ひとしきり三人で泣いた後、相葉ちゃんがオイラの手を握って
「お母さんに電話した?」
って、訊ねる
「うん、お昼にした
オイラからの電話、待っててくれたんだ
お父さんも…」
「ちゃんと叱って貰いましたか?」
ニノがニッコリ笑う
オイラ、黙ったまま頷いた
「許してもらった?」
「お父さんもお母さんも優しいんだ
オイラの事、凄く心配してくれて
許してくれたんだ」
オイラまた泪が出ちゃう
「じゃあ、もう自分の事を許していいんじゃないかな
ニノもそう思うよね」
相葉ちゃんがニノの顔を見てニコニコ笑う
「俺もそう思います
やり方はどうであれ、皆の幸せだけを願って
一番辛い道を選択したんです
もう充分苦しんだでしょ?
だから、自分を許してあげて下さい」
「ニノ … 相葉ちゃん、ありがとう…」
相葉ちゃんが分かってないなぁって顔で
「だから、翔ちゃんに甘えて良いの
翔ちゃんだって甘えて欲しいんだよ
ケジメをつけてからって
そんな堅いこと言わないで、ギュってしてもらって」
「へ? … だってまだ…」
「櫻井さん、ご両親が貴方を許してくれたんでしょ
それに俺たちも許したんだから
もう、 誰に気がねするんです?」
ニノが不思議そうな顔をして苦笑い
「でも、約束したから
日本に帰ってから
皆の前で指輪 ・・・ 嵌めて貰うって」
それがけじめだもん
「それは翔ちゃんから聞いた
指輪はそれで良いよ
でも、ここに泊まっても大丈夫でしょ?」
一緒に?ここで?
だって … オイラ … そんなの調子が良すぎるでしょ?
「そんな勝手出来ないって思ってるでしょ
貴方の気持ちもわかります
自責の念が強すぎて、自分を許せないことも
俺たちからお願いします
櫻井さんの為に一緒に居てあげて下さい」
「翔ちゃん、大ちゃんが居なくなって脱け殻だったんだ
ホントに ・・・ 見てられないくらいだった
二週間引き込もってて… ボロボロになって
息してるだけ、何も見えてない ・・・
ただ大ちゃんの幻を追いかけてた
そんな翔ちゃんを立ち直らせたのは
残念ながら俺たちじゃなかった
大ちゃんが作って、冷凍してたスープだったんだ」
「ううん … 二人が支えてくれたって
二人が居てくれたから … 立ち直れたって ・・・」
ニノが相葉ちゃんを見て大きく頷いて
「相葉さんが言う通りですよ ・・・
櫻井さんは貴方で出来てるんです
貴方の想いを支えに、本当に頑張ったから
ご褒美を上げてください
今日から二人一緒に ・・・ お願いします」
オイラ … また間違えるところだった
翔君の気持ちに甘えてた…
「… 翔君と ・・・ 一緒にいたい …
オイラ … 翔君と … いたい
甘えていいんだよね …」
「良いですよ」
「もう我慢しなくて良いよ」
二人が泣いてるオイラの背中を
優しく撫でてくれた
オイラを翔君の側に連れていってくれる
「智君、お客さんが帰ったから
皆でご飯食べてって
上島さん今、家に帰られたよ」
翔君が階段から顔を覗かせた
「翔ちゃん、ホテルの荷物取ってきた方がいいよ」
相葉ちゃんが、お道化た顔で伝える
翔君はキョトンとした顔で
小首を傾げる
「櫻井さん、後は大野さんから聞いて下さい
大野さん、ちゃんと話してあげてね
ご飯の準備は、俺達二人でしますから
少しだけ二人きりにしてあげます」
ニノがクスクス笑って
オイラの肩を叩いて
相葉ちゃんと二人で下に降りていった
オイラ、やっと素直になれる
二人が背中を押してくれたから
翔君を抱きしめて良いよね
〈続きます〉