あと、半年で

世界がたいへんなことになって、

このいまが、すごく、

かけがえのない濃密だと、わかったとき

ひとは、どうするだろう。

あと、半年で

生命や、秩序や、これまでのベクトルが

へし折られるくらいの隕石が

落ちるとするなら

ひとは、どうするだろう。

まず、仕事を辞めて、素直な自分に戻るのか

もっと、仕事を究めて、さいごのときまで

美学を貫く自分になるのか

家族を、この上なく、いとおしく、いつくしむ

ように、なるのか

親孝行を芯から、したくなるのか

金の亡者となっても、つかう前に、おわりとなる

から、ほどほどに稼いだら

気ままなひとり旅に出るのか

ただ旅先のホテルや旅館も、営業している保証は

ない。

接客業の彼らも、クレームを受けたり、

本部から叱責されるより

退職して、自分の時間をだいじにしている

だろうから。

ドロボーや、詐欺師も、果たして

あと半年でおわりなのに、

ルパン三世の美学を生きるのだろうか。

ほぼ、経済や政府や社会は

向上心というよりも、退化してゆき

自給自足の原始社会に回帰して

ゆくのかも、しれない。

電気や、通信のサービスもなくなるかも

冷蔵庫も、発光ダイオード電球も

コンビニも、クルマも、電車も、エレベーターも

水道もガスも。

だから、

世界のTOP、首脳級は

決して、そのおわりの日にちを公表しない。

僕たちは、ぎりぎりの

おわりのときまで、

なにも、知らされず、働き、ケンカし

クレームを受け、苦情を言い

1000円のランチに贅沢感を持ち

こどもと、プロレスごっこで負け

彼女に贈る、ブーケを青いリボンに

したりする。

再開発事業も、リニア新幹線工事も

10年もの国債も、ダム建設も

着々粛々と継続。

ぎりぎりまで、関数曲線はなめらかに

描かれ、ある日突然、

微分不能な屈曲をする。

そうされるのは

理不尽なようで、

首脳級たちの、親ごころ、かもしれない。

首脳級たちも、同様に、この地球で

おわりを迎える。

さいごのときまで

微分可能な、なめらかな、人生や

社会、経済、政治ショーで、あること。


だから

もちろん、あと、半年で

自分だけ、一足先に

征くのが、わかっているひとは、いまを

とても、いつくしむ、いとおしく、たいせつな

濃密を過ごすのだろうと、

おもう。

その彼は、ぎりぎりまで

カッコよく美学を貫くのか

これまでの、恩返しと、罪滅ぼしに

聖人と、なるのか


あと、半年で

世界がたいへんなことになって、

このいまが、すごく、

かけがえのない濃密だと、わかったとき

ひとは、どうするだろう。

あと、半年で

生命や、秩序や、これまでのベクトルが

へし折られるくらいの隕石が

落ちるとするなら

ひとは、どうするだろう。


どうするだろう、。






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