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五時間も掛けて、父の日の為に長女の綾が作ってくれた。
感動!感謝!感激‼

グレープフルーツ、りんご、キウイ、オレンジ、パイナップルを巻いたロールケーキ、ヴィシソワーズ、そしてメインデッシュのデミグラス煮込みハンバーグ。
すべて手作り!
凄い、凄いぞ!
君は天才だ‼
私は世界一幸せなファーザーなり。

深夜、仕事を終え帰宅すると、テーブルの上にマインドオブジェが……。
早速ご晩酌に預かり一口いただくと、横から私のはしを取り上げて、どれどれと、妻と綾まで味見をする。
いや、そうじゃない、二口、三口と遠慮のない行為に対して、私は怒りをぶち撒けた。
「そこまで‼」
ドデカサイズがノーマルに変貌したハンバーグを、私は惜しみつつ口に運ぶのだった……。

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その後、本当は事前に妻から聞いて知っていたのだが、何も知らぬことにしていたことを、申し訳なさそうに言った。
「お父さん、ごめん・・…、実は、お父さんの車、ブロックで擦っちゃった」
と綾が手を合わせて謝った。
その日彼女は、友達の引越しの手伝いやこの料理の材料の買出しと、私の車を借りて忙しく動いていたのだ。
私は眉間に皺を寄せ、わざと強面を作った後、徐々に自然とニヤリと笑っていた。
「いい……、いい、いいよ!今夜は何でも許しちゃう。」
綾はもう一度頭を下げて、徐に顔を上げると、ニッコリ微笑んで明るく言った。
「美味しかった?」
「オフコース!腹の横っ面が擦り切れ凹むほど旨かった!ハハハッ、ハ……」

いい父の日になりました。
有難うございます。

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