大好きという言葉を
震える心で差し出してみたあの日
貴方のごつごつとした指の関節に男を感じ 心がざわざわとした
貴方の耳に生えている一本の毛が 愛しく感じられるようになった
貴方のくれたメールの文字がただの文字ではなく 貴方そのものに見え始めた
貴方がついたため息に どうしようもないくらいの愛しさを感じた
貴方の・・・・・・そう何もかもが好きになった
そして大好きが愛してるに変わったあの日
貴方の匂いと私の匂いが一つになった
ゆっくりと私の上を あなたの匂いが優しく流れていった
色を失った冬の湖面を流れる靄のように
妖しく美しく哀しく秘めやかに這うように流れた
私は ただただ吐息を漏らしながら
虚空の何かを掴むように手を伸ばす
私は貴方を愛し始めた
この霧がはれる彼方には何があるのだろう
この"愛してる"は これから何に変わっていくのだろう