先月くらいのことだったでしょうか・・・。

①幼い子どもさんを持つ、若いお母さん。

がんの末期で、医師からご主人には余命を伝えられていたそうです。

②ご本人には、少しやわらかく説明。

③ご本人の「がんと闘いたい」「諦めたくない」「子どもが小さいから生きたい」との強い思いから、抗がん剤治療を継続。

④急に病状が悪化し意識不明になり、病院に救急搬送。

その夜、亡くなられたそうです。

⑤ご主人は茫然自失となり、亡骸の傍でずっと後悔の言葉を語られていたとのこと。

⑥遺された子どもさんの寂しさを想うとここらが痛みます。

以前は、がん経験者として厚労省の「緩和ケア検討会」の委員をしていましたが、最近のがんの治療や緩和ケア・ホスピスケアについては、あまり詳しくありません。

なので、一般市民として書きますね。

以前は治癒が望めない場合は、主治医や緩和ケア医が、最期の時間を心穏やかに過ごせるように説明し、患者さんもそれを希望される事が多かったと思います。

山口県で、NPO「周南いのちを考える会」というホスピス運動をしていました。多くの先生方をお招きして学びの場を提供していた20数年前は、ホスピスムーブメントの最後の頃だったかと思います。

今、思うといい時代でした。

いのちに寄り添い、最期のときを心穏やかにという気持ちの医師が多かったと思います。

ホスピスムーブメントが起こった頃に働き盛りだった緩和ケア医やホスピス医が高齢になられました。

その頃に素晴らしく患者さんのことを思って緩和医療の最前線に立っておられた先生方も、現状を憂いておられます。

もちろん地域や医療機関によっても差がありますけれど。

近年、在宅ケアや訪問診療が増えているようです。（正確ではないので、ぼかした表現）

しかし、以前から在宅ケアをされている医師からは「今の在宅や訪問診療をしているところは、質が・・・？」という懸念の声をお聞きします。

もちろん、崇高な精神で訪問診療をされているところも多いので、誤解のないように・・・。

長々と書きましたが、今日の結論として、

①いのちが終わる時に、ご家族の哀しみが少しでも少ないように闘病中から考えて欲しい

②抗がん剤治療に苦しみながらの最期は、哀しい

③残される幼い子どもへの、お母さんが亡くなる前からのサポートが必要

④「もしも、自分の家族なら」という視点を、全ての医療従事者は持つべき

⑤苦しむ姿は、残された家族の心の傷になることを知って欲しいし、もし痛みを取りきれない場合は、ご家族にしっかり説明し理解をしてもらえるように努力をお願いしたいです。

時々、お伝えする「緩和ケアのはなし」