取りあえず乾杯しようか 13 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

限定ランチだから気軽に食べれる物だと

タカを括っていたのが大きな間違い

出てきたのはコース料理 ・・・ 

確かに赤字覚悟の限定って聞くけど

これは ・・・ ディナーのコース料理

これランチで出してたら ・・・ 大赤字だと思うけど

 

それにだ ・・・ 何故か俺の目の前の席に綾野君が座ってて

運ばれてくる料理も4人前 

この場合、一番の策士は誰だ?

綾野君で良いって事かな?

 

貴方が苦笑いを浮かべて

運ばれてくる料理に目を丸くした

 

「なあ、これランチじゃねえだろ?」

怪訝な顔で訊ねる貴方に

 

「いえ、ランチですが」

シレっと答える綾野君

 

「クフフ ・・・ 綾野君も狸の一員

 俺、限定ランチ食った事あるぞ

 こんな豪勢なもんじゃなかった」

 

殆ど珈琲しか飲みに来たことないのに

どうして限定ランチを知ってるの?

 

「それ、いつ来たの?

 一人で来たの?」

 

疑ってはいないけど

誰と来たのか、やっぱり気になる

 

「マスターが京都に来た時

 昼飯食うって言ったじゃん」

 

ああ ・・・ 俺が出張で京都に居なかった時だ

 

「あの時、ここに来たの?」

 

「いつ、マスターといらしたんですか?」

今度は綾野君が慌てたように訊ねる

 

「10月でしたよね

 丁度、剛が東京に戻ってる時だったと思う

 僕と大野さんとマスターと3人でここに来ました」

 

小栗君が一緒だとは聞いてないけど

横目で貴方の様子を窺うと

苦笑いを浮かべてこっちを見た

 

「3人で? ・・・ いつ来たの?

 店長から報告を受けてないけど」

 

「それは仕方ないよ

 マスターの名前で予約してたから

 剛には伝わらないと思うよ」

 

小栗君が怖い顔をした綾野君に説明する

 

「それでも ・・・ 旬が来てたのであれば ・・・

 報告すべきだろ ・・・」

 

なんだか雲行きが怪しい

 

「そんな大袈裟な事じゃねえだろ

 飯食いに来ただけで

 いちいち報告はいらねえじゃん

 それに今はその話じゃなくて

 その時の限定ランチとでは違い過ぎるって話」

 

話題をすり替えるなって顔をした

 

だけど綾野君の言い分も分かる

なんだろう、除け者にされた気分だと思う

俺の不服そうな顔を見て

貴方が言い訳めいた話を始める

 

「隠してた訳じゃなくて、俺も知らなかったの

 マスターに呼ばれてここに来たら小栗君がいた

 あれ? ・・・ 言わなかったっけ? ・・・」

 

「聞いてませんよ ・・・ マスターと飯を食った事と

 京都を案内した事くらいしか」

 

「それだよ!言っただろ

 小栗君の運転で午後観光したって

 お前 ・・・ 頭から湯気出して

 全くお話にならなかった時だよ」

 

思い出した貴方が呆れた顔をした

 

ああ!そう言えば ・・・ あの時喧嘩になって ・・・

3日間口をきいてくれなかった ・・・

俺の顔を見て、貴方がジト目になる

 

「ほら ・・・ 思いだしただろ?」

 

「思い出しました、市内の観光ではないから

 彼の車で回ったって ・・・」

 

「な? ・・・ そん時のランチと違うだろ?」

 

小栗君が苦笑いを浮かべて

 

「確かに ・・・ あれが限定ランチです

 今回のは違いますね」

 

これって ・・・ もしかしたら26日のディナーの?

綾野君の顔を見ると慌てる様子もなく

ニッコリ笑って

 

「旬の食材を使った料理を考えてます

 出来れば感想を伺って

 季節限定メニューとして提供しようと考えています

 所謂、試食して頂こうと思い

 いつもの限定ランチより品数が増えているんです」

 

貴方の言った言葉がピッタリ

この人相当な狸だ(笑)

 

「それならそうと言えば良いじゃん

 試食会って事なんだ」

 

「平たく言えばそうです

 ですから、限定ランチのお代は頂きます」

 

「それなら、遠慮なく頂きます

 翔、いっぱい食べて良いって

 そんで、味についての感想を言ってやれ

 それが、このご馳走にありつける条件らしいから」

 

意図が明確な場合

この人は一切文句は言わない 

 

「じゃあ、美味しく頂けばいいって事ですね」

 

小栗君がニッコリ笑う

その顔をチラッと横目で見た綾野君の顔が

少しだけ物言いたげな表情を浮かべた

 

「何も ・・・ 何もないよ ・・・ ただの観光だよ」

貴方がポツリと呟いた

 

「そうなんですね」

綾野君が真っ直ぐに貴方の瞳を見つめた

 

「そうだよ ・・・ ただの観光だよ

 前日の夜中に電話が有って

 1日運転手を仰せつかったんだから

 あの時は焦った ・・・ 予定を全部キャンセルして

 大変だったんだよ」

 

小栗君が思い出したように小言を溢した

彼もマスターを知ってるって事?

マスターって何者なんだろう?

 

「すみません ・・・ 知らない事ばかりで

 少し動揺しました ・・・

 どうぞ、料理の感想は遠慮なく言ってください

 それが試食ですから」

 

「10月の事言われても覚えてねぇよな

 今度、直接マスターに聞けばいい

 さて、頂きますか」

 

「どうぞ、召し上がって下さい」

 

綾野君が柔らかい笑みを浮かべて

俺達全員に料理を勧めた

 

 

そういえば ・・・ 喧嘩してて

マスターが何しに来たのか聞くの忘れてた

本当に観光だけだったのかな?

 

 

貴方が嬉しそうな顔をして

料理に手を付けた

 

 

帰ったら聞いてみよう

 

 

 

 

<続きます>