虹の欠片 85 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

テーブルの上に置いたかなり大きい靴下

両足が入るくらい(ちょっと大げさかな?)

上の部分がリボンで結んである

そのリボンを解く時の表情

ドキドキとワクワクが混じった

嬉しそううな顔をする

 

「なにがはいってるのかなぁ ・・・」

 

晴が一番に取りだしたのは

毛糸の帽子

 

「しょうちゃんぼうだ!」

 

晴の言葉が喜びを纏った

歓声のような声に変わる

それは他の4人も同じ

 

子どもたちに大人気の

新聞4コマ漫画の主人公が被ってる帽子

(『しょうちゃんの冒険』)

単行本としても発売されている

家の本棚にも数冊置いてある

 

全員が色違いのしょうちゃん帽を手にして

晴と悟は直ぐに頭に被った

 

「とうちゃん、にあう?」

「ちち、ぼくは?」

 

「似合ってるよ」

 

「しょうちゃんの冒険の

 主人公みたいだよ」

 

「雅紀、どうする?

 主人公候補が5人もいる」

 

和が5人の顏を見てニヤリと笑う

 

「そりゃ、五つの冒険で

 主人公も5人でいいんじゃない

 そこは監督の腕の見せ所(笑)」

 

「二宮監督には頑張って貰って」

 

相葉ちゃんと松本君が

大真面目に言うから

二人の祖母は大爆笑

 

そんな3人に目もくれず

袋の中を覗き込み

もう一人の祖母からのプレゼントを取りだす

 

「長くつしたと手ぶくろ!」

 

今度は健太が嬉しそうな声をあげた

 

「これで外に行くのも寒くない!」

 

零治が手袋を嵌めて満面の笑みを浮かべた

 

肇の靴下は普通の長さで

(流石に半ズボンは履かないからだ)

手袋も革

 

「帽子と長靴下、しょうちゃんに変身できるな」

 

「うん ・・・ できる!」

「みんな、おそろいなのがうれしい!」

 

4人はお互いの帽子や手袋を見せ合って

外に出掛けるのが楽しみだと

嬉しそうに話している

 

その様子を二人の祖母が目を細めて眺めてる

その姿が胸の中につっかえてた物を

ゆっくりと溶かしてくれた気がした

 

まるで示し合わせたような贈り物

思っていたよりも気が合うのかも ・・・

 

「ねえ、貴方のは?」

 

翔が耳元で訊ねる

 

「奥の方に入ってるから ・・・

 見つけてくれるかな?」

 

後で見つけても良いけど ・・・

 

気を利かせた相葉ちゃんが

 

「袋の中を見直さなくて良い?

 まだあるかもだよ」

 

って子どもたちに伝える

 

「サンタさんが手にした靴下は

 魔法の靴下だよ」

 

「何か出てくるかも?」

 

カズと松本が楽し気に言葉を続ける

 

言われた子どもたちは中を覗き込む

 

「あ~ ・・・ ぼくのほしかった ・・・

 クレ ・・・ パス? ・・・」

 

欲しかった物には違いないけど

見たことのない字に困惑した顔をする

 

「うん ・・・ 健太の言うように

 クレパスって書いてある」

 

健太と零治が首を傾げる

 

「クレヨンじゃないの?」

 

翔が怪訝な顔をして健太の手元を覗き込む

 

「それはクレパスだな」

 

「クレパスって商品なの?」

 

「流石サンタさん

 出来たてほやほやの

 クレパスを届けてくれた」

 

まだ全国流通はしていないが

これからはこっちが主流になると思う

 

「サンタさん ・・・ すご~い」 

「ねえねえ、クレヨンとは

 なにがちがうの?」

 

4人とも興味津々の眼差しを向ける

ん ・・・ 翔も肇も?

