nanのブログ

読書にまつわる独り言的備忘録。
遅読のため、のんびり更新予定(^^)


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数年前に『怖い絵』を読んだのだが、その内容については日々の生活の中で頭の片隅に追いやられてしまい、ほぼ忘れてしまっていた。

そんな可哀そうな私の頭を慰めるかのように開かれているのが「怖い絵 展」である。

兵庫県立美術館での展示が終わり、107日からは上野の森美術館で展示が始まるそうだ。

 

「怖い絵」と聞くと化け物や幽霊が描かれたグロテスクな絵を想像してしまうが、実際はそうではない。

確かに、竜が食べ残した人間の体が画面の隅に転がっていたり、医者がまだ理髪師と同一視されていたころの解剖風景が描かれていたりと気味の悪い絵も含まれているのだが、一見すると無害な肖像画や農村の風景画も「怖い絵」とされている。

というのは、著者である中野京子氏のいう怖さとは、描かれた絵の背後に潜んでいるものをつぶさにあぶり出すことによって初めて理解できる類ものものだからだ。

 

文庫本では絵のサイズが小さく、目を凝らしても細部を観察できないのが残念。

質感も分からない。

美術館に足を運ぶことのできる方は是非、氏の『怖い絵』シリーズを読み、その目で本物を見てほしい。

 

美術展のサイトでもチラシでも大きく取り上げられているのがドラローシュの『レディ・ジェーン・グレイの処刑』。

わずか9日間の在位で散った16歳のイングランド女王の処刑場面だ。

彼女は目隠しをされてクッションの上ひざまずいている。

「断頭台の露と消える」という言葉があるが、その「断頭台」もなかった時代の処刑なのだそうだ。

 

 

また45ページに白黒写真で紹介されているベラスケスの『セバスティアン・デ・モーラ』。

「道化」または「ペット」として宮廷の人々の慰み者となっていた彼のこの顔を忘れてはならない。

 

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こぶしを握りしめ、短い脚を人形のようにぽんと投げ出して座るこの慰み者は、明らかに「何者か」であって、道化という言葉から連想するユーモラスなところなど微塵もない。彼は、自分が他の人々に優越感を与えるために飼われていることを知っており、知的な眼に抑制した怒りのエネルギーをたたえ、あたかも目に見えない何かに挑むかのように真っ直ぐこちらを睨みつけてくる。彼の精神と肉体の、魂と現実の、大きすぎる乖離が見る者にひりひりした痛みさえ感じさせる。

こういう肖像画をなぜ描けたのだろう?きっとベラスケスの中にも、道化の怒りに共鳴する激しい何かがあったからに違いない。

(中野京子 『怖い絵 泣く女篇』、角川書店、文庫、45-46頁 )

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私のように世界史に疎い人にとっては絵の鑑賞法だけでなく、とてもお勉強になる本であるのも有難い。

↑こちらはエリザベス女王?
 

 

↑もうNHKで「クィーン・メアリー 2」の放送が始まってしまったのだが、

こちらの本を読み、「『クィーン・メアリー 1』を見ておけば良かった」と少し後悔()

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