取りあえず前を向こうか 37 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

実家には電話しない方が良い気がした

屋敷の公衆電話は設置後

盗聴器が付けられていないか

綾野君が確認してくれた

(一緒に確認したから間違いはない)

今でもその確認はしている

今後は気を付けた方が良い気もしているが

今のところ大丈夫だろう

実家の電話がどうなっているかだ

俺の両親はそこまで疑り深い人ではない

どっちかと言うとお人好しの部類に入る

騙されても騙す側にだけはなるなと教えられた

今はそんな悠長なことは言っていられないけど

 

電話室から外に出て歩いていると

小瀧が俺を見つけて走ってきた

 

「先輩、もう休みますか?」

 

人懐っこい顔でニッコリ笑う

 

いつの間にか先輩に戻ってた

まあ、屋敷に来た順で行けば先輩

その方が怪しまれないだろうと判断して止めていない

 

「お前は?」

 

「見回りが終わったので

 少し飲もうかと思って」

 

手で飲む仕草をする

 

アルコール類は用意されている

(そこは結構おおらかではある)

長専用の酒もある

 

「一緒に飲む?」

 

「良いですねぇ(笑)

 そうだ ・・・ 綾野さんも呼びますか?」

 

久し振りに後輩の顔をする小瀧

二人でいると東京の職場にいた頃を思い出す

 

「剛君ならすぐに来る(笑)」

 

長のお世話係だ

俺の帰りが遅いと

何か困った事に巻き込まれていないかと

直ぐに様子を見に来る

 

「確かに(笑)

 何飲みます?」

 

「取りあえず」

 

「ビールですね」

 

間髪入れずに続きを言う

 

「ああ、頼む」

 

「何かつまみあるかなあ ・・・

 見繕って持って行きます

 食堂で待っててください」

 

「仕事場の方がよくないか?」

 

誰もいないと分かってても

どこかにカメラが有ったはず ・・・

 

「二宮君が勉強してます

 それに相葉さんが付き合ってるので」

 

態々小さい声で耳打ちをする

 

「ああ、白文の勉強か」

 

「ええ、日記を一人で読める様にと」

 

二宮家の日記は返した

それを元に勉強を始めてるらしい

風間君が来るまでにマスターしたいのだろう

意外と負けず嫌いだから

 

「コツを掴めばすぐに読めるようになるが

 苦手意識を持つと,途端読めなくなる(笑)」

 

「経験論ですか?」

 

「お前もだろ?」

 

「そうでした」

 

苦笑いを浮かべて頭を思いっきり掻く

入社したての頃の此奴はポンコツで

ほんとに資格持ってるのかって呆れたっけ(笑)

 

「じゃあ先に行ってる

 グラスは3つ用意しておくよ」

 

「は~い、行ってきます」

 

里に来ても軽いのは変わらない

それで和ませて貰ってるから

文句は言わない(自然体が一番)

 

食堂に入ろうとしたら

綾野君に呼び止められる

 

「径君、待って」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

「防犯カメラの向きを変えてきます」

 

鼠一匹入れないほどのセキュリティーなのだから

屋敷内は必要ないだろうと思うが

そうはいかないらしい

長の住む離れに何か有っては大変と

厳重な防犯体制だ ・・・

 

屋敷表の綾野君は警戒心が半端ない

だから、安心して働ける

 

少しだけ廊下で待ってると

綾野君が戻って来て

 

「もう大丈夫です」

 

ドアを開けたまま

中に入るように促す

 

「ありがとう

 少し飲もうと思って

 剛君も飲むだろ?」

 

「お付き合いさせて頂きます」

 

さっきまでの警戒心は消えて

柔らかい笑みを浮かべた

 

「翔が ・・・ 両親に会えって ・・・」

 

小さい声で呟くと

何故か驚きもせずに小さく頷いて

 

「それは私も考えていました」

 

「マジで?」

 

「はい、明日にでもお話しようかと ・・・」

 

ここで話すべきではないという判断か

 

「分かった ・・・ それは明日 ・・・」

 

「一つだけ ・・・」

 

「はい?」

 

何でしょうかって怪訝な顔をする

 

「画伯宅に泊まることになるかも

 剛君も一緒だよ」

 

小さい声で耳元で囁くと

唖然とした顔で固まった

 

やっぱりな(笑) 

画伯は憧れの人

そりゃ固まる

 

 

「あ ・・・ の ・・・ それ ・・・ 本当 ・・・ ですか」

 

思いっきり片言(笑)

 

嬉しい反面、警備も考えなきゃいけないから

目まぐるしく動く瞳

その慌て様は初めて見る

 

「そんなに驚かなくても

 彼奴と打合せして」

 

「か ・・・ かしこまりました」

 

そこにつまみと酒を持って小瀧が戻って来る

 

「綾野さん ・・・ どうかしたんですか?」

 

様子がおかしい事は分かるらしい(笑)

 

「憧れの人に逢えるかもなんだって」

 

「そんな人いたんですか?」

 

ニヤリと笑って綾野君に寄って行く

 

「そう言うんじゃないの!

 小瀧君、早く入って」

 

先輩の風格(笑)

小瀧もニヤニヤ笑いながら

俺の後に続いた

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>