もう恋なんてしないだろうか。

この歳になって。

なんて言うから心が余計に年寄り臭くなる。

でも恋なんてしたら、それこそ大問題になる。

想像しただけでも末恐ろしい。

ただ、あのときめく気持ち、瑞々しい感性が惜しい。

憧れや躊躇い、高揚感に傷心、戸惑いに自己嫌悪。

信じたいが為に疑う心。

疑心暗鬼を生じる愚かしさ。

振り返ると、生き生きとしたコミカルな自分がそこにいる。

馬鹿正直に、裸で勝手に作り上げた虚像に体当たりしていた若さの輝き。

イメージがイメージを膨らませ、VRよろしく、頭からゴーグル被せられ、現実と非現実の区別が付かず、大迫力の3Dスクリーンの仮想世界に魅せられたかでもしたように。

おそらく今もそう。

勝手に作り上げた全方位の視界の中で、今日も生きてるふりをする。

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心で見なければ真実は見えてこない。

だったら開き直り、道端に咲く花や誰かにどこからか投げかけられた新鮮な言葉や青空、そよ風に、どこ吹く風とばかりに微笑んでいられりゃそれで良い。

ましてや仕事に日々新たな気持ちで感動しながら取り組めれば、なお幸いということになる。

そうした意味での恋なら、それは青春だけが持つ特権ではないだろう。

いつでもいついつまでも、何かに恋い焦がれていたい。

そうしていい歳こいたおっさんは、山の上で景色でも眺めながら、遠くに目をやり、暖かくやわらかな陽射しなんぞ浴びながら、心に感じたままを綴る愛にでも浸ってやろう。