Ray of hope 35 (翔太郎編) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

窓から差し込む淡い光が、真っ暗だった部屋の中を明るく照らし

全ての物に形を与える


部屋から抜け出し、清澄な空気を胸いっぱい吸い込む



「少しずつ、季節が進んでいく」



ミルク色の夜明けが闇を溶かし

葉と葉の隙間から光が霧の様に落ちてくる


漆黒の夜を越え、新しく生まれ変わった朝

俺の一番好きな時間

君に会える日が、また1日近づくから




さて、今日はカズを連れて街へ行こう

最近、あまり笑わなくなった彼の為に



もう一度、大きく深呼吸をして部屋に戻ると

大きな欠伸をして、口に手を当てているカズが座っていた



「おはよう」って声を掛けると、寝ぼけ眼のカズが



「おはよう ・・・ 今日も早いんですね」

って言って、目を擦りながら起きてきた



「まだ休んでてもいいよ ・・・ 今日の予定は?」



「今日は、木の実とかキノコを採りに行こうかなって ・・・ 

最近サトシ痩せてきたから ・・・」



最後の方は聞こえないような小さな声


「俺がどうかした?」って聞き返すと



「いいえ、そろそろ冬の準備をって思ってたので ・・」



「まだ、良いだろう ・・・ まぁ 早いに越したことはないか・・

 じゃぁ、冬の準備は明日からな、今日は出かけます」


って宣言すると



「出かけるって俺も?・・・ どこに行くんです?」

って不安げな瞳で見つめるから



「内緒だよ ・・・ この洋服に着替える」


爺さんから貰った、スーツをカズの前に差し出して渡す



渡された洋服を見つめながら、戸惑った顔のカズが


「これに着替えるって? ・・・ 」ってブツブツ言ってるから



「つべこべ言わないで、言うとおりにする」って言うと




「誰かに会うんですか?」って言って、寂しそうに俯いた



「誰にも会わないよ、今日はカズと二人で出かけるんだから」



その言葉を聞いて、嬉しそうな顔をして着替えはじめた

洋服は最高級な物らしい、きっとカズにピッタリだって思ってたんだ



「うん、良く似合ってる!」って言うと



「本当ですか?可笑しくない・・」

そう言って、照れくさそうに笑った



カズに『あいすくりん』を食べさせてあげたくて

一度、爺さんの家で食べたことがある、持って帰ろうとしたけど

溶けてしまうからって言われて諦めたんだ

それに汽車にも乗せてあげたい



駅まで行って、客車に乗り込むと


「この箱みたいなものが動くんですか?」

そう言って、キョロキョロと中を見回している



「この箱自体は動かないんだって

 前の蒸気機関車が引っ張って動くんだよ」



カズの瞳はキラキラしてて

椅子を触ってみたり

窓ガラスに触れてみたり

見るもの全てが初めてで

まるで小さい子供の様な表情をする



「この白いテープ何だろう?」



「ふふっ ・・ ここに窓がありますって印らしい」


俺と同じところに疑問を持つんだな

そりゃそうだよね

あの森がカズの世界だから



目的の駅に着くまで

車窓を流れる景色を眺めながら

他愛のない話をする

時々大きく揺れるたび

俺の腕を掴んで怖がるカズが可愛いくて



いつか君が大切な人を見つけて、俺の傍を離れる時

きっと泣いてしまうだろうなって

そんな事を考えてしまうと少し寂しくなる




思ったより時間がかかってしまったけど、

目的の店に到着した

中に入り『あいすくりん』を注文する


「サトシ、『あいすくりん』って何ですか?」



「牛乳と砂糖と、後は何だっけ・・・

 卵黄だ!それを冷たくするのかな?」


作り方は知らないぞ・・・


「冷たくて、甘くて、口に入れると溶けてなくなる」



「溶けちゃうんですか?雪みたいなものですか?」


「違う雪じゃない、もうすぐ来るから!取りあえず美味しいから安心して」



そう説明してるうちに、テーブルに運ばれてきた

