少年は

 売春した金を片手に

 落ちている

 彼女の花冠の花を

 頼りに

 先を急いだ

 少年は最近は

 慣れない生活のせいか

 歩を進めるか

 女どもに身を捧げること

 以外の時間は

 1日中

 宿の部屋に

 こもりきりになった

 宿の人間に

 大丈夫?

 と、聞かれても

 相手にもしなかった

 体がだるい……

 少年は目を閉じた



 セピア色の部屋に

 風が吹き

 白い光が差し込む

 書斎は影で隠れている

 日陰の下で何かが蠕く

 顔はわからないが

 一人の年配の男が

 白い便箋に

 何かを一心に書き連ねてる

 うねうねと蠕く手が

 まるで何か別の生き物のようだ






 「はっ……!?」

 書斎の窓に気づけば

 あのときの少女が

 座っていた

 顔のあたりはまだ

 ノイズがかっていて

 よくわからなかったが

 確実に

 日に日に鮮明に

 見えるようになってきた

 今、間違いなく

 ノイズがかったそれは

 ゆっくりと微笑んだ




 

 「あ……」


 そこで目が覚めた


 そう


 最近夢に


 彼女が出るようになったのだ


 何度も寝れば寝るほど


 彼女の姿ははっきりと見えるように


 なってきた


 だから尚の事


 少年は1日の大半の時間を


 ベッドで過ごすようになったのだ