母さんが夜なべをして手袋編んでくれた[みんな:01]

現在午前3時前。
娘が台所で片付けをしている。
イブイブがイブに変わってから、ひとり黙々と何かを作っていた。
こんな夜中に何事かと彼女の背中越しに覗くと、まな板の上、指先で小っちゃな塩昆布を曲げたり伸ばしたり、と思えば目の前に両手をかざし、小人の帽子のような赤いウインナーの欠片に、紐状に切ったチーズを巻くのに苦心している。
見てるとあまりにしんきくさいので、ふざけ半分に横からふっと息を吹きかけてやると、チーズがプツリと切れた。
「もう!なにすんのよ」
マジに怒られた。

弁当箱に目をやると、小さな雪だるまが、黒ごまの優しい目で微笑んでいた。
「やっぱりわたし、キャラ弁苦手~!」
初挑戦にため息をついた。
「どうもない。可愛くできているで」
反省した私がお世辞混じりに励ますと、嬉しそうに笑う無邪気な娘がいた。

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「でも明日雪やったら、仕事ないしな」
誰のことかと思えば彼氏のこと。
同じく仕事の父親の私は、何となく面白くない。
だるま以外、今のシチュエーションの親子関係みたいな隙間だらけの弁当箱に向かい、
「このままじゃ、雪だるまがグチャグチャに崩れるわ」
と心配そうに呟く彼女に、
「新聞紙かティッシュでも詰めとけば」
と憎まれ口をたたくと、
「じゃ、そうする」
と可愛気なく返された。

完成した雪だるま弁当を写メる彼女の後に、私もiPhoneに収めてから見直すと、お世辞抜きでよくできている。

雪だるまの顔がなんとも愛らしく表現されているではないか。
想いを形にするとはこういうことか、と料理人にとって大切な一念の所作を教えられた気がして、先ほどまでのライバル意識がすっかり萎えてしまった。

雪だるま、そのまま溶けないで、春へと歩いて行けたらいいね‼

こころの中で、つい応援していた無邪気な父親がいた。
窓の外は小雪が降ったり止んだり。
恋人たちが華やぐホワイトクリスマスになるのかな?


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