セブン-イレブンの答弁書 13頁~16頁 | セブン-イレブン経営被害者の会

セブン-イレブンの答弁書 13頁~16頁

c.上告人らの本件請求が推奨仕入先および他の加盟店オーナーにそれぞれ及ぼす影響について


(a) 推奨仕入先においても、そもそも、上告人らから直接支払いを受けていないのであるから、請求書・領収書の発行および被上告人セブン-イレブンが推奨仕入先に対して支払った各セブン-イレブン店毎の商品仕入代金明細について、上告人らの問い合わせに回答する義務はなく、推奨仕入先において、システム開発と運用コストと社員の手間を著しく増大させる必要性は全くない。


(b) また、各加盟店オーナーにおいても、各加盟店オーナーが自ら管理・保存しなければならない会計帳票類がそれぞれ増加することから、推奨仕入先と同様にコストと手間が著しく増大する。このことからすれば、上告人らを除く、他の大多数の各加盟店オーナーにおいても上告人らが請求するような非効率な仕組みの構築を求める要望は無いのであるから、店舗運営を円滑に行うという観点からも、被上告人セブン-イレブンが新たに非合理的なシステムを構築する等のコストを負担してまで上告人らの請求に応じる必要性は全くない。


(c) そして、「加盟店は、検品後、仕入伝票(物品受領書)を推奨仕入先に渡し、複写式で同様の記載があるものを手元に保管するが、これには、商品名、数量、商品原価、商品売価が記載されている」〔原判決5頁、第一審判決17頁ウ(8行目~9行目)〕のであるから、上告人らは、被上告人セブン-イレブンの提供した会計帳票類が間違っているかどうかを現状でも十分検証できるのである。


(d) なお、被上告人セブン-イレブンから各加盟店オーナーに対して、被上告人セブン-イレブンの推奨仕入先に対する商品仕入代金支払日の報告は、税務申告上何らの必要性がないことから、上告人らにおいて、被上告人セブン-イレブンが提供する会計帳票類により、税務申告上、何らの不利益を受けることはない。


(e) 更に、国税庁の内部資料においても、商品仕入代金支払日は、税務申告に必要でない事項であるため、帳簿保存の要件を満たすものと取り扱われる書類の記載条件とはされていない(乙イ9の2、8枚目、添付資料2、5枚目、6枚目)。


d. 仕入値引き、仕入報奨金の詳細な内容の報告について


(a) 各加盟店オーナーが受け取る仕入値引、仕入報奨金(以下、仕入値引等という。)については、商品分類毎の総額が、商品報告書の「PMA別仕入値引高明細」(乙イ4「第10章 セブン-イレブン・ジャパンからお店にお届けする資料」23頁)および商品動向分析(PMA)の「リベート」(乙イ4「第10章 セブン-イレブン・ジャパンからお店にお届けする資料」24頁)にそれぞれ記載されることから、上告人らにおいて、仕入値引等の各金額を商品分類毎に具体的に把握することが可能である。


(b) このことは、被上告人セブン-イレブンが本件第一審において、「被告(被上告人)セブン-イレブンは、加盟店基本(本)契約28条1項2号に基づき、原告(上告人ら)を含む加盟店オーナーに対し、『コーヒー』、『乳製品』、『ペストリー』等に商品を分類してその動向を分析した一覧表(商品動向分析)を毎月作成し、原告(上告人ら)を含む加盟店オーナーに提供している。また、加盟店基本(本)契約38条1項に基づき、原告(上告人ら)を含む加盟店オーナーに対して毎月提供する『商品報告書』に、上記商品動向分析における商品の分類ごとに仕入金額からの値引高を記載した明細と、その合計額とを記載して原告(上告人ら)に提供しており、その店舗ごとの合計が仕入値引高である。なお、被告(被上告人)セブン-イレブンが各加盟店オーナーに対して、それ以上の詳細な内訳を示していないのは、これを示すことは、被告(被上告人)セブン-イレブンが商品の仕入先からいわゆるリベートを収受する条件等の詳細を公表することを意味し、同業他社との競争上秘密にせざるを得ない事柄であるからである。」(被上告人セブン-イレブンの本件第一審平成17年10月7日付答弁書5頁、同年3月15日付本件第一審「『答弁書』一部訂正の申立て」、同年11月11日付第一審答弁書5頁~6頁)と既に主張したとおりである。


(c) なお、被上告人セブン-イレブンの上記主張部分は、東京高等裁判所平成16年(ネ)第3390号、第5062号不当利得返還請求控訴事件、売上金等請求控訴事件、同附帯控訴事件の東京高等裁判所第7民事部判決において是認され(同判決7頁、同事件第一審判決45頁)、当該判決の結論は、御庁による上告棄却の決定により、平成19年6月11日確定している〔平成17年(オ)第924号〕。


(d) 仕入値引等は、セブン-イレブン全店の商品の仕入実績に基づいて、商品仕入代金からの相殺または現金により、メーカーから被上告人セブン-イレブンが受け取るものであるが、もとより、メーカーは、どのような取引の相手先に対しても仕入値引等を行うわけではない。メーカーが最初から商品仕入原価を下げずに、仕入値引等のような方法を採る理由は、仕入値引等をするためには、仕入金額、仕入数量に一定の条件があること、仕入値引等を行ったことによる実質仕入原価が一般に知られれば、他の納入先からも同様の値引きを要求され、各取引先との取引条件の交渉に支障を生じること等からである。


(e) セブン-イレブン店の場合、各店舗毎の商品仕入の実績では、到底、メーカーの定める仕入値引等の条件を満たせないため、本部である被上告人セブン-イレブンがチェーンとしてのトータルな実績に基づき、直接、メーカーと交渉し、メーカーから有利な条件を引き出しており、メーカーとの間の仕入値引等に関する契約についても、被上告人セブン-イレブンが当事者となって、直接、メーカーと契約を締結したうえ、仕入値引等の金額を受領する。その上で、被上告人セブン-イレブンが各加盟店オーナーに対し、自主的に、各店舗毎の商品仕入実績に基づいて全額按分配賦しているものであるから、本契約上、各加盟店オーナーに対して仕入値引等の詳細な内容を報告する必要性はない。