【美紀】 | 見えない世界の真実が此処に®

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霊能力を生業としている方や、一般の方、霊媒体質の方のためのブログです。

美紀は、整った顔立ちをしていた。

 

 

 

 

スラリとした手足。

 

少しうねりのある黒髪はつややかで、

 

太い黒ぶち眼鏡の奥には

 

長いまつ毛に縁取られた大きな瞳を隠していた。

 

いや、隠しているというよりも、

 

彼女は

 

「自分を美しく魅せる」

 

ということに、価値を置かない。

 

 

 

 

自意識が最高潮になりがちな、

 

高校生という年頃にも関わらず、

 

流行にも、

 

自分が女であるということにも、

 

美紀は無頓着であった。

 

 

 

 

高校の特別コースで

 

同じクラスになった美紀。

 

 

 

 

彼女がとても

 

綺麗な女の子だということに

 

気づいたのはいつだっただろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

…あれは、

 

美紀が拾ったという子猫を見に、

 

美紀の家に遊びに行ったとき。

 

 

 

 

貧しい家だった。

 

 

 

 

薄暗く、古い、

 

2Kほどの狭い家に、

 

母親と弟の3人で暮らしていた。

 

 

 

 

「それでも、前に住んでいたとこよりはいい。

 

 前に住んでいた家は、

 

 とある神社の鳥居の前にあったの」

 

…と美紀は言った。

 

 

 

 

なぜだか私は、

 

草がボーボーの、荒れ果てた神社の

 

大きな鳥居が目に浮かび、

 

「うわ~そんなところ、嫌だな~」

 

と思った。

 

 

 

 

美紀の家に父親はおらず、

 

母親が一人で水商売をして

 

生計を立てていた。

 

 

 

 

「母親の店のある場所、

 

 あそこは墓地の入り口の傍なんだよ」

 

と、友達から後で聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

美紀は面倒見がよかった。

 

 

 

 

仕事で朝は起きられない母親の代わりに、

 

毎朝自分でお弁当を作ってきていた。

 

ともすれば、

 

親元を離れて一人暮らしをしている

 

友達の分までも。

 

 

 

 

「ほら、次は●●の授業だよ。」

 

「ほら、〇〇を忘れてる!」

 

「腹が減ってるなら、これ食べる?」

 

 

 

 

まるで、お母さんのように

 

口やかましかった。

 

 

 

 

母親の代わりに

 

弟の面倒を見ていたのだろうか。

 

うるさがる友達もいたが、

 

私は嫌な気はしなかった。

 

 

 

 

美紀は、

 

小学校、中学校と、

 

かなり酷いいじめを受けていたと、

 

噂で聞いた。

 

 

 

 

そんな素振りは見せなかったけれど、

 

弁当を食べる時などにおしゃべりをしていると、

 

興奮して声が大きすぎる時がある。

 

 

 

 

言葉遣いが、女同士で聞いたら、

 

ちょっとおかしい?くらいの

 

男言葉がまじっていたり。

 

 

 

 

人との距離感にも不器用さがあって、

 

無邪気過ぎるほど

 

無防備にしている様子を見て、

 

ああ、人にどう思われるかの注意、

 

意識を促してくれる友達が

 

いなかったのだなぁ

 

…と、思った。

 

 

 

 

美紀が、ショートヘアを

 

伸ばしっぱなしにした黒髪を

 

適当に結ぶと、

 

形の良い頭と

 

きれいなうなじから延びる

 

細い首があらわになった。

 

 

 

 

眼鏡をはずすと、

 

左右対称に整った、

 

ギリシャ彫刻のような目鼻立ち。

 

 

 

 

息をのむほどに、綺麗だった。

 

 

 

 

…にもかかわらず、

 

無頓着な服装。

 

 

 

 

「もっと、こうすればいいのに」

 

という周囲の言葉なんてどこ吹く風。

 

 

 

 

性格と容姿だけでも

 

女子高校生としては充分目立つのだが、

 

さらに美紀を「普通」から遠ざける

 

事象がいくつもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

美紀は、人格がコロコロと変わるのだ。

 

 

 

 

以前、

 

完全に「男」になっていることがあり、

 

話しかけて、ゾッとしたことがある。

 

目つきも、佇まいも、反応も、

 

まったくの別人であった。

 

 

 

 

美紀が突然、心臓を抑えて

 

苦しみだしたことがある。

 

 

 

 

泡を吹き、白目をむいて

 

倒れたこともある。

 

 

 

 

美紀は霊体が視えていた。

 

ラップ音と左肩の痛みを気にしている私に

 

「気にすると集まるから無視した方がいいよ」

 

と教えてくれたのは、美紀だった。

 

 

 

 

美紀をよく知らない、

 

他グループの女の子達は気味悪がって、

 

次第に美紀を噂話や失笑の対象にしていった。

 

 

 

 

彼女の高潔さ。

 

いつも一生懸命に、

 

自分のことよりも他者を気にかけ

 

心配をしていること。

 

家族や友達を大切に思う気持ち。

 

そして、自意識のない美しさ。

 

どの美点を取っても、

 

誰も敵わないというのに。

 

 

 

 

私は、美紀を守ってあげたいと思った。

 

もしかすると、

 

友達以上の思いであったかもしれない。

 

 

 

 

しかし、いつまでも同じ時間を

 

過ごせるわけがなかった。

 

高校生の時はあまりにも短い。

 

進路までも同じというわけには

 

いかないのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卒業してから5年ほどたった頃、

 

美紀と偶然、街で会った。

 

 

 

 

 

美紀は、

 

完全に変わってしまっていた。

 

 

 

 

一目合っただけで凍り付きそうなほど、

 

無気力な、暗い顔をしていた。

 

 

 

 

挨拶をしたものの、

 

二言目につなぐ言葉が見つからず、

 

その場を立ち去るしかなかった。

 

 

 

 

どこか冷たい、

 

人を寄せ付けない空気をまとい、

 

その正体が何なのわからず、

 

違和感だけを残した。

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後、私は

 

見えない世界の真実が此処に®の

 

このブログを知り、

 

私自身が霊媒体質であり、

 

多少霊能力があったことを知った。

 

 

 

 

同時に、

 

高校時代の友達 美紀に起こっていた

 

不可解な事象は、

 

憑依現象によるものだと知った。

 

 

 

 

人格の入れ替わりも、

 

心臓がやられるのも、

 

てんかんの発作も、

 

憑依現象が強く出た時の症状だったのだ。

 

 

 

 

また、

 

母親の店の場所も

 

昔住んでいたという家の場所も

 

…見えない世界の影響を考えれば、

 

最悪の場所であった。

 

 

 

 

美紀の家系は因縁が深く、

 

見えない世界の影響が強かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

今ならば、助けてあげられる。

 

助ける手立てを伝えることができるのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

美紀、今どこにいる? 

 

 

 

 

また会えたなら、私は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

界見