ガラスの皿の上に、黄色がかった白い食べ物が



カズは不思議そうに見つめて

恐る恐るスプーンですくって口に運ぶ



「どう? ・・・美味しいでしょ?」

って聞くと


これ以上の幸せはないって言うくらいの笑みを浮かべて


「ホントだ、冷たくて、甘くて、すぐに溶ける ・・ 美味しい 」


って言いながら、何度も口に運ぶ



その笑顔が見たかったんだ ・・・ よかった



「これも食べていいよ」って言うと



「いいです、サトシの分はサトシが食べてください」

そう言ったカズの皿は空っぽで



「全部食べられないかも・・・ う~ん ・・ 食べないと溶けちゃうなぁ」

って、困った顔をすると



「じゃあ、手伝ってあげます」って言って、嬉しそうに食べてくれた



「明日は木の実を取りに行こうな」

って言うと、あいすくりんを食べながら大きく頷いた



感謝してるんだ、俺が生きてこれたのはカズのお蔭だから

傍にいる、カズが大丈夫って言うまで




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




もうすぐ帰ってくるはずだから、いつもの場所で待ってよう



帰ってくると、何も言わないで倒れ込むように眠ってしまう

いつか倒れるんじゃないかって心配になる

だから、支えられるように ・・・




・・・・ あれ、あいつ ・・・ この前声かけてきた奴 ・・・ 何処に行くんだ ・・・



気になって後をつけていく


サトシが時々使う、光の道の木の近くに

もう一本、大きなブナの木がある

そのブナの木の前に立ってる



あいつ、人の姿になれるんだ ・・・

何してる ・・・ 音を立てない様に近くまで行ってみる


・・・・誰かを呼んでいる?・・・ 呼ばれてるのか ・・・

ブナの木がボーワット明るくなって、誰かが出てきた



誰だ?エルフ?・・・なんでエルフがこんなところに




「アスベル様」


アスベルって誰だ?



「久し振りだね、君の愛しい人は元気かい?

 声を掛けることは出来たの?」



「いえ、見ているだけで満足です」



「折角追いかけてきたんだ勇気を出して、声を掛けてごらん ・・・」




「・・・ 頑張ってみます」




「王子のご様子は?元気でいらしゃるのか?」




「最近お力をお使いになって ・・・ 少し元気が無いように見えます」




「・・・完全ではないお体で ・・・ 無理をされなければ良いが ・・・」



「少しお痩せになっておいでです ・・・ 」



「まだ、時が満ちていない、お迎えに上がるときではない ・・・

何かあったら ・・・ この場所から呼んでくれ、すぐに飛んでくる

 王子に何かあったら ・・・ 今は大事な時期 ・・・ マサキ頼んだよ」




「かしこまりました、ご様子は逐一報告させていただきます」



「一目お会いしたいが ・・・ 王がお会いになっていないのに ・・・

王を差し置いてお会いすることも出来ない ・・・ 」



「王子に会われたことはないんですか?」



「小さい頃、あの森でお世話をしていた ・・・ 大きくなられたんだろうな」



何の話をしてる? ・・・ 王子って ・・・ サトシのこと?

あのエルフはアルフヘイムの ・・・



気付かれない様に、その場を後にする



サトシが戻ってくるから ・・・ 森の入口まで ・・・ 急いで走った

早く、あの優しい笑顔が見たいから

心配いらないよって ・・・ 大丈夫だよって言って欲しいから



お願い ・・・ 早く帰って来て







*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


こんばんは


昨日は失礼しました

ゆっくり休ませていただきました

ご心配をおかけして、すみませんでした

温かい言葉を頂いて嬉しかったです

ありがとうございます



本日も長くなりました(-_-;)

後2~3話で翔太郎編終わらせます


よろしくお付き合いください



それではまたニコニコ