園客列伝の2 『パン中野選手』


4.パン中野選手のパンはどこから来たか?


千閣乃公園の光速マウンテンバイカー。急用があるわけでもないのにいつも疾走している。おそらく還暦を過ぎた彼のハンドルネームを私はパン中野選手と名づけた。


中野選手の由来は前回の記事に書いたとおりですが、ではパンの由来はなにか。これは実はフライパンから来ています。これまで3回のお話の中で、私はパン中野選手をこんなふうに形容してきた。


なにか光るものが近付いてきたな。思った瞬間、シュッという音だけを残して私とすれ違っていった。

パン中野選手の魅力は顔ではない。その神速。光。肌色のヘルメット。

なにしろ光速。かにしろ高速な人・・・


勘のいい読者ならとっくに分かっていたはずです。そう、パン中野選手の頭には髪の毛と呼べるものが一本もない。ユル・ブリンナー 型の頭です。



ユル・ブリンナーと違うのは、パン中野選手は未練がましく髪の毛を後頭部に残している点だ。しかしフツーの人が帽子を乗せる部分には無駄なものが一切ない。実に機能的な頭です。叩いたり擦ったりするには実に都合よくできている。よく蠅が滑ると言いますが、蠅が滑るだけじゃない。滑って転んで見事な尻餅をつくような頭です。


そのうえに、後頭部に残った髪の毛をまとめて縛ってある。チョンマゲが首の後ろに突き出したような格好になっている。一目、把手を後ろにした中華鍋を目深にかぶったような頭です。

[続く]