取りあえず始めようか 39 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

捨てられた子犬みたいな

潤んだ瞳で見上げるから

何にも言えなくなった

俺はやっぱりお前には甘い

 

四六時中俺の事を考えてる

その言葉には吹き出しそうになった

子どもみたいだな(笑)

俺なんかより、ずっとか頭がよくて

何でも出来そうなお前が

俺の事となると、脇目もふらずに突っ走っていく

 

その行動力には脱帽する(笑)

 

部屋に帰ってもソファーの端っこに

小さくなって座ってるお前

肩をがっくりと落としてる

その隣に、ゆっくり腰を下ろした

 

「じゃあ、聞かせて貰おうかな

 お前が京都に行く結論を出すまでの過程を」

 

殊勝な顔で俯いてたお前が

ゆっくり顔を上げて話し始めた

 

「貴方が住む街、部屋を目の当たりにして

 心がザワザワした ・・・ 離れて暮らす切なさを想ったら ・・・

 立ってられなかった ・・・ 心が繋がってるって頭では理解してる

 だけど ・・・ 貴方と紡ぐ時間が消えてしまう事の恐怖 ・・・

 こうやって手を繋ごうとしても ・・・ 繋げない ・・・

 温もりを感じたくても感じられない ・・・ 

 それに耐えられる自信が持てなかった

 『週末は一緒だろ!離れてても同じ時間を紡いでるだろ』

 って貴方は言うかもしれない ・・・ だけど ・・・

 心が追い付いて行かないんだ

 みっともないと言うかもしれない ・・・

 正直に言うね ・・・ 離れるのが不安だった ・・・」

 

お前の本音 ・・・ やっと吐き出した

 

「物わかりの良い顔して、俺に合わせてたって事?」

 

「貴方が励ましてくれるから ・・・ 頑張ろうって思ってた

 でも ・・・ 出来ない ・・・

 だから必死で貴方と暮らす方法を模索した

 俺が仕事を辞めたら、絶対許してはくれないでしょ?

 今の仕事のまま ・・・ 駆けずり回った ・・・ 」

 

それはいつから?

京都の帰りには言ってたよな?

 

「その夢とやらを教えて貰えないの?」

 

「京都への転勤を聞いたとき調べたんだ ・・・

 貴方の仕事は文化財の保護でしょ?」

 

「まあ ・・・その一環だけど」

 

「もしかしたら、今回の仕事に携わってるんじゃないかって思って

 俺のいる部署ではないけど、外局で関わってた

 お国の事業の一環なんだから当然といえば当然

 だから ・・・ 転属の希望を出した

 畑違いだから、半年、1年は掛かると覚悟して」

 

「それはさあ、俺がその仕事に携わってるから?

 もし、俺がその仕事を辞めたら、お前はどうすんの?」

 

意地悪な質問だと思う

だけど、俺に左右される仕事なら

自分がやりたい仕事とは違うだろ?

 

「今回 ・・・ 沢山の事を調べた ・・・

 この国は、文化財の保護に関しては意識が低いんだ

 後世に伝えたい文化財は山ほどあるのに ・・・

 文化財保護の国家予算も多いとは言えないんだ

 だからこそ、この仕事の一端を担いたいって思った

 貴方が辞めたとしても、俺はこの仕事がしたい

 公務員だから、この先配属が変わるかもしれない ・・・

 でも、今動かなきゃいけないって ・・・

 生半可な気持ちで選んでない」

 

真剣な眼差しは嘘偽りはないと言ってる

 

「カッコいいじゃん ・・・ それが聞きたかったの

 何で言わない?この仕事がしたいって

 そう言う事を話し合って乗り越えるんじゃねぇの」

 

お前が見つけた夢なら全力で応援するだろう

 

「反対されると思った ・・・」

 

「する訳ねぇだろうが

 やりたい仕事が見つかった

 なら、全力で応援する

 2人で紡いでいく時間ってそう言うもんだろ」

 

堅かった表情がやっと緩んで

「本当に賛成してくれるの?」

そう言って、俺の手を握った

 

「お前が選んだ仕事なら当然賛成する 

 

 あのな、俺が一番腹が立って淋しかったのは

 なんにも相談してくんなかった事

 唐突に転勤になったって言われても

 なんのこっちゃって話だろ

 何度も大丈夫だって励まし合ってた筈なのに

 お前は明後日の方を見てたんだぞ」

 

明るくなった表情が、一緒んでシュンとなる

 

「驚かせたかった?」

 

「うん ・・・ 内緒で頑張って ・・・

 一緒に暮らせるんだよって言ったら

 喜んでくれるって思った ・・・」

 

「もし逆なら、お前は喜んだ?」

 

「逆なら ・・・ やっぱり怒ったと思う ・・・

 ごめん ・・・ 肝心な事をすっ飛ばした ・・・

 言い訳になるけど ・・・

 欠員が出たのは、本当に偶然だったんだ

 このチャンスを逃したくないって思って

 だから、必死で勉強した ・・・」

 

その努力は目の前で見てた ・・・

お前の本気の顔を見せて貰った

 

「それは見てた ・・・

 だから悔しいんだよ」

 

「何が悔しいの?」

 

「その頑張りを応援できなかった ・・・

 一緒に歩くって言うのは支え合うって事だろ?」

 

「そうだね ・・・ 俺が間違ってた ・・・

 本当にごめん ・・・ 」

 

泣きそうな顔で俺を見つめる瞳

 

「一つだけ約束して

 隠し事をしないは理想論だと思ってる

 言わなくても良いことは有る

 だから全てを話す必要はない

 だけど、二人の未来に係ることは隠し事はしない

 支えて支え合ってだろ?」

 

「約束する ・・・ 何か始める時は必ず相談する

 2人の事は2人で決めよう

 俺は隠し事はしないよ、全てを報告するから」

 

俺の言ったこと聞いてたか?

全部は言わなくてもいいんだよ(笑)

 

「じゃあ、仲直りな」

 

「許してくれるの?」

 

「許した ・・・

 順を追って話せば喧嘩になんなかっただろ」

 

お前は涙を浮かべながら満面の笑みで

俺に抱き付いた

 

 

俺なしでは生きていけないのはよく分かったよ

まあ、俺も同じだけど

2人で暮らす新しい街はどんなんだろうな?

 

 

 

 

<続きます>