園客列伝の2 『パン中野選手』


5.国際政治が絡んでいたネーミング


それなら彼のハンドルネームは中華鍋中野選手にすればいいじゃないか。そう思った読者の方。


胸にじっと手を当てて想像してみてください。バン中野選手にも奥さんもいれば子供もいる(多分)。自分の旦那様や父親が中華鍋中野という綽名で呼ばれていると知ったらどう思うか。


中華鍋なんて失礼な。同じ鍋なら値段の高い圧力鍋にしろ。くらいのことは言われそうだ。


中華鍋という言葉には、もうひとつ使いにくい理由があった。それは中国との領海問題です。私がパン中野選手の記事を書こうと思いたったのは、ちょうど尖閣諸島の近海を中国の漁船が侵した時だった。


ケシカラン。私も日本人だ。中華なんて美名はたとえ鍋でも使うもんか。という訳で、中華鍋中野というネーミングはお蔵入りになった。


中華鍋がダメなら何がいいか? 考えあぐねた私がトイレに行くために台所を通りかかった時です。ふとフライパンが私の目をかすめた。ガスレンジの上に置きっぱなしだったからです。おっフライパンだ。フライパ:ン中野。パン中野。ああ、いい。


園客列伝の2『パン中野選手』誕生の瞬間です。トイレで“考える人”の姿勢になるまでもなかった。(完)


次回の“園客列伝その3”は『正管理人ホムレさん』です。