子供が小学校の国語で「ごんぎつね」を学習中です。
「ごんぎつね」
言わずと知れた、新美南吉さんの名作。
近年は「ごんぎつねが読めない小学生」として、子供の国語力低下の例に挙げられる事もありますよね。
そんな「ごんぎつね」
私が小学生の時も4年生の国語の教科書に掲載されておりました。
今でも「ごんぎつね」を読むと思い出す出来事があります。
それは、クラスメイトだったA君とB君の思い出。
A君は朗読がとても上手な子でした。
「お手本の朗読」として、先生から指名される程。
B君はスポーツが得意でやんちゃな子。
勉強はあまり好きではないけれど、体育の時は「お手本」として実技をやる子でした。
A君が「ごんぎつね」を朗読していた時、その事件が起きました。
物語のクライマックス。
火縄銃でごんを撃ってしまった兵十の台詞。
「ごん、おまえだったのか」
兵十が乗り移ったかの様なA君の朗読に、教室中が涙を浮かべたその瞬間。
「そうだよ」
誰かが、裏声でそう答えたのです。
「誰ですか!
今、『そうだよ』と言ったのは!」
教室中の涙が引っ込んだのと同時に、先生の怒気を含んだ声が教室に響き渡りました。
「俺です」
正直に答えたB君は偉かった。
偉かったけれど、簡単に許して貰えるワケもなく。
そこからは「ごんぎつね」の哀しいお話を読み解く時間ではなく、B君への説教タイムになりました。
私は今でも「ごんぎつね」を読むと、哀しい結末よりも先に、あの日のB君の「そうだよ」と言
う裏声と先生のお怒りMAXな説教を思い出すのです。
余談。
子供に、あの時のB君の様に「そうだよ」と言ってしまう子が居なかったか聞きました。
「そんなバカな事する子、居るワケないじゃん。
先生に怒られるって判ってるのに、そんな事誰もしないよ」
瞬殺でした(笑)