アンテナ-学生編- 番外編 佐藤由子 第二話 不安 | 見えない世界の真実が此処に®

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朝。

 

カーテンの隙間から、光が入っていた。

由子は、目を覚ました。

 

静かだった。

 

でも、

胸の奥が、少しだけざわついていた。

 

 

 

理由は、分からない。

 

ただ、落ち着かなかった。

 

布団の中で、しばらく動かなかった。

 

耳をすます。

 

何かを、探すように。

 

 

 

(……いる?)

 

 

 

分からなかった。

 

何も感じない日もあった。

 

でも。

 

感じる日もあった。

 

それが、いつなのかは分からなかった。

 

 

 

ただ。

 

 

 

なくなったわけじゃないことだけは、分かっていた。

 

由子は、ゆっくり体を起こした。

 

台所から、音がする。

母の足音だった。

 

少しだけ、安心した。

 

「おはよう」

 

「おはよ」

 

いつものやりとり。

それだけで、少し落ち着いた。

 

 

 

でも。

 

 

 

完全ではなかった。

 

 

 

(……なんか)

 

 

言葉にはならない違和感が、残っていた。

 

学校。

 

教室の中は、ざわざわしていた。

 

友達の声。

 

笑い声。

 

椅子の音。

 

それが、全部一緒に入ってくる。

 

 

 

(……多い)

 

 

 

そう思った。

 

誰かの機嫌がいい。

 

誰かが、少し怒っている。

 

誰かが、つまらなそうにしている。

 

分かってしまう。

 

理由は分からない。

 

でも、感じる。

 

それが普通だと思っていた。

 

 

でも。

 

 

違うのかもしれない、と気づいたのは

小学生の終わり頃だった。

 

 

 

「なんでそんな心配するの?」

 

友達に言われた。

 

由子は、答えられなかった。

 

 

なんで、と言われても、分からなかった。

 

ただ。

 

そう思うから、そうしているだけだった。

 

 

 

帰り道。

一人になる。

その瞬間。

 

また、ざわ、とした。

 

(……いる)

 

振り返る。

 

誰もいない。

 

でも。

 

分かる。

 

 

 

何かがある。

近くにある。

見えないだけで。

 

由子は、少しだけ足を速めた。

怖いわけじゃない。

 

 

 

でも。

 

 

 

落ち着かない。

家に帰ると、すぐに誰かのそばに行った。

 

母でもいい。

父でもいい。

誰でもいい。

 

一人じゃなければ、少し楽だった。

 

 

 

夜。

 

布団に入る。

 

ぬいぐるみを抱く。

 

手を強く握る。

 

それで、やっと落ち着く。

 

 

 

(……だいじょうぶ)

 

 

 

そう思い込むようにしていた。

 

でも、

本当は分かっていた。

 

 

 

大丈夫じゃないことを。

理由は、分からないまま。

 

 

 

ただ。

 

 

 

ずっと、そうだった。

 

それでも。

 

その不安が、少しだけ消える瞬間があった。

 

それは、

 

誰かと、手をつないだときだった。

 

(アンテナ-学生編-【番外編】  第三話へ)

 

 

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