高校野球が来春選抜への道が進んでいる最中ですが、大学野球は11月の神宮への道が進みはじめたところでありますね。
そんな今日は、今後注目度が高まる「かもしれない」三重リーグの試合を見に、伊勢まで行ってきました。
知名度は低いリーグながらも、皇學館大の主砲・村田選手など、魅力的な選手がいるリーグ。
今日は2試合でございます。
【第一試合】四日市大 12-0 鈴鹿大(6回コールド)
鈴鹿大学 000 000 = R00/H04/E1
四日市大 011 064 = R12/H10/E0
[得点経過]
2裏:加藤粛 内野ゴロで先制
3裏:鍛治園 押し出し死球
5裏:鍛治園 タイムリー
5裏:遠藤 2点タイムリー
5裏:野選で1点追加
5裏:児玉 2点タイムリー
6裏:遠藤 タイムリー
6裏:加藤粛 サヨナラスリーランホームラン
5回に5本のヒットを集めてビッグイニングを形成した四日市大、細かな継投で鈴鹿大打線を封じて勝利しました。
先発の山崎颯人投手(1年・武庫荘総合高校)をはじめ、6イニングで5投手を起用。ランナーを置いた難しい場面での継投もありましたが、ベンチの意図に選手が見事に応えてましたね。普段からそういった厳しい場面を想定しての準備がなされていたのかな?と感じます。
打つ方では、序盤は四球3つで満塁のチャンスで内野ゴロの1点止まりなど、攻め切れていない感がありましたが、5回以降に打線が爆発。一発長打で試合が決まったものの、単打5本をつないで奪った5回のビッグイニングでした。目立つヒーローとしてはサヨナラスリーランを放った加藤粛斗選手(2年・磐田東高校)でしょうが、捕手の遠藤倖選手(1年・小諸高校)が渋い活躍をしていました。詰まりながらも内野の間・内野の頭を越すタイムリー2本、これは振り切っている証拠だと思いますし、思いきりの良さが良い形で出たのかな?と思います。また、守る方では相手のバントに素早く反応して2-6-3の併殺を完成させるなどフットワークの軽さを見せていましたね。クリーンアップが看板…という感じではないですが、個々が意識して繋がりをもった打線が5回の大量点、コツコツと積み重ねるのが四日市大の攻撃スタイルなのかな?と感じます。
敗れた鈴鹿大は、相手の巧みな継投の前に4安打と封じられました。いかにも打ちそうな雰囲気漂うバッターが揃う打線でしたが、この試合では奮いませんでしたね。4番の松本詞裕選手(4年・和歌山南陵高校)は懐が深くてツボにはまれば長打も期待できそうな選手でしたし、事実低いライナーでヒットも放っていました。西口大河選手(4年・日章学園高校)や大森征治選手(4年・佐久長聖高校)は下級生の頃から活躍していた選手なので、この結果が本来の姿ではないはず。次週以降の巻返しに期待したいと思います。
守りでは、前半こそ四日市大打線を食い止めていたものの、5回先頭からの連打を皮切りに大量失点という形になってしまいました。2戦目ということでエース格ではない投手が投げているかと思いますが、8四死球と乱れてしまいましたね。守りはしっかりしているように感じましたし、投手陣にもっと安定感が出てくれば…といった所でしょうか。
【第二試合】皇學館大 8-0 三重大
皇學館大 301 000 004 = R8/H10/E0
三重大学 000 000 000 = R0/H08/E3
[得点経過]
1表:中川 先制2点タイムリースリーベース
1表:三輪 タイムリー
3表:村田 ソロホームラン
9表:岡田 ツーランホームラン
9表:中川 タイムリースリーベース
9表:小阪 犠牲フライ
10安打のうち半分が長打、自慢の攻撃力を遺憾なく発揮した皇學館大が、昨日に続く連勝としました。
初回に相手のエラーからタイムリー2本で先制すると、その後もホームラン2本が飛び出しコールドこそなかったものの8点差を付けての快勝でした。
注目は来年のドラフト候補にも名前が挙がる村田怜音選手(3年・相可高校)。第一打席は大きなライトフライで走者を進めると、第二打席が圧巻でした。迷わず振り抜いて「打った瞬間」という当たり、本人も手応え十分で「確信歩き」も出たほど。これだけで観に行った価値があったな…という印象でした。最終打席では痛烈な地を這うようなゴロでセンター前に運ぶなど、引っ張り一本調子ではなく柔らかいバッティングができる選手だと感じましたね。
この他では、岡田颯平選手(4年・滝川第二高校)が好守に渡って躍動していました。犠打で4番・村田選手につないだかと思えば、最終回にレフトに放り込むパワー。大技小技自在の打席を見せてくれました。また、守りではランナー満塁の場面でダイビングキャッチからそのまま三塁走者を刺す返球もありました。バネがあって脚力もあり、身体能力が非常に高い選手だな、と感じますね。
大野凌児選手(4年・松阪商業高校)と井田翔斗選手(3年・津商業高校)の二遊間を始めとして、守りも安定感がありましたし、そうそう簡単に崩せないな…と感じました。
先発投手の北川寿頼投手(4年・名張高校)は135キロに迫る快速球とキレのあるスライダーを中心にスコアボードにゼロを並べます。180センチを越える長身に加え長い腕からリーチがあるので、余計に角度を感じたかな?と思います。ただ、ランナーを出すと連続四球というケースもありましたし、強さと脆さが同居しているような感じでしたね。
この北川投手以外にも選手が揃っているでしょうし、今後の躍進にも期待を持たざるを得ない、東海他地区や北陸地区とのチームでどこまで戦えるか、楽しみにしたいと思います。
三重大は、立ち上がりから2つのエラーで失点し、いきなりビハインドからの入りとなってしまいました。8安打に5四球と、塁上を賑わすシーンが多かったですが、相手の好守があったとはいえチャンスであと1本が出ませんでしたね。
それでも、見所は大いにあったと思います。4回から9回途中までロングリリーフとなった河村皐平投手(1年・津高校)は8回まで無失点と好投。皇學館大の強力打線にまったく怯むことなく立ち向かい、コーナーを意識的に突き、カーブとの緩急も効果的な投球で丁寧な自分自身のピッチングをしているな、という印象でした。まだ1年生ですし、ボールも強くなってくるでしょう。伸びシロが楽しみで、来年以降は三重大の屋台骨を支えるような投手になっていくのかな?と感じます。
打つ方では、チームで唯一のマルチ安打だった釜田尚真選手(3年・知立東高校)が光りましたね。ヒット性の当たりを好捕されるなど不運もありましたが、センター中心に両方向に低く鋭いライナーを放っていました。
「全くもって打ててない」わけではないので、ひとつ噛み合えば上位進出も望めるのかな?と感じる試合でした。そのためには、試合の入り方であったり攻撃の組み立て方であったり、細かいところが詰められれば、リーグを掻き回す存在になり得ると思います。
ということで、初秋の伊勢で2試合観戦してきました。
タレント揃いの皇學館大であったり、束になってかかる四日市大。
2試合とも大差になりましたが、各校それぞれに良さ・魅力を感じる2試合でしたね。
今季は更に三重リーグを見に行けるかどうか分かりませんが、来年も引き続き見に行きたいリーグ。
高校野球ほど縛られておらず、のびのびと野球をやれているな…と感じる大学野球。
一発勝負ではなく負けてもまたリベンジの機会が与えられているのもいいですね。
魅力ある2試合を、ありがとうございました。