まんが日本昔ばなし「九升坊」「天狗と留さん」 | 七梟のブログ

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気まぐれ

まんが日本昔ばなし0910九升坊

 

 

 

あらすじ
昔ある村に、とてもケチで欲の深い爺さんがいました。1杯のご飯も5~6日かけて食べ、たくあんは1本を半年もかけて食べる程でした。まるで爪に火をともすような暮らしぶりで、それはもうケチケチとお金を貯めていました。

爺さんの楽しみといえば、命より大切なお金の勘定でした。毎晩、床板をそっとはがし、床下から金袋を引き出して、小判を一升枡(いっしょうます)でザラザラと計り、九升の小判を眺めながら幸せそうにニタニタ笑っていました。

こんな爺さんでしたので、床下の金が心配で心配で、村人たちが家に近寄ったりするだけで怒鳴り散らして追い返しました。ましてや村人たちがどんなに困っていても、びた一文の金を貸してやることもありませんでした。

ある晩、爺さんの家に旅のお坊さんが立ち寄りました。お坊さんが戸口の前から声をかけても、爺さんは小判の勘定に夢中で、声に気が付く様子はありません。そこで旅のお坊さんが、戸口をがらりと開けて「今晩一晩、宿をかしてもらえませんか?」と、土間に立って声をかけました。

坊さんの姿を見た爺さんは「オラの金が取られる!」とびっくりしたとたん、息がつまり、それきり倒れて死んでしまいました。爺さんは命より大切な金のために、とうとう命をなくしてしまいました。爺さんが死んでから誰も住む人の無くなった家を、村の人たちは「九升坊」といい、いつまでも残していたそうです。

 

 

 

 

 

【三重県】天狗と留さん(てんぐととめさん)のお話

 

 

あらすじ
むかし、三重の大矢知村の外れに留(とめ)という子供がおった。親も兄弟もなく、畑もなしで、犬のポチと一緒に、毎日人に頼まれた荷物を運んではその駄賃で暮らしをたてておった。

留は毎日一所懸命働いたが、まだガキじゃからと少ししか駄賃を貰えないこともしばしばじゃった。峠の団子屋のばっちゃんだけが、そんな留を何かと気遣っておった。

さて、ある日のこと。垂坂山(たるさかやま)の向こうへ品物を届けた留とポチは、とっぷりと日が暮れた山道を帰ってきておった。大きな杉の立ち並ぶ峠に差し掛かった時のことじゃ。

「今、何時じゃあ!」と、いきなり大きな杉木立の上から天狗の物凄い声が降ってきた。四つ時じゃと留が震えながら答えると、今度は藤の蔓が降ってきて、「腹が減ったで、これで豆腐を買うて来い!」と、また声が降ってきた。「藤の蔓で豆腐が買える訳がない。」と留は思うたが、突然大風が吹いて来て、留とポチはあっという間に豆腐屋の前まで飛ばされてしもうた。不思議なことに、豆腐屋はまるで前から承知しているように愛想よく、藤の蔓に豆腐を結わえつけてくれたのじゃった。

留とポチは、また大風に吹き飛ばされて元の峠の道へ戻ってきた。豆腐を天狗に渡した留は、恐ろしかったが「豆腐を食べる前に、駄賃を払って下せえ!」と、精一杯声を張り上げて言うた。すると「これからはお前達にうんとええことが授かるじゃろう。それが今日の駄賃じゃあ!」天狗の高笑いと共にまた大風が吹いて来て、留とポチは峠の団子屋まで飛ばされて、無事に帰ることが出来たのじゃった。

そうして次の日の朝。なんと留の家の土間の土の中から、一文銭がぎっしり詰まった壺が出て来たのじゃ。さらに、留が小川で顔を洗おうとすると、水の中は小判で一杯じゃった。これが天狗様からの駄賃じゃった。

留はこのお金で土地を買うて一所懸命耕した。不思議なことに留の畑で作る作物は皆、大豊作じゃったそうな。そうして留はたちまち村一番のお百姓さんになったそうな。そうして留は、天狗様のことや、貧乏で山のような荷物を運んでいた頃のことを忘れないために、天狗様に遭った日には必ず一丁の豆腐を買うてきて、皆で分け合って食べたそうじゃ。