鰊漁を守るか?利権争いに食い込み遠洋漁業に活路を見出すか?東映東京「北海遊侠伝」村田英雄 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

昨日の22時に勤務を終え令和3年1月3日(月)13時の始業時迄の年末年始休暇に入り、明日から1/3(日)迄郷里の盛岡へ帰省します。今年は新型コロナウイルス感染拡大による前職場の人員削減により転職をせざるを得なくなり、雇用形態を気にしていていては食えない為に契約社員から派遣社員とはなったものの無事転職出来ましたし、現職場での一か月間の休業要請も保証付きであった為に混乱無く平常通り過ごせました。そして来月末からは「昼から夜の中間勤務と夜間勤務の交代制」となる予定です(まだ確定ではありませんが、13:00~22:00と18:00~03:00を隔週若しくは二週間ごとに交代で行う事となるかと思います)。そして今年は俺の休業期間中(8月)に祖母が他界した為、社会情勢に関係無く家族のみで過ごす静かな年末年始となります。

 

 

 

さて本日は今年の夏季に日本映画専門ch「東映チャンネル・日本映画専門チャンネル共同企画 村田英雄劇場」で放映されていた此方の作品を…立ち位置を問わず、人生と仕事に真摯に向き合う男達の戦いを侠客道で味付けした作品とも言えます。

 

 

 

「北海遊侠伝」昭和42年6月29日公開・山本英明/松本功の共同脚本・鷹森立一監督・東映東京制作。

 

 

未VHS/DVD化作品で有料動画配信も行われていません

 

 

 

 

 

 

昭和初期の八戸…北海道・岩別(神尻岬と云う漁場を持つ架空の地名ですが、渡島半島の松前町に白神岬が存在していますので此方をモデルとしているものと推測をします)から鰊漁のやん衆(=出稼ぎ漁師)を集めに来ていた村田英雄は、若山富三郎が率い名和宏が代貸を務める組織の若衆である沼田曜一の妨害を受けますが、その場を通り掛った北島三郎の助けで事なきを得、やん衆達を率いて親分である嵐菅寿郎が待つ岩別に向かいます。

 

 

しかしアラカン一家も問題山積…と云うのも鰊漁は二年連続の不漁で他の漁師達は遠洋漁業による助惣鱈の捕獲に転換しようと画策をしており、アラカンの実子で水産学校を卒業した千葉真一も「鰊は利尻島付近に行かなければ取られないのが現状」と他の漁師達と歩調を合わせ漁業組合からの融資を受けて大型船を建造しようと独断専行で事を進めていた事が「鰊漁の不漁は三年続いた事は無い!鰊が本を読めるか!」と鰊漁を頑なに守ろうとするアラカンの逆鱗に触れ大喧嘩に発展していた程。この親子の関係を中間で取り持っているのが村田の御大と千葉ちゃんに思いを寄せる大原麗子。そして千葉ちゃんは麗子さんの実兄でアラカンの一家で漁師を務めていたもののラッコ撃ちに転じ、数年振りに岩別に帰還した大木実にも計画への協力を願い出ますが返事は今一つ。

 

 

そんな中、遠洋漁業への転換を図ろうとしていた漁師達の動きを察知した「先に遠洋漁業に活路を見出していた」若山先生は「岩別を拠点とした遠洋漁業の利権独占」「好条件の立地に在るアラカンの漁師小屋の奪取」等々を目的に妨害行為を徐々に強めて行き、そこに「サブちゃんの兄弟分である名和センセイが元の一家を若山先生に丸投げしただけに留まらず、二人の親分であった人物の愛娘・宮園純子を一方的に女房に迎えた事」が絡み…

 

 

 

 

 

当作品は前年に制作された「北海の暴れ竜」(昭和41年10月25日公開・佐治乾/神波史男の共同脚本・深作欣二監督・梅宮辰夫主演・東映東京制作。DVD化作品でU-NEXT内に於いて有料動画配信が行われています)の時代背景・出演者・物語の流れの一部を変えて制作された趣にも感じました。

 

 

 

 

 

●東映ビデオ公式・YouTube予告篇動画

 

 

 

 

「大網元の実子だったが自由奔放に生きて帰郷した時、落魄れた生家の惨状を目にして奮起する、不良ながらも堅気であるのが辰ちゃん」ならば「元・侠客ながらもアラカンに拾われてからは堅気の漁師として生きる決意を固め、実子の千葉ちゃんよりも絶大な信用を得ているのが村田の御大」しかし当作品では登場時から「一筋縄では行かぬ義侠心に溢れた雰囲気を醸し出しながらもローギア運転で終盤迄引っ張り「刺青=箸にも棒にも掛からぬ極道が自らを戒める為に刻み込む物。これが出来て初めて男になれる」(東映京都制作・梅宮辰夫主演「侠客の掟」内に於いて刺青師の河野秋武が放った台詞です)を一挙に翻す様に刺青を晒して若山先生達に殴り込む村田の御大の凄味」は、鶴田浩二や高倉健には及ばぬものの、浪曲師として鍛えた野太い声が凄味を効果的に増大させており中々のもの!

 

 

そして「村田の御大の弟分」であるサブちゃんは「侠客道を地で生きようとするが直情的なのが玉に瑕…或る意味で最強とも言える私利私欲のみの極悪非道コンビかつ、東映ファン・悪役ファンにはたまらない顔合わせである若山先生・名和センセイに立ち向かうにはもう少し頭を使った方が…」とも感じましたが、考えてみれば村田の御大主演「男の勝負シリーズ」とサブちゃん主演「兄弟仁義シリーズ」で双方が演じていた役柄設定をそのままに、しかも東映京都が作り上げたキャラクターを東映東京が一度に拝借をして鍋にブチ込み完成させてしまったと思えば納得!それを当作演出後に「千葉ちゃん主演のアクション映画」「キイハンター/プレイガール等々の無国籍アクションドラマ」等々で名声を得る事となる鷹森監督に一任した東映東京側の見る目も大いに評価が出来ます。

 

 

「十八番とも言える頑固一徹のアラカン」「アラカンに世話になった恩を返していない事に迷いを見せる大木若頭」「千葉ちゃんの転機」「繁忙期に若山先生が取り仕切る岩別の酒場に出稼ぎに来ながらも人間性や容赦の無い遣り口に愛想を尽かし村田の御大の肩を持ち始める女スリでもある三島ゆり子」「コメディリリーフでありながらもやん衆の代弁者として真摯な芝居も同時に見せた由利徹・大泉滉」「現代の若手女優陣を足元にも寄せ付けない可愛らしさを醸し出した麗子さん(私感)。特にアラカンとの二人場面で「本当に頑固者だよ…」と呟きながらも(この台詞は字幕設定にしておかなければ解らぬ程の小声です)アラカンの意思に応える返答をした優しさもまた良し」等々、細部もかなり楽しめます。

 

 

 

そう云えば、今年日本映画専門chで放映された「この人 三波春夫・村田英雄ショー」(昭和58年・NHK総合テレビで放映)も良かった!旧知の仲ながらも二人きりでステージに立ったのはこの時が初めてであったとか…そしてやはり、ボンクラ野郎の東映ファンには(時々昭和期の女性アイドル歌謡も聴きますが)「演歌・軍歌・ヤクザ映画等々の主題歌・フォークソング・サウンドトラック」が心地よく響きます!

 

 

 

今年の記事更新は本日で終了と致します。多くの皆様にお越し頂いた事、また数多くのコメント等々を寄せて頂いた事、心より感謝です。有難うございました。

 

 

令和3年は1/3(日)以降に記事更新を開始する予定です。来年も宜しくお願い致します。