さんが

僕の事をギュっとする

 

「こら、いきなり抱き付いたらダメだろ

 さとしが困惑してるぞ」

 

和さんが雅紀さんの背中をおもいきり叩いた

 

「そんな事ないよ

 本当はね和もしたかったんだよ」

 

和さんがきまり悪そうな顔をして

雅紀さんを睨むから

僕の方から抱き付いた

 

「ただいま」

 

「おかえりなさい」

 

漸く満面の笑み

そのままお父さんにも抱き付いて挨拶

 

「おかえり、良い顔してるよ」

 

「はい ・・・ 明日から

 お店に出れます」

 

「それは頼もしい

 私も引退だな(笑)」

 

「それは困る!

 お父さんに教えて貰わないと」

 

「チビ、冗談だよ

 この人店に出るのが大好き(笑)」

 

「こんなに身近で人と接するなんて

 私がO国に居た頃みたいで ・・・」

 

「一体いつの話をしてるんだよ(笑)」

 

「いつって ・・・」

 

お父さんが片眉をあげて

指を折り始める

 

「父さん、それショック受けるから

 止めといた方が良いよ(笑)」

 

何も ・・・ 本当に何も変わらない日常がある場所

帰ってきたなって感じる

 

 

 

人の世界で生きていく術を学んだけど

僕が暮らせる場所は限られてる

人の姿をしてても妖精

 

ここが僕を守ってくれる場所 ・・・

 

 

「あ~ ・・・ さとし ・・・

 おかえり~」

 

後ろからま~君の声

 

「ほら、ま~君が忘れ物するから

 僕たちが後になっちゃったでしょ」

 

カズ君がま~君に小言を言う

いつもの二人(笑)

 

「おかえりなさい さとし」

 

一番幼かったじゅん君は

今じゃ、イケメン妖精で

お城の教育係

 

「ただいま」

 

「出迎えに間に合わなかったか ・・・

 さとしくん おかえり」 

 

3人の後ろから入って来た緋~ちゃん

ちょっとバツが悪そうな顔をする

 

「ジュンは?」

 

「夕飯には間に合うように来るって」

 

「チビ、荷物を部屋に置いてきて

 その間に珈琲淹れるよ」

 

「うん、そうする 

 みんな待っててね」

 

階段を上がって客間の横

部屋はあの頃のままで

壁には大好きな人の写真や絵が飾ってある

そのどれも全く色褪せることなく残ってる

蒼ちゃんが、あの日のまま封印したからかな?

 

 

『神の庭』で妖精で生きていくことを選んだ僕ら

だから大切な人との記憶は消えていない

 

 

全員が揃って夕食を頂くのは

何年振りかな?

みんな大人になって

お酒が飲めるようになって

昔の思い出話に花が咲いた

 

 

全員が部屋に戻ったあと

下に降りていくと蒼ちゃん

 

「来ると思った(笑)」

 

蒼ちゃんがクスクス笑う

 

「蒼ちゃんがいると思ったから(笑)」

 

「内緒で作らないと

 意味がないからな」

 

「うん、そうだね」

 

「向うに居る時は何処で?」

 

「毎年この日は王子の離宮(笑)」

 

「3人で?」

 

「そう、僕は二人の助手(笑)」

 

「じゃあ、一人前のパティシエだ

 大切な相手の為に作れる日が来た」

 

「渡せるかな?」

 

「自信がない?」

 

「会えるかどうかも分からない

 忘れちゃったかもしれない ・・・」

 

「ふふ ・・・ それを確かめる為にも

 最高のケーキを作ったら(笑)

 そう言えば ・・・ 歌があったな」

 

「蒼ちゃん ・・・ それは忘れて!(笑)」

 

「え~可愛らしい歌だったけど」

 

顔から火が出そう ・・・

ケーキを作る時の歌

大ちゃんも憶えてた

 

「あれはチビだったから歌えたの!」

 

「謳った方がいいぞ

 想いがた~くさん詰まったケーキになる

 明日 ・・・ 二人で食べれると良いな」

 

「うん ・・・ そうだね」

 

 

蒼ちゃんが、僕が作った歌を口ずさみながら

ケーキを作り始める

 

僕も ・・・ 謳おうかな ・・・

 

大好きな人に贈るケーキ

美味しくな~れと

想いながら謳う

 

 

 

 

 

 

 

 

8年も前の約束 ・・・

お兄ちゃんには重荷になっていない?

 

 

 

 

<続きます>

 

 

話が前後してしまいました

誕生日前日の話です

3話完結と思っていたのですが

6話くらいになりそう

いつも終われない💦