すぐには、わからないもの。
そういうものは、たぶん
たくさん、ある。
歳を重ねれば、つまり、
年月を経て、やっと、わかるものを
実感するから、余計そうおもえるし
たぶん、そういうものは、
たくさんあるんだろう、と、想念できる。
さいきん、自宅でよく聴いている
バッハ、平均律クラヴィーア曲集全巻。
これなども、３０後半になってから
そして４０を越えてから、とくに
沁みるような、あじわい、デリケートを
かんじられるようになった。
この全巻ＣＤは、１７歳のとき、
正月、御年玉のこづかいで、買ったもの。
４枚組で12,000円
買おうかどうか、逡巡して、何日目かに
ガッツリ、買った。
黒基調、ゴールドなジャケットに、
スヴャトスラフ・リヒテルの
陰影ある表情と眼。
１７歳の自分には、これはメチャクチャ
価値あるものだな、という、聴いてないけど
鶴の直観(^｡^)のようなものが、たしかに。
しかし、そのＣＤをあじわう、理解するまでには
ながいながい、休眠収蔵年月を経ることになる。
当時は、手持ちの高価なSONY DISC MAN が
自分なりの聴く手段。
SONY DISC MAN 。当時のそれは、よくできた
精密音響機器。高校生には贅沢。
ヘッドホンで、聴くわけだけれど、
リヒテルのバッハ平均律に関しては、、、
どうしても聴けば聴くほど、ガチガチに硬い
バッハのアクセントに、ほんとにアタマが
痛い！疲れる、、といった具合で
とてもとても、全曲、聴き通せなかった。
それは、クラスメートに聴かせても
アタマが痛い、これ、ヤダ！と
おなじ、感想のバッハ、と、なった。
その後、victorのＣＤラジカセ、
オンキヨーのＭＤＣＤミニコンポと
３０前半まで、自宅の再生機は変遷。
しかし、どれで試しても、この
バッハ平均律クラヴィーア曲集全巻
スヴャトスラフ・リヒテルは
ガチンガチンにキツイ鍵盤の音ばかりだった。
そんな、
ある日、ヤフオクで、手頃な真空管アンプを
ストアが新品でだしていたので、
ためしに、応接間のステレオ用に
買ってみた。５～６万円くらいだったような。
それが３０半ば。
ついでにステレオのセットも一新して
ＣＤプレイヤーはマランツ、
ＬＰプレイヤーも簡便な安価なものを買い足し。
それらを、真空管アンプに結線。
大概のＣＤは、やわらかく、暖かい音色となった
これは、真空管アンプの大概のユーザーの
じっさいの感想のとおり、な。
ある日、例の、１７歳のとき
あきらかに、これは、価値がある、と
鶴の直観をした、リヒテルの一枚目を
入れてみた。 どうなるか、、
柔らかい。
自分より、家族が、むしろはやく
『ベルベットみたいに、もう♡ステキなピアノね
だれの、曲なの、？』
と、聞いてきた。
誰が聴いても、どうやら
このバッハ平均律は、やっと真価を
理解された、、のである。
１７歳の鶴の直観は正しかった。
旧ソビエト時代の録音は、デジタル信号の変換だけの再生では
感動どころか、頭痛と不快な代物にしかならなかった、のか
あるいは、８０年代後半のバブルのころから、
かずかずの経済危機、戦争、天変地異
アンビリバボー、刺激の加速度原理な
文化、音楽芸術、ネット社会の氾濫を経て、
やっと、この自分にも
バッハ平均律クラヴィーア曲集全巻
ピアノ:スヴャトスラフ・リヒテル
を沁みるようにおもえるいまと
なったのか……
いえることは……
すぐには、わからないもの。
そういうものは、
たぶん、たくさんある。
たとえば、いま、ネット社会で
目の前の、価値がないもの、不要なもの
悪なもの、非難すべきもの、ネガなもの
そのとおりに、年月をへても
そのとおりにネガティヴなものもある、だろう
だけど、ちょっと、ちがうところから
みたり、再生したり、
自分たち側が知らず知らず脱皮し成長して
あるとき、突然
価値があるものにかわったり、必要なものに
なったり、善なものになったり、
称賛すべきものになったり、
ポジティブなものになる
可能性も、
おそらく、
かなり、高い。
断捨離で手離すのも意味はある。
しかし、ボツになったもの
ゴミ、不要なもの、無駄なもの
ほんとうに先を見通す賢者は
とっておいたり、するのかな、と
おもう。
むだなものも、情報もDATAストックするのは
たぶん意味がある。
再発見や、再評価はよくあること。
絵画史や文学史、
歴史認識でも、たぶん。
粗大ゴミも200年とっておけば、
家宝として、未来の博物館員などに
高価に売却できるかも、しれない。
超長期投資よね(=^ェ^=)
すぐには、わからないもの。
そういうものは、たぶん
たくさん、ある。
チョコを貰えない小学生も
じつは想われていたのを
おとなになってから
知るようなこともある
さいごに、
これも、ジパングの経験から
^_－☆