 

「色が混ざる所だよ」

 

「色が混ざるの?」

今度は大人の方が興味津々

 

「ああ ・・・ 重ね塗りが出来る

 例えば沢山の色を下絵に塗る

 その上に黒色を塗り重ねて

 その後、釘で引っ搔くと

 花火みたいに見える 」

 

「そんなことができるの?」

「ぼくやってみたい!」

 

「お絵描き帳を持っておいで

 絵具と違って水は要らない」

 

「うん」

 

4人が手袋と帽子を脱いで

袋の中に仕舞う

 

「どうしてしまうの?」

 

翔が不思議そうな顔をする

 

「だって、いろがついたらこまるでしょ」(悟)

「大事な物はアトリエにもってこない!」(零治)

「とうちゃんがいつもいってるの」(晴)

「大事なものだからしまうの!」(健太)

 

その言葉を聞いて苦笑する

 

「貴方の教育の賜物だね(笑)」

 

「絵具は落ちないからな」

 

4人がお絵描き帳を取りにアトリエに向かう

 

「肇ちゃんには?」

 

「肇にも特別な物が入ってるよ

 中を見てごらん」

 

「うん ・・・」

 

靴下の中から取り出した封筒を

不思議そうに見詰めて

封を開けて読み始める

 

「部屋にあるみたい ・・・」

 

「見て来たら」

 

「うん ・・・ 見てくる」

 

戸惑った顔をして部屋を出て行く

 

「喜んでくれるかな?」

翔が心配そうな顔をする

 

「あれはサンタさんからの贈り物

 俺たちを経由しただけだよ」

 

「そうだね」

 

俺たちの話を聞いていた祖母二人が

怪訝な顔をする

経緯を話すと

 

「それは本物のサンタさんね」

そう言って二人が笑みを浮かべた

 

4人が戻って来て

クレパスを使って

さっき言ったことを試し始める

 

そこに階段を駆け下りてくる音

 

「父、父ちゃん ・・・

 いいの ・・・ こんなすごい物をもらって ・・・」

 

今日一番の笑みを浮かべる肇

その顔を見れたら

俺たちは幸せなんだ

 

とても大事そうに握られた懐中時計

 

「その子が肇を選んだんだって

 サンタさんが言ってたよ」

 

「この子が ・・・」

 

「そう ・・・ 大事に使ってあげなさい」

 

「お祖母ちゃんたちにも見せて」

 

肇が掌の上に乗せた懐中時計を

二人に見せる

 

「あら、素敵な懐中時計ね」

母は見たままの感想

 

「まあまあ ・・・ これは ・・・」

 

目を丸くしてるお母様 

かなり高価な時計だから無理もないけど

値段を聞いてるから ・・・

 

「そうね ・・・ サンタさんが選んでくれたのね

 肇ちゃんの時計よ」

 

「はい ・・・ 大事にします ・・・

 いつか ・・・ こんな時計を作れるように」

 

大人たちの話を余所に

子ども達は無心に描く

最初に声をあげたのは晴

 

「できた~

 とうちゃん、くぎ!」

 

「釘はないから黒文字で」

 

「くろもじ~!」

 

台所から黒文字を4本用意して

テーブルに置く

 

4人が言われたように

引っ掻き傷を作って

 

 

それはそれは独創的な花火をあげた

 

 

 

 

 

真っ直ぐに育ってほしい

いつか夢の扉の前に立つまで

俺たちはずっとそばにいるから

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

クリスマス編はお終いです

楽しんで頂けましたか?

ちょっと長くなってしまったけど

お付き合いくださり

ありがとうございました

 

 

クレパスの歴史を

一部引用させて頂きました

時代は少し前後しているかもです

 

クレヨンの歴史は明治の中頃まで遡れます

蝋筆またはチョーク(フランス語)

クレヨーンとも呼ばれていたらしいです

今のクレヨンとは少し違っていたようですが

大正時代、アメリカからクレヨンが輸入され

クレヨンと言う名が定着した様です

文具の歴史を遡るのも楽しいですね

 

(因みにクレパスはサクラクレパス社独自の物です)


 

 

yayosato