課題研究に本格的に取組む高校が増えてきたため、この2、3年、課題研究の相談を受ける機会が増えました。

一番多いのは「テーマ設定で困っています」という相談です。

 

課題研究のテーマ設定に関する相談は以下の2つに大別されます。

  1. 生徒が取組むテーマを教員が提示した方が良いのか。提示するとしたなら、そのようなテーマが良いのか。
  2. 生徒がテーマ設定の作業を進めるときに、教員はどのような指導をすればよいのか。

学校の事情が個々に異なるため、これらに対する普遍的な答えはありません。

なので、相談を受けたときには「自分なりの考えだけど」と前置きをして、お答えしています。

 

どのように答えているのかを簡潔に書きます。

 

1. テーマの提示について

僕は「できるだけ生徒任せにした方が良い」と思っています。

好きなことをやっているときが、ポテンシャルが最も発揮されるので。

しかし、学校によって事情は異なります。

地域連携に力を入れている学校もあるし、バリバリの科学系研究を目指している学校もあります。

したがって、テーマを提示するのならば提示の程度を段階的に考えて、学校事情に合った段階を選択するのが良いと思います。

 

 大テーマを提示する

   ↓

 中テーマを提示する

   ↓

 小テーマを提示する

 

「大テーマってなに?」と思う方もいらっしゃると思います。

これらの用語に明確な定義はありませんので、僕の感覚で書かせてもらうと次のようになります。

 

地域連携に力をいれている学校であれば...

 大テーマ:「社会との関わり」

 中テーマ:「地元に関係すること」

 小テーマ:「駅前商店街の活性化」

 

バリバリ科学系ならば...

 大テーマ:「自然科学分野」

 中テーマ:「地震」(←生徒たちが地学分野を選んだと仮定しました)

 小テーマ:「都市直下型地震のモデル化」

 

 

2. 教員の指導方法

これについても、僕に明確な答えがある訳ではありません。

僕の考える課題研究像と経験から「声かけ」と「心構え」に分けて書かせてもらうと次のようになります。


〇声かけの具体

  • ・問を分解する(「商店街の活性化の「活性化」とは何かを考えよう」「都市直下型の「都市」とは何かを考えよう」などと声がけをする)
  • ・マジックワードの具体化する(「楽しい」「住みやすい」「平和」「危険」などの抽象度が高い語句を具体化する。「楽しいとはどんな状態のこと?」などと問いかける)
  • ・論理の飛躍に気づかせる(生徒は自分たちが求める答えにたどり着きたいという気持ちから、根拠に基づかずに結論を出したり、こじつけた結論を出しがちです(^^))
  • ・正しい方法を紹介する(もし、適切な調査方法や実験方法を教員が知っているのならば、生徒に伝えても良いと思います。その時に気を付けるのは、教員主導の課題研究にならないようにすること。主役はあくまでも生徒です)

 

〇心構えとして

  •  生徒の安全第一(外部からの誹謗中傷、実験などによるケガ など)
  •  「教員は教える立場」という気持ちを捨てる(教員の役割は「伴走者」「ファシリテーター」「サポーター」と思っています)
  •  一緒に悩む(生徒が取組むテーマについて教員が知識を持たないケースも生じますが、その時に教員は無理をしなくても良いと思います。「〇声かけの具体」などを参照していただき、あとは生徒といっしょに悩みましょう(^^))

簡潔に書くつもりが長くなってしまいました。

言葉足らずやもっと説明したい部分があるのですが、この辺で終わりにします。