photo:01

午前3時、浴室のドアを開き、中に入る。

一日の終わりにふと立ちつくしてしまう。

ため息混じりに目の前の白い壁を見つめていると、

足下の乾いたタイルから渇いた言葉が湧き立って来た。



──50歳か……。 付録のような人生やな。



突き出た腹を撫でつつ、また溜息ひとつ……。

次に連想されたのが、子供の頃ドラえもん以外はろくに読まないくせに、

定期購読していた「小学◯年生」という雑誌に付いていた付録だった。

雑誌そのものは既に完成されているが、

付録は「つくりかた」を参考に自分で作らなければならない。

つまりまだ、工作の余地が残されている。

ところが、人生の付録に説明書なんかはない。

それまでに与えられたバラバラの部品を組み立てるのには、

自らの創作が必要だ。

未知の部品や失ったものを捜して足すことも出来るだろう。



一方こちらは、雑誌本体より付録の方が断然面白かった。

そもそもそれが目当てだったのだ。
それにまた、当時の知る人ぞ知る仮面ライダーのお菓子だって、

高度成長期の空気に膨らまされた、

甘いのか塩味なのかよくわからないスナックより、

おまけに付いていたライダー1号や2号、新登場した緑のV3、

あるいはショッカーや怪人など、何が写っているか分からなかったブロマイドを、 

ドキドキしながら探ったものだ。

レアものを引き当てたときは、悪ガキ仲間に自慢しきったり、

他のブロマイド何十枚もと交換したりした。

そうして苦労して手に入れた専用のストックブックに、

夢と憧れを挟み込んでいった。



そう、実はおまけの付録的人生の方が、今までのそれよりも、

創造的な生き方が出来るのかも知れない。
欲しいものねだりの子供の頃より、

自由に使える材料は豊富に揃っているはずだ。

ストックより選りすぐった材料を解き拡げて、

身に染みた知恵や周りの宝物と、

幾許の捨て去る勇気も携えながら、

こんな夜のような朝方の心の隙間から、

残された幾許かの砂粒をなるべく溢さぬように掌に包みたい。


また読んで下さる方はワンクリックお願いします!

ダウンダウン


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 東近江情報へ にほんブログ村

どうもありがとうございました(^_^

焼肉竹公式ブログ 笑売日記