かまやつひろしアニキのショーゲキの過去
最終回8.俺の故郷は大西部(ウェスタン)』

8.
ウェスタン・カーニバルで一世を風靡した平尾 昌晃さんが歌謡曲に転進し、幻のロリコン歌謡曲『リカちゃん』を歌っている姿。

“3人ひろし”の中に入れず、くすぶっていた頃のかまやつアニキが背広を着て頭を七三に分け歌謡曲を歌っていた頃の姿。

日本のロック史の生きた標本と一部で熱く評価されているアニキが歴史にフタをしてでも見せたくない姿。

ではないのかな?


と私が勝手に思っているお宝映像。歴史の闇に消えていっても不思議ではない貴重な昭和30年代の映像。


これが実は、今でも見ることができるんです。2~3年前には中央線の高円寺だったかな? そのあたりにある映画館でも上映されたようだ。

その映画とは和田浩治さん主演の『俺の故郷は大西部(ウェスタン)』です。日活得意の無国籍アクション映画だ。



石原裕次郎や赤木圭一郎などと共に日活ダイヤモンドラインを形成していた和田浩治さんの正月映画です。正月映画らしく、守屋浩,平尾昌章,森山加代子,田代みどりなど、当時の青春歌謡のスターたちが大挙出演している。

その中で唯一、スターでなかったかまやつアニキも出演し、七三に分けた頭で歌謡曲を歌っている。曲のタイトルがまたいい。『結婚してチョ』という歌です。

作曲は浜口庫之助さんだ。おそらく『僕は泣いちっち』の大ヒットで味をしめて、柳の下の2匹目のドジョウを狙ったタイトルでしょう。無常にもドジョウはいなかった。アニキの歌はまったくヒットしなかった。


そんなアニキが正月映画に出演できたのは、おそらく主演の和田浩治さんとの繋がりがあったからでしょう。和田浩治さんはジャズピアニスト和田肇の次男です。

注; かまやつアニキとジャズの縁は本シリーズ初回を読んでください。


時は流れ、当時の青春スターたちは霧の彼方に消えて、今では七三分けのかまやつアニキの姿を見られるだけでもお金を払う価値がある、一部でそんな評価をされている映画です。


私は有線テレビのチャンネルnecoで見た。まぁ、平尾 昌晃さんの『リカちゃん』にも笑いましたが、かまやつアニキの『結婚してチョ』には抱腹絶倒しました。奥さんや息子、一家で床を転げ回って笑った。皆さんもチャンスがあったらぜひ見てやってください。(完)