取りあえず前を向こうか 74 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

今日のお昼は画伯特製カレー

智君が作るカレーの次に美味しいと思う

俺にとっての一番は何が有っても智君のだから

カレーのトッピングはハンバーグ(和也さんの好物)

沢山の人が集まるからと

辛口と普通のカレーが用意されている

 

「智君は辛口?」

 

「2種類あるの?」

 

クッキングヒーターの上の二つ鍋に視線を向ける

 

「画伯は辛いのが好きなの

 他3人は辛いのが苦手

 智君が唐いもの好きって言ったら

 これ幸いに辛口カレーを作ってくれた」

 

「そんなに辛いの?」

 

それはそれは辛い

一口で汗が噴き出す

一度3人で食した時

俺と翔兄は汗が滴り落ちた

その横で涼しい顔の画伯は

「ちょっとピリ辛だね」って笑ってた

いやいや、それは大辛の部類に入るよ

それでも残さないのが翔兄

Tシャツの裾で汗を拭いながら完食する

俺はラッシー(ヨーグルト飲料)にお世話になりながら

何とか完食した

味は最高に美味しいけど、辛さが尋常じゃない ・・・

 

『いつもこんな辛いカレーなの?』って

後でこっそり翔兄に聞いたら

5回に1度くらい出てくると言ってた

ちょっと言葉を濁してたから

きっと画伯の逆鱗に触れた時とかに

出される料理のような気がする

 

そう言うところ、智君に似てる

二人で暮らしてた頃

時々出てくる激辛料理

そんな時は大概、何か怒ってる時だった

やっぱり血筋って事なのかも(笑)

 

「うん ・・・ 俺には無理かな ・・・」

 

隣りの翔兄も同じように頷く

綾野君は大丈夫そうかな?

 

「じゃあ辛口カレーにする」

 

「大野さんがそれにするなら私も」

 

「綾野君、相当辛いよ(笑)」

 

「一度チャレンジします

 長の好きな味を知るのも私の役目」

 

「剛君、ここは画伯の家

 仕事は忘れるの」

貴方が少しだけ怒った顔をした

 

綾野君が首を竦めて

 

「すみません ・・・ ですが茂さんに教えないと

 好物を教えてくれっておっしゃってましたので」

 

自分で作る事がないから

辛い物も食べていないのかも

 

「ちゃんと言ってるぞ(笑)

 でも辛いのは出てこないな

 そうだ向うで作ってみようかな

 気分転換になるだろ?」

 

「どちらでお作りに?」

 

「屋敷の厨房

 おっちゃんの休みの時」

 

茂さんに休みって有ったっけ?

 

「ああ、それはいいかもしれませんね」

 

少しずつ変えていくしかないのなら

貴方が楽しんで暮らせるように工夫するしかない

 

「思いきり辛い料理作って

 みんなに振舞ってみたら

 かなり迷惑かもしれないけど(笑)」

 

画伯が悪戯っぽい顔で笑う

さっき貴方が言ったように

この人は読めない ・・・

あの後、どんな話をしてたのか

綾野君の顔を見ても分からない 

本当に明日の事を相談してたのか ・・・

翔兄が少しだけ難しい顔をしたけど

この人は画伯以外の人には不愛想だから

(そこは俺と似てる)

 

 

炊飯ジャーの所に皿が重ねて置いて有る

 

「セルフだよ、食べられる量のご飯を盛り付けて

 好きな方のカレーをどうぞ」

 

先頭に並んでた和也さんが

普通のカレーを皿によそって席に着く

 

いつの間にかリビングは和のテイストに

ソファーを部屋の端に移動させ

一枚板で作られた長い座卓が置かれている

その上には

沢山の小ぶりのハンバーグがのった皿と

大皿に盛られた野菜サラダ

人数分のスープが入ったカップと取り皿

 

所謂ビュッフェスタイル

食が細い智君には打って付けかも

(画伯も食が細い ・・・それも血筋?)

