故郷の空を旋回する戦闘機 | 焼肉竹公式ブログ 笑売日記

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焼肉屋の親父から見た今、世の中のありとあらゆるものを考察して行きます。
もちろん、焼肉を始めとするグルメについても。
脂滴る焼肉の七輪の煙の向こうに、私が見たものとは……。

群れについて行けない鳥がいる。

V字を描く他の鳥たちに着いて行けずに、どんどん距離が開く。

経験の浅い若い鳥だろう。

集団の中にいた一羽がその鳥の元に飛んできて、後に続けとばかりに前をゆく。

それでも若鳥は集団から離れ、やがて天敵の餌食になるのかも知れない。

 

昔、こんな映画を観た。

たしか三浦友和主演で、航空隊のパイロットを演じ、特攻隊だったろうか、飛び立つたたびに敵地へ向かうことができず、自分の故郷へと飛行し、その上空を何度も何度も旋回して、引き返す。

戻ればきっと厳しい罰則を科せられるはず。

 

それは卑怯なことなのか。

ただ弱いということか。

非国民、重罪に匹敵するのだろうか。

 

群れから離れることも、死地へ赴くことを避け、生まれたところを恋しく思うのも、私の心の琴線に触れ、まったく納得するところのものだった。

非国民と罵られてもお国のために死ぬのは嫌だ。

敵の船に体当たりして、誰かを犠牲にすることも許せない。
 
命を犠牲にしてでも守るべきもの。
愛する祖国や人のためなら死ねると言うのか。 
そのために他の命を奪うことも正義なのか。
どんなに美辞麗句を並べ立てられても、生命の重さに替えるべきものはない。
 

 
 
昨日、毎年どこかであるように、溺れる子供を救おうとして急流に飛び込み亡くなった父親のニュースが流れた。
 
他の命のために、ましてや我が子や愛する人のために命を捨てる。
それならば分かる気がする。
それがたとえ赤の他人だとしても、目の前に死にそうな人がいれば、誰だって勝手に体が動くだろう。
 
遮断機がおり、警報機が鳴る中を線路に取り残されて身動きが取れない人を助けようとして亡くなった人もいる。
自分の命を顧みず、命が命を救おうとした。
 
怖いのは、集団心理。
大義名分の虚像の命。
命令。
命に口が無くなり、おかしいことをおかしい、間違ったことを間違っていると言えない愚かしさ。
 
世の中が少しずつ変化して、まるで鍋に入れられた蛙が沸騰していく湯に気づかずに茹で上がるように、風潮に流されてしまう。
怖いことだ。
 
そんな時には群から離れ、愛する故郷の上空をただ旋回したいだけなのだ。
 
正しい命の軌道を飛び続けるために、たとえ独りとなっても。