 

全員が席について

食事を始める

 

「昼だから、ちょっとだけビールな」

 

翔兄が缶ビールを開けてグラスに注ぐ

一人一杯分くらい 

 

「翔兄、何に乾杯するの」

 

「それは ・・・」

 

「サクちゃん、此奴は飲みたいだけ(笑)

 そうだなあ ・・・ これからよろしくで

 良いんじゃない」

画伯の言葉に全員が頷く

 

「長い付き合いになるんだし

 それで良いだろ」

翔兄が念を押すように言う

 

「じゃあ、乾杯!」

 

スッキリしない話の後だけど

食事は楽しく食べたい

それに ・・・ ここにいる人は ・・・

 

「全員が味方だから」

貴方がボソッと呟いた

 

「もしかして透けてた?」

 

「そう言いたげな顔をしてた(笑)

 柔らかい人達ばかり

 翔 ・・・ ありがとう

 ここに呼んでくれて」

 

とっくの昔に腹を括っている貴方

この出会いが良い方向に向かうのが分かったのか

いつも以上に柔らかい笑みを浮かべる

 

「何を言ってるの ・・・

 俺が里に行った時も同じだったよ」

 

「ふふ ・・・ そうだな

 じゃあ、頂きます」

 

画伯特製激辛カレーの味は?

貴方がカレーを口に運ぶ

 

俺はその一口で汗が噴き出して

「から~い!」って叫んだけど

 

 

「うん ・・・ ピリ辛だね ・・・」

 

思わず吹き出してしまった

画伯と同じ言葉(笑)

 

「画伯、智君がピリ辛って(笑)」

 

「本当?もしかして優しいからさ?」

 

翔兄が疑り深い眼差しをカレーに向ける

 

「いつもより辛いけど」

知れっと答える画伯

 

「綾野君、どう?」

 

辛いのは苦手ではないと言ってた綾野君

 

「これはかなり辛いです」

 

額には汗が浮かんでる

(やっぱり激辛だ)

それでも信じられないのか

画伯のカレーを味見する翔兄

それを『止めとけばいいのに』って

冷たい視線を向ける和也さん

 

「ひぇ~ ・・・ かっらい~ ・・・」

 

やっぱり(笑)

額に大粒の汗(学習能力がないのかも)

 

「翔も味見する?」

 

貴方がニヤニヤ笑いながら

皿を俺に向ける

 

「サク、男なら食べろ!」

 

そんなご無体な ・・・

俺は辛いのが苦手なの

画伯が可笑しそうにクスクス笑いながら

激辛カレーを口に運ぶ

4人の視線が ・・・ 痛い ・・・

 

「ここは食べた方が良いんじゃねえ?」

 

貴方も相当鬼だよね ・・・

ジト目で見つめると

ニヤニヤした顔で笑う

 

「じゃあ ・・・ ちょっとだけ 」

スプーンの端っこにちょっとだけ掬おうとしたら

俺の手首を握って思いっきり乗せた

 

「どうぞ召し上がれ」

 

その笑顔が怖い ・・・

 

最初は美味しい

辛いのは後から来る

大きな口を開けて口に運ぶ

 

 

「ひぇ~ ・・・ マジで辛い!

 美味しいのに辛い!」

 

「まさにそうです

 美味しいのに辛い ・・・

 でも、癖になりそうです」

 

綾野君は辛さになれたのか

何度も頷きながら

美味しそうに口に運び出した

 

そうだよなあ、憧れの人が作ったカレー

美味しいに決まってる

でも俺は ・・・ 口の中が火事!

 

「サクちゃん、ラッシー持ってこようか?」

 

画伯が『無理しなくていいよ』って顔して立ち上がった

 

「智君、俺が持ってくるから

 座ってて」

 

翔兄が画伯を制して

そそくさと立って冷蔵庫に向かって歩いていく

絶対辛いんだって

 

「ビール持ってくるんじゃないぞ」

 

あ ・・・ そっちか(笑)

 

「良いじゃない、折角なんだから

 辛い物にビールも合うよ

 サクはラッシーな」

 

「俺はラッシーで良い」

 

珍しいって顔で振り返る

 

「ご飯を食べ終わったら

 海まで散歩に行くから」

 

「海を見に行くんだ

 それは良いかも

 翔、ビールは5人分(笑)」

 

「缶ビール5本で良いね

 あ ・・・ 持てない

 サク、取りに来て」

 

そうなると思った

立ち上がろうとすると

 

貴方が小さい声で

「ビール半分こしような」って言ってくれた

 

「そうだね」

何だかそれも嬉しい

 

 

お昼を済ませたら

二人で海を見に行こう

蒼い海を ・・・ 手を繋いで

 

 

 

<続きます>